33 焼肉会場
明日もお昼更新です。
本来は風で防御をする魔法なのだが、上から圧をかける事によって、地面との間に挟まる筈だ。
ーーーーもっとも、ウィリスの魔法勝負になるが。
「ほら、もう一度首を攻撃してくれ」
俺自身もシシリアと同じく、眉間を狙って槍で攻撃する。
バァァン!!
ウィリスの魔法が切れたのか、ベアは手で地面を叩いて起き上がった。
それどころか、二本足で立って鼻をひくひくさせてこちらを探そうとしてくる。
おそらく風に乗って来る、人間の臭いを探しているんだろうな。
「ウィリス、風の魔法で空気を散らせ」
「『ウィンド』!」
これで匂いが散り、位置が分かりづらくなった筈だ。
ベアは匂いを嗅ぐために、未だに棒立ちだ。
これを逃す手は無い。
「今だぞ!」
パティとアイクはレッドベアの心臓を狙い、剣を押し込むようにして切る。
シシリアは眉間から心臓に狙いを変えた。オレも魔法を落ち込む。
「『ホーリー・バレッド』」
心臓に攻撃が集中して、ベアの体がぐらりと傾く。そこへダッシュで駆けていって、アイクが更に心臓の辺りを限界まで剣を押し込んだ。
それが決め手となったのか、ドォンと音を立てて、ベアはビクビクと痙攣し静かになった。
「ふー。アイク、やるな」
オレ達は結成したばかりのパーティーだ。連携などの心配が有ったのだが、オレの指示に反するという事では無く、自分で動いてくれた。
「セネカさんの指示が、的確だったからですよ」
司令塔と言うのは、人数が多くなるにつれ難しくなる。これからは指示待ちばかりではなく、自分で動いてくれるのも目標にする事が肝心かもしれないな。
それはともかくとして、肉だ肉。
オレ達は先ほどのレッドベアに負けないくらいの捕食者の目になり、死体を解体しだす。肉は必要な分だけを取り、勿体ないが後は他の動物が寄ってくるので、埋めるしかない。
毛皮は欲しいので、地面に埋めておく事にして、帰りに手ぶらな場合は勿体ないので持ち帰ろうという事になった。
ははは、転んでも只では起きんよ。
急遽、今日は焼肉の日になってしまった。
ウィリスの水魔法で血のりを洗いながら、皮を剝がしていく。ベアの肉は癖が有るので臭みの少ない部分を切り取る。再度火を起こし、網の上に乗せてじゅわっと焼いていく。肉から油が滴り、香ばしい香りが辺りを支配する。香りの暴力である。
一応、念の為にシールドだけかけて辺りの獣を警戒しておくと、鞄から塩を出して振りかける。
冒険者は汗をかくので、塩分が不足しやすいので持ってきたのだが、こんな事に役に立つとは。
「香ばし~い!」
「美味しい……」
パティとウィリスがワイワイと言いながら食べていて、シシリアはと探してみると、目の色を変えてバクバクと食べている。肉食獣かな? 若干ドン引きである。普段は固形食糧だけで、よく我慢してるな。
もう、ここは焼肉会場である。次はタレでも持ち歩こうかなー……。
パーティーが終わった頃にはすっかり陽は傾き、就寝の準備を始める。
最初はもう少し距離を稼ぐはずだったのだが、焼肉が足を鈍らせてしまった。
焼肉店…おそろしい子!
腹がいっぱいになった所でウィリスにタオルを濡らしてもらって、体をあちこち拭いてから個人用の簡易テントに入る。寝ずの番は要るけど、男が二人いるので、女子の負担は軽くなる筈である。
火を焚いて寝ずの番を始めると、三人の寝ずの番のしやすい時間を聞いてから、オレとアイクが間に挟まる形になる。焚火をつついて、準備をしたら開始だ。
「さてと、最初の番はウィリスだっけ? 何かが有ったら遠慮せずに、すぐに起こしてくれ」
「わ、わかりました!」
そこまで気合入れなくても、起きていてくれるだけで良いんだけどね。オレが結界を張っているので、ちょっとやそっとでは破れないから、本来なら起きている必要すら無いのだ。だが、「一日中注意しなくていい」とかだと不自然だし、メンバーのレベルも上がらない。
やはり本来の力の加減って難しいな。だが下手にアイテムとかで制限すると、いざと言う時に仲間を助けられないし……。ストレス解消で一回シシリアとどこかで爆発して、ガス抜きをするべきだろうか。
今度シシリアに聞いてみるか。
オレの火の番は2番目なので、さっさと休む事にする。
旅が長くなると、こういう所に気を付けなくちゃいけなくて、大変だな。
そこまで考えたところで、早々にオレの意識は途絶えた。
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