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43 ショッピングと秘密とメモ書き

明日も昼に更新です。

その日は朝から晴天だった。


 市場の入り口で待ち合わせをしているので、遅れないように、けれどのんびりと歩いて行った。ほどなくしてシシリアが来て、買い物の始まりである。

 アイクのメモ通り、乾燥したパン、ドライトマト、調味料、乾燥した野菜、乾燥させた米、干し肉などを買っていく。


 これくらい有れば、個人に割り振っても大した重さにならずに、個々で持てる。乾燥してるので嵩張らないしな。基本は固形食糧だとしても、スープくらいは、プラスアルファで飲みたい物だ。


 火が使える場所限定になってしまうが。


 ひたすら買い物をした後に、一度教会に祈りに行く事にする。シシリアも報告をしなければいけないと言うので、一緒に来たのだ。


「自分、ウチの上司に連絡してどうするん?」


「何言ってるんスか、石像はただの中継地点ッスよ?各地に有る像に祈れば、自分の上司に連絡できるッス」


 オレしか居ない為に、シシリアの言葉遣いが普段の調子に戻っている。

 相変わらず、この猫かぶり具合には着いていけない。


 それはそれはして、上司に報告すべく、真剣に男神像に祈る。


((セネカくん、久しぶり。冒険は上手くいってる?))


(一応、今の所はバレることなく、冒険者稼業をしています)


((それは何より。しかし、本当にシシリアさんとパーティー組むとはねー))


(パーティー勧めたのは上司じゃないですか)


((はは。まあ気を付けてね。仕送りでもしたい所だけど、決まりが有るからね。頑張って))


 そこまでで、報告を終える。隣を見ると、シシリアがまだ報告をしていた。周りを見回すと、シシリアに視線が注がれているのが分かった。一見すると、美少女が熱心に祈っているようにしか見えないからな。


 みなさん、そこの子は中身がオヤジですよ?



 シシリアが報告を終えると、周りの視線も気にせずにオレの手を引いてくる。


「さ、出ましょう。センパイ、この後は時間有るッスか?」


「いや、買い物に時間を充てるつもりだったから特に予定無いよ」


「じゃあ、シシリアの、おススメカフェにご案内~」


 再び手を引かれるまま人混みの波をすり抜けて移動する。どうやら気持ちが先走っている時は、そこまで人の目が気にならなくなってしまうらしい。


案内されたそこは、街外れの隠れ家風と言った雰囲気のカフェであった。庭木が茂り、花が咲いている。


「こんにちはー」


 シシリアが先んじてドアを開けて猫のようにするりと中へ入って行く。

 後を付いてドアを潜ると、店内からの視線がオレに集中した。


 見てみれば、客は殆ど女子である。思わずたじたじしていると、シシリアにぐいぐいを袖を掴まれて耳元に顔を寄せられる。耳元の息が近くてくすぐったい。


「ここって女子が多いカフェなんで、男性は珍しいんです。でも、街じゃ冒険者が多いから二人だけで入ったら噂になりますし。センパイも私も色んな意味で有名なんで」


 あ、一応気にしてたのね。教会から引っ張られてるのを色んな人に見られてるから遅いと思うけど。

 しかし、何でオレが有名なんだ?


 そこまで言って耳元から体を離すと、シシリアはため息を吐きながら言った。


「センパイは顔だけは良いですからねえ。顔だけは」


 今、何で二回言った?


 とりあえずは普通にご飯を食べようという事で、オーダーをする。



 しばらくして、料理が運ばれてきた。


「ふっ……ふっ、うふっ……似合わないですね……」


 オレの前には、黄色い卵の料理。すなわちオムライスが有った。ケチャップでハートが書いてある。


「天界には無かったから、食べてみたかったんだから仕方ないだろう。ここまでは望んでなかったんだが」


 オレはそう言うと、正面にいるシシリアを見る。

 彼女のテーブルには、オムレツの他に、じゃがバター、スープの他に、更にパンが3つ皿に乗っていた。

 天界の人間は地上の民程食べなくても良い筈なんだが、胃の中がブラックホールなのかな?


 そう思うと、冒険の途中の食糧事情は、かなり逼迫(ひっぱく)していたのではないだろうか。

 途端にコイツが哀れになってしまった。


「何か、失礼な目で見てません?」


「いや、お前も苦労してるんだなーと思って」


 オレが温い目で見ていると、テーブルの下で、脛を蹴られた。何て凶暴なやつなんだ。


 何故か奢らされて伝票を見ると、裏側に、会計担当の子が書いたと思われる、連絡先が書かれていた。


「うわー、つよつよですねえ。女と一緒に食事に来てる男なのに連絡先書くとか。でも、センパイは狙っても無駄ですからねぇ……」


「オレも100歳にもならん子は無理だわ」


「それは、人間の尺度で考えると老婆になってしまいますよ」



 食事の後は一緒に歩くと目立つという事で、別々に帰るという事になった。もう手遅れだと思うが。


 荷物を部屋に置いて下の食堂へ降りると、丁度酒場へ変わっていく時間帯だった。

 厨房は忙しく、色々な香ばしい匂いがする。


 今日はメニュー表をむむむと睨むと、唐揚げとポテトを頼み、メインに米を俵状にして焼いたものを頼む。果実酒を飲んで待っている内に、順番にやって来る。


 ポテトをほくほく食べながら、米をフォークで二つに割り、はふはふと食べる。美味い。


 唐揚げを食べると、外側カリッの中は肉汁じゅわだ。この宿はシチュー以外は当たりな事が分かった。……何でシチューだけしょっぱいんだ?

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