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40/86

40 ワンワンぉ

前日に数話更新しております。

明日はお昼目安です。

「よし、よく頑張ったな!!」


 そして、ハウンドに背中を見せたオレは、勢いよく外に向かって中古の槍を外に投げた。


「センパイ、何やってるんですか!?」


 バウッ


 ハウンドが吠えると、その槍を追って走って行く。ドアの外は塔の柵の無い外周。

 ーーーーーー要するに、地面に落ちた。下から何とも言えない音が聞こえた気がする。


 地上の民3人はドン引きである。シシリアだけは飄々として「さっすが、センパイ!!」とグッドサインを出している。他の三人はそちらにも引いていた。


 いや、オレも作戦的にどうかと思ったよ? でも、レベル的に勝てなさそうだったし、姑息な手を使うしかないじゃん。これが最適解な筈だ。


「な、何はともあれハウンドは居なくなったし! 箱開けてみようよ!」


 パティが話を逸らして仕切り直してくれた。キミ、良い子やね、シシリアも見習ってほしいわぁ。


「あれ、鍵がかかってない」


 宝箱自体に魔法や罠がかかってたらどうするんだ。そう思うより早くパティが箱を開けてしまった。

 一応身構えてはみるが、罠は無かったようである。


「わあ」


 ウィリスが声を上げる。確かにそれだけ声を上げるだけの量が入っていた。

 剣やら宝石やら色々だ。


「これ、半分以上はイミテーションじゃないか? ウィリスにサーチしてもらってから鑑定に持ち込まないと持って行かないと、買いたたかれるぞ」


 例えば指輪や腕輪が有っても、微妙な性能だったら二束三文で売るしかない。

 そんな訳でウィリスにサーチをしてもらっている間、みんな黙って休んでいる。


 1人で働いてもらって、ごめんね……。

 次に何か出てきた時に、今まで以上にこっちが働くから。


 小一時間くらい経つと、ようやく鑑定が終わった。ぜーぜーと肩で息をしていたので、サーチで魔力不足になっているようだ。オレは荷物の中から魔力を回復させるポーションを取り出して渡す。


 

「ほ、宝石は四分の一程度はイミテーションでした。残りの宝石は、より分けてあるものと、剣が一本、腕輪が一本。剣がドミネーションソードと言います。力と脚力が上がります。腕輪はアストライアの腕輪、反応速度が上がります」


「パティはこの間、腕輪を手に入れたから、アイクが剣を貰ったらどうだ? 腕輪はシシリア行きかな」


「それでオッケーです」


 パティーが賛成して、ウィリスも頷いている。


 ウィリスの胸には、以前ダンジョンで探したセイモスのブローチが輝いているので良いだろう。このパーティー内で、一通り装備が行き渡った事になる。


「え、僕は入ったばかりですよ!?」


「パーティー自体の底上げになるなら良いんじゃないないですかあ。……転売したら、地の果てまで追いかけますけどぉ」


 シシリアがニヒシシッと猫のように笑う。


「ひぇっ」


 アイクが青くなった。


「取り敢えず、もう頂上近く来たみたいだからもう後は折り返すか?」


 これ以上、上に登っても敵に対処出来なさそうだ。


「さんせーい」


 一様に手を上げて是を唱える。もうすぐ暗くなってくる時間だし、早目に休むか。

 この部屋にはもう部屋の主が居ないので、逆に安全だ。


「じゃあ、明日の朝まで休憩な」


 オレの声に、それぞれが地面に個人用テントを開いて、毛布を敷く。

 それが終わると、中心に集まってスープを作る事にする。4人用で5人のスープを作るので、擦り切れギリギリで水を張る。


 火を起こして乾燥野菜を放り込む。


「あ。僕、干し肉持ってます」


「入れたれ、入れたれ」


 ぐつぐつとスープを煮込んでいる間に塩コショウを入れて味を調える。あー、コンソメとかも持ち歩いた方が良いかなー。乾燥肉も持ち歩いた方が良い。実際冒険に出てみないと、色々分からない事が多いな。



「しかし、さっきは驚きましたよ、ハウンドに背中見せるんですもん」


「敵が、槍に向かってダッシュしていったのも目を疑いましたけどね」


 パティとアイクが先ほどの戦闘を振り返っているが、何の事は無い。犬に「取ってこい」をしただけである。モンスターなのだからそんな事をする訳は無いと思ったが、オレの槍を見ていたので、新しい武器『瑠璃十文字』を手に入れた事で中古になった、鉄の槍を投げたのである。


 犬の習性か、ついつい棒を追いかけてしまったのだろう。


 あはれなりけり。


 とにかく、居なくなってくれたのだから万々歳だ。

 どこのダンジョンでもそうだが、マッピングさえしておけば、行きより帰りの方がスムーズとなる。

 迷う余地が無いからな。


 ……階段が途切れてロープで伝った場所だけは不安だが。


 その後全員で食事をし、テントに滑り込む。ここくらいの場所なら、扉が壊れてても通常の結界くらいで大丈夫だろう。今夜は火の番無しで、全員朝まで眠る事にした。


 カンテラだけは灯して、毛布に滑り込む。


 おやすみ三秒。一瞬後には目覚めの朝が来る。

 今更ですが、個人用テントと言うのは、プールサイドとかで使う陽が遮られる程度の物で、キャンプで使う様な四方が遮られたものでは無いです。あくまでも、パーソナルスペースが確保出来る程度の物ですね。

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― 新着の感想 ―
全体的に、かなり気楽に読める異世界冒険ものでした。 セネカが圧倒的に強いのに、「正体を隠さないといけない」「普通の冒険者っぽく振る舞いたい」せいで妙な苦労をしているのが面白いです。 戦闘よりも、ご飯…
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