40 ワンワンぉ
前日に数話更新しております。
明日はお昼目安です。
「よし、よく頑張ったな!!」
そして、ハウンドに背中を見せたオレは、勢いよく外に向かって中古の槍を外に投げた。
「センパイ、何やってるんですか!?」
バウッ
ハウンドが吠えると、その槍を追って走って行く。ドアの外は塔の柵の無い外周。
ーーーーーー要するに、地面に落ちた。下から何とも言えない音が聞こえた気がする。
地上の民3人はドン引きである。シシリアだけは飄々として「さっすが、センパイ!!」とグッドサインを出している。他の三人はそちらにも引いていた。
いや、オレも作戦的にどうかと思ったよ? でも、レベル的に勝てなさそうだったし、姑息な手を使うしかないじゃん。これが最適解な筈だ。
「な、何はともあれハウンドは居なくなったし! 箱開けてみようよ!」
パティが話を逸らして仕切り直してくれた。キミ、良い子やね、シシリアも見習ってほしいわぁ。
「あれ、鍵がかかってない」
宝箱自体に魔法や罠がかかってたらどうするんだ。そう思うより早くパティが箱を開けてしまった。
一応身構えてはみるが、罠は無かったようである。
「わあ」
ウィリスが声を上げる。確かにそれだけ声を上げるだけの量が入っていた。
剣やら宝石やら色々だ。
「これ、半分以上はイミテーションじゃないか? ウィリスにサーチしてもらってから鑑定に持ち込まないと持って行かないと、買いたたかれるぞ」
例えば指輪や腕輪が有っても、微妙な性能だったら二束三文で売るしかない。
そんな訳でウィリスにサーチをしてもらっている間、みんな黙って休んでいる。
1人で働いてもらって、ごめんね……。
次に何か出てきた時に、今まで以上にこっちが働くから。
小一時間くらい経つと、ようやく鑑定が終わった。ぜーぜーと肩で息をしていたので、サーチで魔力不足になっているようだ。オレは荷物の中から魔力を回復させるポーションを取り出して渡す。
「ほ、宝石は四分の一程度はイミテーションでした。残りの宝石は、より分けてあるものと、剣が一本、腕輪が一本。剣がドミネーションソードと言います。力と脚力が上がります。腕輪はアストライアの腕輪、反応速度が上がります」
「パティはこの間、腕輪を手に入れたから、アイクが剣を貰ったらどうだ? 腕輪はシシリア行きかな」
「それでオッケーです」
パティーが賛成して、ウィリスも頷いている。
ウィリスの胸には、以前ダンジョンで探したセイモスのブローチが輝いているので良いだろう。このパーティー内で、一通り装備が行き渡った事になる。
「え、僕は入ったばかりですよ!?」
「パーティー自体の底上げになるなら良いんじゃないないですかあ。……転売したら、地の果てまで追いかけますけどぉ」
シシリアがニヒシシッと猫のように笑う。
「ひぇっ」
アイクが青くなった。
「取り敢えず、もう頂上近く来たみたいだからもう後は折り返すか?」
これ以上、上に登っても敵に対処出来なさそうだ。
「さんせーい」
一様に手を上げて是を唱える。もうすぐ暗くなってくる時間だし、早目に休むか。
この部屋にはもう部屋の主が居ないので、逆に安全だ。
「じゃあ、明日の朝まで休憩な」
オレの声に、それぞれが地面に個人用テントを開いて、毛布を敷く。
それが終わると、中心に集まってスープを作る事にする。4人用で5人のスープを作るので、擦り切れギリギリで水を張る。
火を起こして乾燥野菜を放り込む。
「あ。僕、干し肉持ってます」
「入れたれ、入れたれ」
ぐつぐつとスープを煮込んでいる間に塩コショウを入れて味を調える。あー、コンソメとかも持ち歩いた方が良いかなー。乾燥肉も持ち歩いた方が良い。実際冒険に出てみないと、色々分からない事が多いな。
「しかし、さっきは驚きましたよ、ハウンドに背中見せるんですもん」
「敵が、槍に向かってダッシュしていったのも目を疑いましたけどね」
パティとアイクが先ほどの戦闘を振り返っているが、何の事は無い。犬に「取ってこい」をしただけである。モンスターなのだからそんな事をする訳は無いと思ったが、オレの槍を見ていたので、新しい武器『瑠璃十文字』を手に入れた事で中古になった、鉄の槍を投げたのである。
犬の習性か、ついつい棒を追いかけてしまったのだろう。
あはれなりけり。
とにかく、居なくなってくれたのだから万々歳だ。
どこのダンジョンでもそうだが、マッピングさえしておけば、行きより帰りの方がスムーズとなる。
迷う余地が無いからな。
……階段が途切れてロープで伝った場所だけは不安だが。
その後全員で食事をし、テントに滑り込む。ここくらいの場所なら、扉が壊れてても通常の結界くらいで大丈夫だろう。今夜は火の番無しで、全員朝まで眠る事にした。
カンテラだけは灯して、毛布に滑り込む。
おやすみ三秒。一瞬後には目覚めの朝が来る。
今更ですが、個人用テントと言うのは、プールサイドとかで使う陽が遮られる程度の物で、キャンプで使う様な四方が遮られたものでは無いです。あくまでも、パーソナルスペースが確保出来る程度の物ですね。




