45 謎が有れば原因が有る。
18時に来れたらきます。
無理なら次の日の昼に!
お腹が膨れた後は、冒険者ギルドに移動する。依頼ボードを見た所、1枚の依頼書が目に入る。
「『森の奥の呪詛』……夜になると森の奥から延々と呪詛が聞こえる?」
おれがその依頼書を見ると、隣でシシリアも覗き込んでくる。
「へぇー、面白そうですね。そういうの、やった事ないですし」
面白いかなぁ。
推奨レベルは19である。
今うちのパーティーのレベルは
アイク 21
パティ 18
ウィリス 18
シシリア 18
オレ 17
だ。推奨レベルは19だが、例え事故ったとしても、オレとシシリアが居るからカバーできるだろう。
後ろに居る他の三人にも見せると、好感触だった。
依頼は隣の村からの物で、夜に山小屋に近づくと、延々と呪詛が聞こえるそうだ。
辺りを探そうにも、その声が恐ろしく、村人は近づく事すら出来ないのだとか。
山小屋には林業に使う道具なども入っているのだが、最近は恐ろしく、村人もそこへは近づく事も出来なくなって困っているとの依頼だ。
討伐とも若干違うが、探索とも違う気がする。
呪詛ねぇ。
呪いであるなら、寧ろプロフェッショナルである。
代表してオレが窓口へ依頼書を持って行くと、ふぅとため息を吐かれる。
「やっとパーティーを組んで下さったんですね。でもレベル的にまだ無理をして欲しく無いのですが。とりあえず依頼書を受諾しました。レベル21のアイクさんが居るので多少安心とは言え、気を付けてくださいね」
「今日は準備をするとして、今日は明日の準備の為に解散しますかー」
手続きを終えた後に、わいわいしながらギルドから出ようとすると、誰かに袖を引かれる。
誰かと思ったら、僧侶しか居ないお遊びパーティーで世話になった、セウスが居た。
「噂にはなっていたが、”火炎の蕾”に入ったって本当だったんだな」
「まあ、なりゆきで?」
「ハーレムパーティー作ったって言われてたけど、ちゃんと他の男も居たし、安心だぜ」
やっぱり噂になってたか……。
「もう一人男が居ないと入らないって条件だしたからな。当然と言うか」
「まっ、何しろ良かったぜ。機会が有ったら、また僧侶縛りのパーティー組もうぜ!」
「おう」
気持ちの良いやつだ。しかし噂は早いね。だが、シシリア達が目立つので、自然と男であるオレ達も目立つという訳だ。やっかみが無いか心配だな。もっとも、何かされても傷を付けられるオレでは無いが。
背伸びをしながらギルドの門を出ると、欠伸をひとつ。食料の買い出しは済んでいるから、最低限な着替えとタオルくらいか。
帰りにパン生地を薄くしたようなものに、肉と野菜がマシマシで入っていて焼いたような物を三つ買って、果実水を追加する。
たまに買う、宿屋以外の食事も美味い。たまにハズレも無い事も無いが、今の所は概ね満足している。
宿屋に戻ると、習慣でタオルで体を拭いた上でクリーン魔法をかける。もはやタオルで拭くのは無意味なのだが、水で体を拭かないとスッキリした気分にならないのだ。
桶に拭いた後のタオルをひっかけて、楽な格好になってから布団に入る。
明日の段取りを考えなくても何とかなるだろうと思い、そのまま寝る事にした。
次の朝に、街の出口へ集合し、隣町への馬車へ乗る。
道が悪くガタガタとかなりの揺れが有る。向かいに座っている女子三人からは、大きく揺れる度に、声にならない声が上がっている。
尻が痛いんだろうな。
オレも痛いし。
そんな悪路を進む事二日、隣村に到着した頃には、女子三人は馬車から降りた時にはヘロヘロだった。
「センパイ、今日はひとまず休みましょう。お尻がピンチです」
「もお、腰がガタガタだよ~!」
「馬車、気持ち悪い……」
いかん、三人がグロッキーになってしまっている。アイクはと隣を見ると、ケロっとしていた。流石は経験の有るレベル21冒険者だ。
「あー……、アイク。この三人を宿屋か泊まれるところに運んでくれ。オレは依頼者を探してくる」
「はい、分かりました」
アイクが頷くのを確認すると、依頼者である村長の家へ向かう。道行く人に聞くと、あまり人口の多くない村な事も有って、すぐに行き着く。
呼び鈴を押すと、すぐ扉が開き、家の中に招かれる。
案内されたテーブルの席に着くと、すぐに香り高い紅茶が運ばれて来る。どことなくハーブの香りがするスッキリとした味だ。
村長の話は依頼書と大差なかったのだが、一つだけ、呪詛が乗れ聞こえるのが、決まって暗くなってから、山小屋から東の方だという事だ。そこは森の真ん中で、特に何かが有るような辺りでは無いと言う。
原因が無ければ、何かが生じる筈は無い。
その原因特定がオレ達の今回の仕事という事だ。
今日は村の美味しい物でも食べて、明日の夜に探索にでも行こうか。




