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天界からバカンスで降りて来たオレ、チートな冒険者になって世界を満喫します!~バカンス先なのに、何故か後輩がいるのですが~  作者: 夢咲みやと


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27/31

27 ついに

明日も12時目安です。

 誰にも聞こえないように、更に口元が見えないように後ろを向く。


 カチャリと箱の鍵が開いた。

 『アンロック』は天界では免許制である。地上の民が有る程度取り締まっているように、天界でも取り締まりが有る。邪な気持ちで鍵を破ったら、一発で堕天なのだ。

 

 そんな厳しい免許を取ったのを地上で宝箱を開けるのに使うなんて、分からないものである。因みにオレは自宅の鍵が開かなくなった時用に取った。



 箱からは、赤い石の付いた腕輪が出て来た。


「これが噂の……!?」


 シシリアがこらえきれずと言った感じで目をキラキラさせている。


「ウィリス、サーチ」


 ウィリスにサーチをさせる為に、両手に小箱を乗せる。ーーー本当は遠くからでも出来るんだけど。


「はい、『サーチ』!

 「【迅雷の腕輪】・素早さを飛躍的にあがる」です。」


「やった、パティ! おめでとう!」


「おめでとうです! パティちゃん!」


 女子三人は、団子になって喜んでいる。オレも、どうやら体力がもってくれて、メンツが保たれた。ダンジョンの中で倒れないで済んだぞ。後は地上に帰るだけである。帰り道はマッピングしてあるので、行き程時間は掛からない。安全にだけ気を付ければいいだけだ。




 帰りは2泊かけて地上に出る。馬車待ちの間、パティとウィリスがきゃいきゃい言っているのを、シシリアが見守っていた。


「あ、そうだ。コレやるわ」


 シシリアの手にむき出しで髪飾りを渡す。

 

「プレゼントなんて、シシリアちゃんの魅力が分かっちゃいましたか? でも、贈り物なら箱に入れて欲しいですけど」


 最初に行ったダンジョンの骨狩りしていた時に見つけた『イシターの髪飾り』だ。素早さと力が上がる。考えてみたら、いの一番にこれを差し出せば良かった気もするが、全くもって忘れていたのである。


 シャランとしたチェーンの付いた、ポニーフックのような髪飾りだ。ツインテールとは言え、ポニーしてない事も無い。片方に挿せばいいんじゃないだろうか。


「~~~~センパイって、良い人ッスね!」


 シシリアは、何やら隣で悶えている。


「良い人かはともかくとして、信仰度によって数値上がるらしいから、地上の民より効き目あるだろ。いろんな場面でフォロー効くっしょ」


「有難うございます!」


 無意味に敬礼されると、居心地が悪いながらも良い事をしたと思う満足感を得た。


「あ、ところで、みんなどれくらいレベル上がった?」


 パティが、フリフリと冒険者証を振って見せる。


「せーの、で見ましょう。せーのっ!」


 結果、シシリアのパーティーはレベル13、オレは11になっていた。敵をあまり避けずに戦っていただけだが、結構稼げたものだ。


「す、すごい……」


 ウィリスなどは、感動しすぎて固まっている。


「センパイ、マジでウチのパーティーに来てください……」


「アタシも大賛成」


「歓迎します……」


 三人してオレに圧を掛けてくるが、こいつらは、大事な事を忘れている。


「ハーレムパーティーはこれっきりだ。オレを誘うなら、せめてもう一人、前衛で男を入れてくれ」


 オレは手で「どうどう」と宥めるが、これだけは譲れない。


 そうすると、三人が集まって相談しだした。


「前衛を入れたらオッケーって事だよね?」

「戦士職かなー、良い人いるかな」

「怖い人はいや……」


 相談が終わったのか、三人がオレに向き直って、代表でシシリアがオレの足元を『ビシィッ』と指を足元を指さして宣言する。


「いつか前衛職の男を入れて、センパイを仲間にして見せます!」


「お、おぅ?」


 オレが面食らっている所へ、乗り合い馬車がやって来た。三人の手を引っ張って馬車に乗らせると、オレも座席に座る。もしかして、強制的に拉致されるのだろうか。


 まあ、シシリア達のパーティーに見合うだけの前衛が見つかるのは時間がかかるだろう。気が変わるかもしれないし、その間にオレは好きにさせてもらう。


 別にソロにこだわっている訳では無いのだが、今のレベル上げだけのパーティーだったら、男だけの方が気楽かな。


 その時のオレは、3人がギラギラした目でオレの背中を見ているのに気が付いてはいなかった。


 街へ戻ると、今回は必要経費として少々謝礼を貰い、宿屋に戻った。


「ただいまー」


「おや、ルトヴィカさんお帰り。部屋はきちんと掃除してあるよ」


「有難う」



 この宿屋が居心地が良いので他に移る気が無くなったので、今回のダンジョンへ潜る前に更に一か月借りる事にした。

 いやー、おかえりって言われるのは良いもんだね。


 地上へ降りてくる前も一人暮らしだった事も有って、そんな事を言ってくれる人も居なかった。


「ふー」


 ドサリと荷物をテーブルに置くと、ため息を吐く。シシリア以外の人間が居ると、どうしても力をセーブせざるを得ない。地上の民に自分らの力は、毒にも薬にもなる。今回の事でよくよく分かった。


 今日は帰って来たばかりだし、部屋で食事出来るように準備してもらおう。


 下に降りて唐揚げとポテトとバゲットを頼み、しばし待つ。おかみさんが厨房から出来上がった料理をもってきてくれたので、トレイごと持って上に上がる。


「しかし、下調べは大事だな」


 ダンジョンの中で虫くらいは覚悟していたが、あんなに足が沢山有る動物がいるなど、ぞっとした。

 ジャングル・アイソポッドと言う、ダンゴムシを巨大化した虫が出てくるとは。今度から虫が出てきそうなフロアにソロで入る時はダッシュで走ろう。シールドをかけていて触れる事は無くても、視界に入るだけで吐きそうである。


 何はともあれ、帰って来たばかりなのだ。2,3日はダラダラしていても許されるはずだ。


「…………はっ!」


 教会に祈りに行くのを忘れていた。だが、帰って来たばかりなので流石に報告は勘弁してほしい。


「明日でいっか」


 ご飯を食べたら眠くなったので、まだ時間は夕方だが、辛うじてクリーン魔法をかけてから上着とブーツを脱いでベッドに倒れ込む。


「っあー、もう寝る……」


 こうしてオレの2度目のパーティーは終わった。

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