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天界からバカンスで降りて来たオレ、冒険者になって世界を満喫します!~バカンス先なのに、何故か後輩がいるのですが~  作者: 夢咲みやと


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14/25

14 走れ走れ走れ

次は18時です。

 今日も時間通りに起きた事を、太陽の高さが教えてくれる。

 仕事に行ってた名残で、勝手に目が覚めちゃうんだよな……悲しき社畜の名残である。


 これから出かける冒険者でごった返している食堂の隅っこで、1人で朝食をとる。周りを見回すと、殆どのヤツらがパーティーを組んでいる。


 やはり、レベル上げにはパーティーを組むのが一番怪しまれないな。これは、少し考えてみなければいけない。


 オレはローストビーフを挟んだパン二個をコーンスープで流し込み、カウンターに料金を払って外に出る。今日はこっそりと無限レベル上げをするつもりだ。


 この二日くらい洞窟に籠る準備に、固形食糧と水を三日分準備する。水は魔法で出せるのだが、何をするにしても、安全を取るに限る。ーーーとは言ってもオレは何をするつもりも無いのだが。



 洞窟を進んでいくと、危なげなく10層まで来てしまった。


「さて」


 オレは今は死者のなれの果てである、スケルトンに囲まれていた。


『サンクチュアリ』


 死者が入れない……と言うより、触れた先から蒸発したかのように砕けて、あの世に送られていく。

 あとはこのまま歩きながら、手軽に鞄に入れられるアイテムでも探す事にした。元が人間の方のアンデッドやスケルトンは昇天し、オレはその分経験値が入る。ーーー元が人間じゃないアンデッドは、世の理から外れているので消滅するだけだが。


 要するに、アンデッドだらけのこの階層は、歩いているだけでも座っているだけでも経験値が入る、いわば入れ食い状態なのである。


 まわりからは「グチャッ」とか「バキッ」とか聞こえるが、オレの冒険者カードの経験値がメキメキと上がるだけなので特に気にならない。


 ダンジョンには行き止まりに宝箱が有る事が多いと聞いた。しかし、その前にやっておく事が有る。


デヴァイン・ドメイン(神の領域)


 体を覆うガードを作ると、迷路のような道をツカツカと歩く。槍が飛び出たり、毒が飛んで来たり、はたまたミスリルという切れ味の良い金属の糸で胴体を輪切りにしようとしてきたり、罠は千差万別だった。……落とし穴だけは体が穴の下に落とされてしまうので、よじ登るのが大変であった。


 もちろん穴の中にも罠が有ったのだが、魔法によって守られたオレには通用しなかった。


 歩いた跡が奇麗サッパリ敵が出なくなった所で、改めて階層を探索する。ただいま15階層なのだが、何故か冒険者が居ない。ここのダンジョンは罠が多いしアンデッドが出るので人気が無いらしい。

 独り占めが出来て、歩くだけで経験値が入るこのダンジョンは、これからも使っていこう。


 入口に木で立札を作り、ルドヴィカ専用!とか書きたい気分である。


 地球のカルチャー風に書くと、ルドヴィカ見参!であろうか。だが、どちらにしろ、14歳で発病する廚二病と言うもので、300歳を超えてるオレには幼稚すぎる。やはり、やめておこう。


 迷わないように小さいノートに道を書きながら散策すると、行き止まりに行き当たった。隅の方に手の上に乗る程の小さい宝箱が有った。ダンジョンとは魔力の元である魔素がねじ曲がって空間を作った物で、原理は天界でもよく分かってはいない。


 まずは置いたまま極力離れた所から、槍でつつくーーー反応無し。

 次に手で振ってみる。中でカタカタと音ががするが、罠の反応無し。


 どちらにしろオレには罠が効かないのだから、余計な心配だったか。鍵穴に針金を差し込んで、ぐるぐると回す。幼稚舎の時に流行った遊びで、それ以降は教師陣にめちゃくちゃ怒られてやめたのだが、その事が、今役立っている!


 複雑な鍵だとオレにもお手上げだが、この階層程度だとシーフじゃなくても開けられる。


 カチン!と音を立てて鍵が開き、中の物が姿を現した。


・携帯用鍋

 箱に仕舞うと4センチ四方になり、持ち運びが楽である。

 開いた状態だと20センチ四方になり、四人分用ほどのスープが作れる。


「うーん」


 良いんだか悪いんだか。パーティーを組む時にはこの上無く便利な品物だな。これからパーティーを組む可能性が有る事を考慮して、有難く鞄に仕舞う。


 さらに1時間程歩いて突き当りを探し、そこでも宝箱を見つける。こちらは両方の手のひらに乗るほどの大きさだ。針金でいじくると、こちらもあっけなく開く。


・イシターの髪飾り。

 素早さと力が上がる。神の信仰度により、力が増す。


 何と、信仰力が無いとダメとは。地上の民には神は見えないので、居るか居ないか、信じる信じないは人間による。神を冒涜されると上司が貶められるようでイライラするが、目に見えないものを信じるのは難しいものだ。


 そこでオレはハッと気づいた。……気付いてしまった!! 上司への定期連絡を忘れていた事を!! ヤバイヤバイヤバイ!!


 走れ走れ走れ!


 オレはさっさとダンジョンに見切りをつけて、帰る途中でボアをなぎ倒してギルドに引き渡し、清算は明日という事にして、服に血が付いたまま教会へ滑り込んだ。


 男神の足元までくると、真摯に祈る男にしか見えまい。しかし、オレの心は嵐だ。

 

 祈れー!!!

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