18 非・ハーレムパーティー
明日はお昼です。
おはよう朝日。陽がようやく昇って来た頃に三人は集合場所にやってきた。
「あれ? センパイ早いですね」
只今、時刻は20分前。早目に着いておかないと、体裁が悪いからね。
「男はそんなに準備に時間かからないからなー。そりゃ、そっちより早くもなるでしょうとも」
ただの偏見である。身だしなみに気を使いまくっている男も、いるっちゃいる。
ーーーーオレがその部類に居ないだけであって。身ぎれいにして清潔にしていれば良いだけだと思っているのだが、どうなんだ。
「働いてた時とは顔つきが違いますね!」
そりゃ、死にそうな業務の量だったからな。
って言うか、おい、一緒に働てたって言っていいのか。
「え、リアちゃん働いてたの……?」
案の定パティから質問が帰って来る。
「えー…あ! バイト! バイトだよ、カフェの!」
シシリアは、こっちへ「上手く言わないと殺す」と言うような目で見てくる。
そんな目をしてくるのなら、ウッカリ発言をするなと言いたい。
「そうだよ。それで先輩、後輩って仲な訳だ」
オレは適当に誤魔化す。
「そうなんだ、知り合いって言う割に親しそうだって思ったけど、バイト仲間だったんだね、それなら仲が良いのも納得」
「うん、オーナーが結構良い人で! 店内の雰囲気も良かったの」
雰囲気……大抵の人間は目の下にクマが出来てたぞ。仲が良くも悪くも、なりようが無かったと言うか。
ーーーその為のリフレッシュ休暇か。天界の人間だと言え、魂がすり減れば輪廻の輪に帰ってしまうからな。
それはそれとして、わざわざ訂正する必要も無い。この設定を忘れないようにしよう。
「ね、セ・ン・パ・イ?」
シシリアは肘で『ドゴッ』と鳩尾を殴って来る。痛い痛い!
「お、おう、結構助け合ってたぞ」
何せ、助け合わないと一向に仕事が終わらないからな。連帯感も生まれると言う物である。
「それじゃあ、馬車に乗るか」
オレがバッと馬車に飛び乗ると、パティとウィリスがまごまごしていて、シシリアはと見ると、ぷぅと頬を膨らませている。
「あ……」
荷台まで高さが有るから、飛び乗るのに躊躇してるのか。冒険者で鍛えているから筋力上は問題無いとは言え、大股で乗るからな。
オレが手を出して捕まる様に促すと、最初にパティが、次にウィリスが手に掴まって脇を支えながら乗り込ませる。
「ちょっとちょっと、センパイ、私は!?」
「え。シシリアは、支えいらんくない?」
オレが本気で訳が分からなくて聞き返すと、シシリアは地団太を踏んで悔しがる。
「そりゃ出来ますけど! 出来ますけど!! 差別しないで下さい!」
えー……出来るんならいいじゃん……と思ったけど、端から見たら依怙贔屓みたいに見えるか。仕方ない、オレは世間体を取る事にした。
「ホレ」
「わぁい」
思ったとおりに、ちょっと手を引いただけでヒラリと荷台に乗って来る。オレはため息を吐いて、馬車の椅子に座る事にした。
「オイ、お前って『火炎の蕾』のパーティーメンバーなの?」
椅子に座ると、横の男が聞こえるか聞こえないかの声でオレに話しかけて来た。
「『火炎の蕾』?」
「おい、シシリアちゃん達のパーティー名だぞ! 何でそんなに無関心なんだよ。って言うか、この間パーティーメンバー追放したって聞いたぞ? 何で男が一緒に居るんだ?」
質問攻めである。しかし、シシリアのパーティーが男を追放したって言うのは有名なのか。しかも、パーティー名は初めて聞いたわ。
「シシリアと故郷が一緒だから、たまたまだな。オレは一時的だし」
「ほー」
女子だらけのパーティーという事も有り、やはり有名なんだな。ハーレムパーティーに見えないように、用事済んだらサッサと抜けよう。
でも、これで抜けたら追放者ナンバー2に見られるんじゃないか?
オレはむむむっと唸ると、帰った後の事を考えて憂鬱になった。
「へぇー、どちらにしろ羨ましいよ」
そう言って男は前に向き直った。
三人は、小声でキャッキャウフフしながら話に花を咲かせている。
確かに一般的に羨ましいパーティー構成かねぇ。
せいぜい妬まれないように気を付けよう。
一晩馬車の揺れと尻の痛みに耐えると、目標のダンジョンに着く。
「うぅあーーっ」
馬車から降りると、伸びをしながら関節をバキバキといわせる。
女子の方はと見ればストレッチをしていて、オレほどダメージを受けてい無さそうだったので、体力の低下を感じた。近場ならともかく、遠出すると、毎日モニターと向かい合っていて体がなまっているのがバレそうだ。
これでは、フォローするどころかされてしまう立場になってしまう。戻ったら体力作りしないと、冒険者として致命的だな。
ま、まあ、シシリア達もレベル10だし、そこまでハードなダンジョンへは行かないだろう。




