26 とりあえず爆発
お昼の他に、更新できる時は他の時間もします。(固定はお昼です)
結局、スピネルスネークは何も落とさず、収穫が有ったのは匂いだけという始末であった。しかし、この階層って生垣のような木ばかりで、進んでいるのか進んでいないのか全く分からない。
しかし、幸いな事に直線系なので、マッピング自体はしやすい。……合ってたらだけど。
その後、結構な回数を戦闘したが、一向に何も落とさないし宝箱にも行きあたらない。
「シシリア、本当に8階層なのか?」
「センパイ、私を疑うんですか? ちゃんとギルドで聞き込みしましたよ!」
何やら、だだっこのようにジタバタしているが、それは見ない事にする。大人げないよ。
「うーーーーーん……」
しばらく歩きながらマッピングしていると、足元の葉がカサカサ揺れた。しかし、木がざわざわするだけで、敵が見えない。全員戦闘体勢をとった所で、目の前の木が、ミシミシと立ち上がった。
木が膝を曲げるように地面から根を出し、二足歩行のモンスターへと変化する。擬態してたのか。
周りにも似たようなモンスターが居るかと思って見まわすが、どうやらこの一体だけだったようだ。
敵は枝を手のように動かして、こちらを絡めとろうとしてくる。ぐわぁと口を開けているので食べる気だろうか。オレは思わずぶるりとする。この木の養分になるのはごめんだ。
バックステップをしながらウィリスへ指示を出す。
「ウィリス、サーチ」
「『サーチ』!
・木人 レベル13
耐火 耐物理です」
覚悟はしていたけれど、このフロアに来たばかりの時に、木が自己修復して火も効かなかった事からして、予想通りでも有る。しかし、弱点が出ないとなるな……。
オレも一応魔法を唱えておくか。
『ブレッシング・アイズ』
サーチ魔法の上位互換だ。本来なら、何事も無ければウィリスにさせるんだが、分からない事にはな。
・木人 レベル13
耐火 耐物理 弱点・風魔法
流石に本人のレベルより上は看破出来なかったか。
「ウィリス、風魔法撃ってくれ。木だから水も雷も効かなさそうだ」
「はい、ウ、『ウィンド』!」
ウィリスは木人に向けて、風魔法を撃った。やはり、レベルに対して威力が強い。本来は風が巻き上がって渦を立てるくらいなのだが、ウィリスが唱えたウィンドは、幹を巻き込んで幹まで切り刻んでいる。
「やっぱりだ、ウィリス、付与魔法!」
「『エンチャント・ウィンド』!」
風を纏ったオレとパティの武器が、木人が腕のように使っている枝に切りつける。
ザンッ!!
と音がして幹が丸裸になるが、すぐに葉に覆われてしまう。
「うそっ!?」
完全復活したように見える。
見えるが。
枝の一部が綻んで見えた。
どうやら100%物理が効かないという訳でもないらしい。
「効いてない訳じゃないぞ!一点集中で攻撃と魔法でダメージを与え続けろ!」
「「はい!」」
しばし攻撃し始めたが、再生スピードに対して物理も魔法も弱い。これじゃジリ貧だ。
「はいはーい、敵から離れて離れて」
後ろからシシリアの呑気な声がした。お前の武器は弓だからこいつには効かないだろ!?
「ほい」
シシリアが投げた何かが、オレの頭上を飛んで行った。それが地面にぶつかった所で、音と光と足元の揺れで一瞬目を瞑る。
それが収まってから木人の方を見ると、体……らしき幹がなぎ倒されて、ひっくり返っていた。
「……何をしたんだ?」
オレの質問に、シシリアはあっけらかんと答える。
「爆弾で地面を掘ったんです。体を支える地面が無いとなれば、立っていられないでしょ?周りに燃え移らないから出来た事ですけどー」
木人は起き上がれずにジタバタとしている。それが虫の足の様で若干怖くなるが、見ない事にする。
「ウィリス、今の状態で根を燃やせるか?」
「はい、や、やってみます」
ウィリスは焦点を根に定める。
「ファイアー!!」
ちょろっと種火でも付いたかのように見えたが、それは他の根に広がって行った。
ぷすぷすとした音が止んで動かなくなるまで待っていると、木人は燃え尽きて、通路をショートカット出来るようになっていた。幹と生垣の隙間を歩いて行くと、全く木が生えていないエリアに出て、唖然とする。
それは、単に迷路が途切れたという事では無く、フロアの中心であろう場所に、大人が10人手を繋いでも手が届かない程の太い幹を持った、広く枝を広げた木が見えた。
「わーい、お宝ありますかねえ!?」
シシリアが止める間もなく、大木の方へ走って行く。周りに怪しい影も無いので、のんびり着いて行くと、追い付く頃には3人がきゃっきゃと喜んでいた。
「センパイ、これ! これ!!」
両手の手のひらに乗るほどの宝箱を差し出してくる。
「幹のところに落ちてたんです! これってもしかするともしかしますよね!!」
そうして、こちらへ当たり前に差し出してくる。オレ、シーフじゃないんだが。
針金を突っ込んで開けるフリをして呪文を唱える。
『アンロック』




