シナリオ『飛ぶ鳥を落として』①
ツクヨミたちを連れ、私達はレイピアホークを狩りに来ていた。
適度に強いからね、あのモンスター。
レイピアホークは『初心の大草原』に生息するレアモンスターで足がレイピアみたいに鋭くて、烈風魔導を使用する強敵だよ。
修理した【屍月】を携え、草原を歩く。
時々襲ってくるモンスターはヴァルラプスが焼き尽くすので戦闘スキップだ。
「来た。レイピアホークの飛行音だ」
ヒュオオオっと戦闘機のような轟音が近付いてくる。
ターゲットは私達。即座に【屍月】を居合の構えに動かす。
「キュァァ!!!」
姿が見えた瞬間、私の右腕にダメージエフェクトが出現。
捌き切れないな。音速突進。
当のレイピアホークは再び飛行し、鉤爪に烈風魔導をチャージしている。
「キュルルラァ!!」
「『抜刀・月虹流水』!」
放たれた風刃を抜刀スキルで逸らし、距離を詰める。
刀を逆手に持ち替え、鉤爪を狙い一閃。
振り抜いた刃が命中する寸前、レイピアホークは宙返りし攻撃を弾きつつ距離を取った。
「やっぱお前だけ難易度おかしいよ!」
「キュルル!!」
威嚇するように奴は喉を鳴らす。
言葉も理解してるとかどんなAI積んでるのさ!
「『深淵』」
ポツリと、独り言を漏らすようにスキル名を唱える。
その瞬間、足元から影が伸びるように闇が溢れ出す。
「キュルァ!?」
慌ててレイピアホークがより高く飛翔するが、もう遅い。
伸びた影から、見えぬ斬撃がレイピアホークを切り裂き大地へと落とした。
「『深淵の爪撃』。連携スキルだけど結構強いね」
『深淵』を発動中のみ使用できる特殊スキル。伸びた影の範囲に『深淵』属性の斬撃ダメージを与える。
MP消費は多いし、当てるのは難しいけどね!
『只今の戦闘により、レべルがアップしました。スキル『深淵Lv1』から『深淵Lv2』へと進化しました。』
お、スキルレベルも上昇したね。ラッキー。
目的の相手も狩ったし、街へ戻ろうとしたときだった。
「おかあさん!!どこ!?」
草原に響く少女の声。この辺はモンスターも多い危険な地域。
少女がいるなんてめちゃくちゃ怪しい。
本来ならば見捨てるべきなんだろうが、迷わず私は向かった。
ヴァルラプスの背に乗り、声の主の下へたどり着く。
そこに立っていたのは年端もいかない少女。
赤いワンピースに黒い靴。コレと言って変な様子は見当たらず、私は声を掛ける。
「どうしたの?ここはモンスターも出るし危ないよ?」
顔を上げた少女の表情は今にも泣きそうで、目の端に涙を貯めていた。
人を見て少し落ち着いたのか、泣くのをこらえて少女は語りだす。
「あのね……お母さんがいなくなっちゃったの………大きな鳥さんに連れてかれちゃった…」
「大きな鳥?どんな鳥なの?」
「足がピカピカしてて………ビュンビュン飛ぶの!……」
なんか聞いたことあるなソイツ。
というか絶対レイピアホークでしょ。
少女への返答を考えていると、システムウィンドウが開く。
『シナリオ『飛ぶ鳥を落として』が発生しました。受注しますか?』
ウィンドウにはシナリオと書かれていた。
こんなところに少女がいるのはこのせいか。
とりあえず受注を選択する。
「任せなさい。私がその鳥を落としてお母さんを助けるから!」
「ほんと!?ありがとうお姉ちゃん!」
かわいらしい少女の満面の笑みを受け、浄化されそうになるが耐える。
あれ?私がこのコを産んだんだっけ?
いや、幻想か……
そうして私達はレイピアホークを探し始めた。クエスト開始じゃい!




