シナリオ『飛ぶ鳥を落として』⑤
クソゲーバードことラピッドヘルホークは未だ空中に静止している。
こいつのモーションはそんなに理解できてないから、変な行動をされると巻き返されちゃう。
なら、先手を撃つべきだね。
【剣唄の妄執】を構え、ラピッドヘルホークに向かって振るう。
「『ウィンドエッジ』!」
風属性に耐性があるのはわかっているけど、まずは牽制として風の刃を飛ばす。
軽々と身を翻して奴は回避。そして空中で加速して私に突進してくる。
「読めてるよ」
振り抜いた鎌を一周させて突進に合わせてカウンター。
理想通りの起動で命中した刃は、『クリティカル!!』という表記と共に大ダメージを叩き出す。
地面に叩きつけられて数回バウンドしたラピッドヘルホークはブースターで風を出して浮遊する。
「立て直しも速い……ほんとにクソゲー。」
ぼやきながらも笑う。私に注目しすぎているラピッドヘルホークに。
私は一人で来たわけじゃないんだよ?
「阿呆め!ミストに意識が行き過ぎだ!」
「キュルルラァ!?」
背後から跳躍したツクヨミがラピッドヘルホークを掴んで地面に押さえつける。
ブースターから風を生み出して逃げようとするが、ツクヨミの高STRからは逃れられない。
「『風よ、我に従いて生まれよ』【風の厄災】」
私の右手に、原初の風が生まれる。
それを鎌に纏わせて攻撃力を高めてから、ラピッドヘルホークの首にあてがう。
「キュルルラァ!!!!」
最期の抵抗とばかりにラピッドヘルホークが暴れるが、マウントのような姿勢では力が出ない。
こいつ強かった。私の初デスだから、丁重に、恨みを乗せて葬ろう。
「さようなら、ラピッドヘルホーク。君は強かったよ」
そう言い残して私は鎌を引く。
ごとり、と音を鳴らしてラピッドヘルホークは倒れた。
余韻消えぬまま、藪に隠れていた少女に向けて手招きをする。
「おいで、終わったよ。」
おずおずと姿を表した幼女の頭を撫でる。
「お母さんのところに行こうか」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
ああ、戦闘の後だと余計に癒されるよぉ。
もう一度頭を撫でると、くすぐったそうに目を細めて笑う。
「くすぐったい!」
きゃはは、と笑いながら少女は歩く。
かわいいねぇ。食べちゃいたい。
木の幹に横たわった母親を少し揺すり、起こす。
生きていることはツクヨミが事前に触って確認していた。
まぶたをこすりながら母親は目を開ける。
「……あれ?私はなに……を?」
状況把握後、すぐに彼女は飛び退く。
「鳥!!鳥は!?」
「大丈夫です。私が倒しました」
「……え?」
やがて景色を見て、彼女は安堵の息をつく。
ゆっくりと立ち上がって一礼。
「ありがとうございます。異邦人さん。娘の世話までしていただいて」
「いえ、気にしないでください。困っている人を見過ごせませんよ」
ちょっとカッコつける。ホントは報酬目当てなんだけどね!
でも、もらえなくてもいい気がしてきた。この子が可愛すぎる。撫でたい……
「見る限り、あなたは騎士様のようです。よければ、この本と、指輪を差し上げます。どうか、旅の一助にお使いください」
「ありがたく受け取ります」
そうして、私はアイテムを手に入れて幼女たちと別れた。
草原を歩きながらシナリオクリアの通知を受け取る。
「お!ラピッドヘルホークの素材がもらえるんだ!やったぁ!」
ホクホク顔で私はログアウトした。
明日は防具作りかなぁ!最近の防御力が不安だから。
キリ悪いです




