母直伝、近接格闘術!
圧倒的で隙のない立ち回りを披露したエルゼに私は驚愕する。
どうしよ……。教えることがないんだけど。遠距離ではデバフと魔導による攻撃。近距離に近づかれる前にコユキに指示出ししてヘイトを集める。堅実で、テンプレの戦い方だ。
彼女にもその戦いが染み付いてるみたいだし、無理に変えさせるのも悪影響かな?
「エルゼ。君に教えることは接近戦になった時の戦法になるんだけど大丈夫?」
「もちろん!私は何でも吸収したいタイプなの。」
「おーけー。じゃあ教えるから見ててね!」
エルゼは格闘術についてもしっかり了承してくれた。
ならば私も本気を出そうじゃないか!
:コメント:
:あーあ、ミストちゃんがやる気出しちゃった。
:絶対変なの使うぞ
:俺等にも戦い方わかるかな?
:無理でしょ。
「わかるように解説するから安心してよ。んで、使うのはコレ。」
コメントに返信しながら、私はインベントリから一本の骨笛を取り出す。
NPCのショップで買えるアイテム【魔物呼びの笛】。モンスターを呼び寄せる笛。
掲示板とかでよくレベル上げに使ってる人が多いみたい。
その笛を口元に運び、大きく息を吹き込む。
:コメント:
:やっぱり変なのじゃん
:呪いの笛やんけ!
:最大200体も呼ぶ呪物やん
:変態しか使わないというあの!?
好き勝手言いやがって、と不満に思うがこらえて深呼吸。
ピィィィィィ!!と耳を劈くような高音が周囲に響き渡る。
さらに耳を抑える間もなく、20体くらいの蛇型モンスターが姿を見せた。
「頭がクラクラする……」
ごめんね、エルゼ。
気を取り直して接近戦。
取り出した武器は【屍月】。刀ってかっこいいから好きなんだ。
戦闘開始を告げるアナウンスが響くと同時に、私は一番近い蛇に向かって刃を振るう。
【屍月】のウェポンスキルは『月虹流水』ともう一つ、『生命特効』がパッシブでついている。
これは生命が宿っているものに特効が付くんだよね。ヴァルラプスは『不死』だから対象じゃなかったけど。
そのイカレ効果が付与された刃に裂かれた蛇は消失。
「もう一匹だ!『流水撃:乱』!」
【屍月】が水を纏い、振るうごとに水が荒れ狂う。
ヴァルラプスとの戦いで結構な種類のスキルが進化したんだよ。
『流水撃:乱』は命中率が悪くなるけど、その分威力が上昇していくっていうスキル。
当てれば強いロマン技って感じ。
「シャァぁ!?」
乱流にも何匹かの蛇が巻き込まれ、消滅していく。
その後も何度か同じ工程を繰り返し、解説を織り交ぜて戦闘終了。
「二十はキツかった……!」
よくやった私!解説を入れながらエルゼに被害を出さずによく守り抜いた。
途中で蛇が逃げ出したら危なかったよ。
「レベルも上がったし、成果は上々かな。」
リザルトも確認して、私達は下山する。
明日はレベル的にも『サブ職業』を解放しに行こうか。
高鳴る気持ちを抑え、私はログアウトした。




