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天界からバカンスで降りて来たオレ、冒険者になって世界を満喫します!~バカンス先なのに、何故か後輩がいるのですが~  作者: 夢咲みやと


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15/25

15 突撃! スライディング祈り!

次は20時に。

 ズサーっという音がするほどの勢いでスライディングをし、男神の像の前に座ると、オレは必死に祈り始めた。



(すみません!! 報告が遅くなりました!)


 やや間が有って、のんびりした上司の声が頭に響く。


(あー、セネカくんか。どうせテンション上がってて忘れてたんでしょ。まあ、良く有る、良く有る。初めてバカンスに出た子、あるあるだよ。でも、次からは教会が有る場所では定期的に連絡してねー)


 そう。地上に居る代わりに、或る程度の報告をあげなければいけない。行方不明になった時に、捜索隊が派遣される事も有るからだ。教会が無い場所も多いので、その場合は報告も免除される。


 オレは降りて初めてだったので、すぐに報告を上げる筈だったのだ。

 取り敢えず今日までに起こった事を、仔細に話す。


(あ、ビネスさんってそっち行ってたんだ。地球担当だから、日本行ったと思ってたよ。彼女、日本のサブカル大好きだからね)


 それは、オレもそう思った。


(同僚だから、上手くやっといてね。ギスギスしないで、とりあえず適当にやっといて。僕も一応型通りに上に報告してるだけだから、程々で良いよ)


 この人、割と緩いんだよな、助かるけど。


(とにかく楽しんでいるようで何より。くれぐれも問題起こさないようにね)


(はい)


 会話はここで終わり、ようやく頭を上げる。

 気が付くと、周りの人がオレを遠巻きに凝視していた。そりゃダッシュして滑ってきた上に、いきなり祈り始めたのだからビビるだろう。一様に驚いて目を丸くしている。


 用事は済んだので、ここに居る人の安息を邪魔する訳にいかない。


「ど、どうも失礼しましたー……」


 オレは、逃げるように教会から出たーーーと言うか、逃げた。次の報告は気を付けよう。


「はー、やばかった……」


 今のスライディング祈りしかり、報告が遅れた事しかり。今の上司でなかったら、大目玉だったかも知れん。バカンスで降りてくるのは初めてとは言え、浮かれ過ぎていたと思うと、恥ずかしい。


 気が付くと陽が沈む寸前で、市場が騒がしくなっている。今日はダンジョンから全力ダッシュをしたので、食べ歩きをするという気力も無い。宿屋の酒場で済ますか。


 宿屋に足を向けて、のんびりと歩く。

 人の波に逆らいながら歩くと、ほどなくして宿屋に着く。一階は既に酒場になっており、冒険者が騒いでいる。


 今日は白身魚のホイル焼きと、バゲットを頼んだ。ホイルを開けるとほわっと湯気が立ち、キノコとレモンが合わさって、爽やかな匂いが立つ。

 オリーブオイルをバゲットに付け、ザクッと食べる。美味い!

 食べ終えてからお冷を飲んでいると、何となくもの足りない気がして、追加オーダーをする。


 こちらは、サーモンのフライだ。レモンをかけて濃厚なタルタルソースをかけると、こちらも美味い。バケットの上に乗せ、一緒に食べると、大変満腹感が有る。

 

 今回はエールは止めて、リンゴのシードルにしておいた。エールはオレには合わないな。そういう冒険者もいるだろう、誰もがエールが得意な訳では無いと思う。


 一日の終わりに食べる飯は最高だ。天界で目の下にクマを作ってキーボードに向かっているよりも、よほど生きている感じがする。


 腹がいっぱいになると、自然に眠くなってきた。しかし、体が汚いままベッドに入る事も躊躇われて、結局バケツに水を張って持って行く。


 いや、クリーン魔法は有るんだけど。


 そういえば、クリーン魔法で服も奇麗になるとは言え、洗い替えのような物も有った方が良い気がする。他の人から見ると、汚れていなくても服を一種類しか持っていないように見えるかも知れない。


 明日、ギルドに行く前に洋服屋に寄ってみるか。


 そこまで考えた所でお腹もいっぱいになっていた事も有り、急激に睡魔がやってきた。大きなあくびをしながらも身体を拭き、ベッドに潜り込む。明日はギルドで清算だぁ。

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