16 そんなの聞いてない!!
次は朝7時です。その後は昼固定になりそうです。
昨日の疲れも有り、頭がハッキリとしないながらも、1階の食堂で朝食を摂る。まだ頭がぽやぽやしているが、ギルドに行かねば。
地上に降りる前は会社に籠り切りで運動不足だったので、疲れが溜まっているな。毎日冒険して、体力を付けねば、パーティーを組んでも、どこかで足を引っ張る事になる。
さて、ギルドに行くか。
食器を下げてカウンターに代金を置いて鞄を持つと、宿屋を出る。特に急いでも居ないので、のんびりとギルドに向けて歩いていると、冒険者ギルド前が少々ざわついている。
誰かがオレを見ると、「あいつか!?」と集団の中から声が上がる。
おい、期待の新人だぞ!!
とか
チーターか?
とか、ざわざわざわざわざわ。
何なんだ……?
人混みを分け入ってギルドに入ると、座っていた受付嬢が、ガタン!!と音を立てて、椅子から立ち上がる。こころもち、顔が青い気がする。その受付へ歩いて行くと、早く早くとでも言うように手をブンブンと振っている。
「ルドヴィカ様! ルドヴィカ様!」
「どうかしたのか」
オレは、言われるままにのんびりと受付へ歩いて行く。
「んも~! 昨日は受付にボアだけ置いて行っちゃいますし! あの後、大変だったんですよ!!」
「昨日のボアが、どうかしたか?」
「アレ、レアモンスターだったんですよ!ただのレッド・ボアじゃなかったじゃないですか!」
受付嬢は腕を組んで、ふんす!と鼻息を荒くする。
「冒険者カード見せてください! っあー、やっぱり7をすっとばして8になってる~! 段階を踏んで下さい!」
いやいや、そんなの知らないって。通りすがりのボアを適当に狩っただけだし。教会が閉まらない内にと思って焦ってたから、サーチも適当だったしな。
それがレアモンスターだっただなんて、オレには知らないし些事だ。
「はあ、仕方ないですね、これだけ依頼こなしてますし、Fランクではおかしいですね。Eランクに昇格です」
周りは、まだザワザワしている。懐疑的な目が殆どだな。何と言っても、ギルドに登録して5日程しか経っていない。
ぶつぶつ言いながも勘定の手を進めて、受付嬢はお金を積み上げていく。確かに前回ボアを倒して持ってきた時よりも金額が高い。
レアとノーマルは、これほどまでに金額が違うのか……。
俺としては、予想以上に儲かったから良いが。
そう言えば、レベル8になったらシシリアに連絡する事になっていたな。ついでに、その前に服でも探していくか。
ボアの清算をしてもらって懐の財布に金を入れると、服屋に足を向ける。
ーーーとは言ってもオレにファッションセンスが有る筈も無く。民間の冒険者向けで服を売っている店で適当に合わせてもらう。
値段もセンスも無難な物を選んでもらい、ついでにバックヤードで着替えをさせてもらってからシシリアに教えてもらった宿屋へ足を向ける。
教えてもらった宿屋の扉をくぐり、テーブルを拭いている宿屋のおかみさんに用向きを伝えて声をかけると、訝し気な顔をされる。そりゃ女子のパーティーの一員に男が声を掛けに来たら怪しいし。
オレはシシリアに貰ったメモ紙を見せて、説明した。
「あぁ、あんたがリアちゃんの言ってた人かい。悪いね、あの子可愛いから、散々男に声掛けられててねー。簡単に取り次げなかったのよ。あと、リアちゃんが言ってたより早かったしね」
「オレも流石に女の子の部屋には行けないから、呼び出してくれるか」
「分かったよ、ちょっと待ってな」
宿屋のおかみさんが、エプロンで手を拭きながら二階へ上って行く。ここも一階は食堂で、二階以降が宿になっているようだ。
出された水を飲みながら待っていると、上から「トントン」と降りてくる足音がする。そちらを見ると、シシリアが階段からひょっこりとこちらを覗いていた。
「あれ、センパイ、予告より早かったですね?」
オレはダンジョンのアンデット自動消去の話と、レアのレッド・ボアでレベルとランクが上がった事を話す。
「なるほど、それなら簡単にレベル上がりますね。って言うか、それなら寝てても上がりますね。流石センパイ! セコイです!」
「自分、喧嘩売ってんの?」
「いやいや、まさかまさか。でも、そんな感じなら、一時的にお願いしても大丈夫そうですね。今、他の二人を呼んできます!」
シシリアはそう言うと、降りかけて来た階段を登って戻って行った。
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