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ジャパニーズカルチャー、辻斬り


昼食を食べ終えた私は再びログインする。

今日食べたのはハンバーグでございますわ。美味しかった。

依頼完了してホクホク顔の私は草原を練り歩く。


爽やかに吹く風が髪を撫でる。

草を踏んで歩く音は歌うようにリズミカルに響いている。

草原に響く小鳥のさえずりも相まって小さなコンサートのようだ。


「気分がいいね。ツクヨミ」


隣を歩く黒豹にも声をかける。

あくびをしながらゆったりと歩を進める姿は巨大な猫だ。撫で回してやろうか。


「ふわぁ……。歩きながら眠れたらどれほど心地良いか。あの駄犬も来ればいいものを」

「駄犬て。ヴァルラプスはポーション作りを覚えたいって言うから覚えさせてるの」


そう、なんとヴァルラプスは薬師の能力があったためポーション作りを教えている。

本人も研究好きみたいで、喜んで作っていた。今度いい材料をプレゼントしないとね。


「それで?ツクヨミはやりたいことないの?」


彼は歩きながら思案するように唸る。


「うーん……思い浮かばないな」

「じゃあ探そっか」


存外やりたいことというのは探すのではなく、パッと湧いてくるものなのだ。

だから、ツクヨミのやりたいこともいずれそのようにして浮かぶのだろう。

彼が目を輝かせ、やりたいことをなしている姿を想起し心が踊るようだ。


「じゃ、行こうか。ヴァルラプスもエルゼも待っているしね」


放心していたツクヨミを促し、歩く。

天気の良い昼間、眠気は最高潮に達している。

今なら歩きながら寝ることもできそうだ。


そう思ったのもつかの間、歩いて2分ほどの平地に男が立っていた。


「!?」


プレイヤーのようだが、私は警戒を強める。

なぜならば、彼は私をまっすぐ見据え、腰に差した日本刀の柄に手を当てていたのだ。

PK、想像しうる中でまぁまぁ面倒な人種だ。

その行為を否定する気もないし、プレイスタイルとしてはありだがやられる側からすれば溜まったものではない。


「よ、ファム・ファタール」


とてつもなく聞き覚えのある声がして、私はフリーズする。

ファム・ファタール、私のあだ名兼蔑称。

しかも悪辣な笑みを浮かべながらその名をこすってくるやつは一人しかいない。


「インキュバス!!」

「誰が淫魔だクソッタレ!!!」

「垂れてねえよ!?」


さっちゃんこと相澤(あいざわ)冴(さえ)である。

口汚く互いに罵り合いながら抜刀。


「PK返ししてやるよ!」

「辻斬りをご照覧あれい!」


私達は俗に言う「喧嘩するほど仲がいい」タイプなのだ。

別にPKされようが互いに笑って殴り合う。そのくらいには私も気を許している。


「腕にドラゴンくっつけてから出直せ!!」

「ゴド◯ックじゃねぇよ!」


そうブツクサ垂れながらも冴は踏み込む。

膝が地面に付くほど体勢を沈め、急加速。


「『抜刀術・炎星』!」


抜き放たれた刃には、炎が込められていた。

ゴウ、と盛るそれをバックステップで躱し、【剣唄の妄執】を構える。

炎の抜刀術?さっちゃんのくせにかっこいいの使いやがって。許せねぇ!


「原初の風よ来たれ、我は裁定し、見定め、其を福音へと至らせる」


詠唱を開始する。私の手のひらに一抹の風の刃が具現化する。

刃を見た瞬間にさっちゃんは距離を取り構えを直す。


「聞いたことねえ詠唱……魔術か」

「さぁね?」


風の刃を飛翔させ、さっちゃんへ攻撃。


「『風よ、炎へ至りて爆ぜよ』」


マトリックスばりに姿勢を低くして回避しようとした彼の頭上の風が爆ぜる。

爆風により吹き飛ばされたさっちゃんはむせていた。


「ゲホッ!!………詠唱省略した魔導を言霊で爆ぜさせたのか。きめえ戦い方」

「なんで初手でわかんの?お前のほうが気持ち悪い」

「PVP中毒舐めんな」


あーはいはいそうですね。本当に一時期気が狂ったようにPVPゲームやってたもんね。

夢中になれるものがあるなんて、本当に羨ましいよ。


再び居合の構えに直したさっちゃんを見て私は小さく笑う。

また、喧嘩しようよ。さっちゃん。


あんたを負かしていいのは、私だけなんだから。



無自覚ヤンデレのミストちゃんです。

更新遅くなってすいません、、、

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