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天界からバカンスで降りて来たオレ、冒険者になって世界を満喫します!~バカンス先なのに、何故か後輩がいるのですが~  作者: 夢咲みやと


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20 そんな装備で大丈夫か

 ジャングルの階層を滑るように移動し、毒の弓矢はオレのシールドでガードした上で目視出来る物はシシリアが仕留め、虫はウィリスが剣で切って行く。


 5階層に行く階段に着いた頃には、辺りもオレ達もモンスターの死骸と体液でべっちょりで、軽くホラーだった。攻撃は弾くが、体液までは攻撃とみなされないので普通に汚れる。通常のモンスターならまだ何とも思わないが、虫よ、テメーだけはダメだ。


 こちらの服も、青やら緑やら赤に染まっている。


 くっ、オレの本来の魔法を使えば、こんなえぐい事にはならなかったのに……。


 オレがクリーン魔法を使うと、三人が喜ぶ。


「わっ、早いし、すごい奇麗になってる……。前のクレリックって、べしょべしょになった私達見て喜んでて、中々クリーン魔法使ってくれなかったんですよ」


「しかも、モタモタしてたし、下手だったしね」


「ねー」と三人で頷き合っている。


 どうやら、追放されたクレリックは、特殊性癖だったらしいな。後に立つ噂の恐ろしさを、何故考えられなかったのか。


「大変だったんだな……」


 女子だけのパーティーって何かと大変なんだな、同情を禁じ得ない。


「ところで今更だけど、何探しに来たんだ?」


「あれ、センパイ何も聞いてなかったんですね」


 当たり前だろ。まず、自分、オレに言って無いからね。


「ギルドで読んできたんですけど、地下8階層で【迅雷の腕輪】って言うのが出やすいらしいんです。素早さが上がるんで剣士とかに人気で、指輪と違って握りにも影響の出ない腕輪っていうのもポイント高いんです。パティちゃんに装備させようと思って」


 シシリアの説明の横で、パティがうんうんと頷いている。


 確かに、それは前衛でも後衛でも使えるし、人気だろう。街で探そうと思えばもちろん高額になるし、ダンジョンに籠れば値段の上では安くなる。


 売るならばそれなりの儲けになるだろうが、まず自分のレベルを上げるのが先なので、アイテムに走るのは悪い事では無い。良い装備を付けるのは命に直結するし、それにしたがって地力もあがるだろう。


 将来的に宝を求める冒険者になるにしても、レベル10じゃね……。今は底上げしてでも経験を積むのが良かろう。



「とにかく後三回層か、敵の情報は有るか?」


 もう虫虫大行進はこりごりだぞ。もういっそ、敵は出ないと言って欲しい。


「えーと、アンデット系ですかね。犬とか骨とか、流石に深層じゃないんで『グリム・リーパー(死神)』とかは目撃例ないですけど」


 

 アンデット系か、これなら楽勝だ!

 闘志を燃やしている俺と違って、パティとウィリスは浮かない顔だ。


「ス、スケルトンとかはまだ良いんですけど、肉片が付いてるとちょっと……」


 確かに、気持ち悪さは有るか。しかし、問題はオレがでしゃばると、敵が早々に消滅してしまう事だ。どこまで干渉したものか。


 シシリアの方をチラっと見ると、首をふるふると振る。これはオレに丸投げにするつもりだな。


「魔法をかけるから、集まってくれ」


 はぁとため息を吐いた後に集合をかけると、いそいそと三人が寄って来る。シシリアは強いので外したい気分であったが、そんな仲間外れをするのはあまりにも大人げない。


セイクリッド・ブレス(神の加護)

 

 邪悪な存在が近付けないシールドを張る。本気でやってしまうと、瞬間蒸発してしまうので、あくまで敵の攻撃が当たらない程度だ。

 

 まだ加減が難しいな、いっそレベル上げを急ぐか?ここまで降りてきて、オレの冒険者証はレベル9になっていた。戻る頃には10になっているだろう。


とにかく8層まで行くと言うからには、今のシシリア達のレベルではつらそうだ。ここからは本気でレベル上げしていかないといかないな。


「前は何層まで来たんだ」


「5層です」


 シシリアが言うには、5層で喧嘩になって地上に出たらしい。さもありなん。


「今かけた魔法で、敵の攻撃は当たらない。それだけで安心出来るだろう」


「わぁぁ、良かった。本当に有難いです」


 パティが花が咲くように手を組んで笑う。ちょちょちょ、ちょっと!刃物持ったままキャッキャしないでくれ。危ない!


「まあ、これで触られる事だけは無いから、レベル上げつつ行こう。8層まで行くって事は、おそらく結構レベル足りないからな。下に降りる階段だけ見つけておいて」


「わ、わかりました」


「はーい」


「攻撃あたらないなら平気よ!」


 うん、シシリアだけ返事が適当だ。いざとなれば一人でなんとかなってしまうし、今回オレが居るので、気が楽なのだろう。誤魔化すのがそれだけ楽になるんだから。


 しかし、攻撃は当たらないと言ってもゾンビの見た目が変わる事は無く、悲鳴の中のレベル上げを敢行する事になる。レベルは上げられる時に上げておかないとな。

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