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異界の欠陥魔法師  作者: 木崎 咲
六章 紅き都市の城
68/111

六十二話 交渉成立。そして...

お久しぶりです。木崎咲です。


遂に半月も開けてしまいました。


今後はもう不定期更新になってしまいそうです。


申し訳ございません。





あぁ。働きたくない。趣味でお金が貰えたら・・・。


うむ。こんなことではいけませんね。

という事で明るい追記

fateの新章がもうすぐ配信です。待ってました!

アニメも始まります。

来月からfate祭りです!やったね!


追記2

サブタイ付け忘れてました。

 魔王を引きずり下ろして。


 そう言った彼女達の意見にミカは顎に手を当て考える。


 彼女達の言葉に不備はないか、あえて口にしなかった言葉はないか、言い回しに違和感がないかを頭の中で精査する。


「質問いいですか?」


「何?」


 答えたのはリューリティティだ。


「持ち物、案内、知識。そう言いましたね?」


「うん」


「戦力にはなれないんですか?」


「なれない」


「どうして?」


「魔王を倒すと魔王になる」


 最も交渉材料になりそうな戦力を口にしなかった理由を聞いたら格言のような言葉が返ってきた。


 ミカは彼女の言っている意味が分からず首を傾げる。


「魔族の王を選定する基準はシンプルに強さだ」


「ですので先代魔王を倒された者はそのまま魔王になってしまうのです」


 その様子から助け船を出すようにラスティローレンとフェアがミカに説明する。


 だが、そのくらいはミカも分かっている。


 そういう話は物語によくあった。


 だから、予想はしていた。


 分からないのはそこじゃない。


「どういう輩か知りませんが、その仕組みなら魔王ってそう簡単に倒せない存在でしょ?さっきの言い方だとリューリティティさんは魔王に勝てる存在のように聞こえるんですが?」


 彼女達が魔王に勝てると簡単に言っているのが分からなかったのだ。


「余裕」


「あぁ、語弊がないように言っておくが、リューリ様が言っている言葉の前に『今の魔王は』という言葉がつく」


 軽い口調でものすごい解答が返ってきた。


 ミカの顔が一瞬だけひきつる。感情を隠しきれなかった。


 だが、彼を攻めることはできないだろう。


 リューリティティの言葉が事実ならば、彼女は魔王より強い存在らしいのだから。


 そんな存在が目の前に座っているのだから。


「リューリさんは魔王になりたくないんですか?」


 タマモがリューリティティに問い掛ける。


 本当にただ不思議に思ったから聞いてみたのだろう。


 王になれば大抵のことは不自由なく生活できると、そう思っているから。


 だが、返ってきたのは驚きの表情をありありと浮かべた二対四つの瞳から発せられる視線だけだった。


「えっ?わ、私おかしなこと言いました?ご主人様まで」


 驚きの視線を向けたのはリューリティティとミカだ。


「王になりたいとか思わないですよね?」


「うん。面倒」


 ミカの言葉にリューリティティが嬉しそうに即答する。


 今まで理解してくれる人がいなかったのだろう。


「「・・・」」


 彼女の意見ならどんなものでも同意しそうな二人が何故か同意せず、視線を逸らしたり、髪を弄くったりとそわそわし始める。


「面倒、ですか?王ですよ?何でもできるんですよ?」


 二人組の行動が少し気になったが、ミカがそれを口にするよりも先にタマモが口を開いた。


 その意見にリューリティティとミカの二人が鼻で笑う。


「王に自由はない」


「行政。国交。町の管理にお金のやり取り。世界の情勢にも詳しくならなきゃだし。このせか・・・んん。(まつりごと)だって、ものによってはやらなきゃでしょ?しかも大々的に。メインで。仰々しく。それに何より書類仕事。常に山積みだよ、絶対」


 ねぇ?と二人が視線を交わす。


 今までの交渉時の雰囲気はなんだったのかと言いたくなるレベルで楽しげに。


「ですがご主人様。今の話を聞くと、これ、遠回しに魔王になれって言われてません?」


 彼女の言葉に、ピタッ、とミカが固まる。


 固まったのは一瞬で彼はすぐに真剣な表情で考え事を始め、


「フフフ…」


「ご、ご主人様?」


 小さくだが、笑いだした。


 その事に驚いたタマモがミカに声をかける。


 しばしミカの小さな笑い声だけが空間に響く。


「・・・なるほど、自分に都合の良い形に持っていくために利用する駒。僕達をそれにしようってことですか」


「・・・無理?」


「いや。悪くない、かな」


 むしろとても良い条件だ、とミカは思う。


 何より利用し合う関係というのが良い。


 やはり交渉とはこうでなくては。


(我ながら歪んでる)


 内心で自身を嗤いミカは口を開く。


「悪くはないけど、魔王を引きずり下せと難易度の高いものを要求するんだから・・・そうだね。・・・もしもの時の撤退を支援する。そして、作戦に成功した際の報酬を別途で用意して貰う。この条件もプラスしてくれるならやりましょう」


「・・・後半の内容による」


 彼女は少し考えてから聞き返す。


 ここで素直に頷かなかったのはポイントが高い。と思いながらミカは答える。


「人探しを手伝ってもらいたい」


「誰?特徴は?」


「それはこれが終わってから」


 依頼するなら当然気になることをリューリティティが尋ねるが、ミカは回答を拒否した。


 ここで名前や特徴を言ってしまえば、もし聞く必要が無くなった場合でも彼女達に知られてしまう。


 交渉事では与える情報を可能な限り抑えるのが鉄則だ。


 その情報を何にどう使われるか分からないから。


「・・・わかった」


 リューリティティの返事には少し間があった。


「交渉成立。ですね」


 ミカはそう言って席を立ち、隣のテーブルに置いてある荷物を回収する。


「確認しますが、僕達がやるのは今の(・・)魔王を引きずり下ろすこと。これだけ(・・)でいいですよね?」


「うん」


「手段はこちらの自由で?」


「構わない」


 ミカは荷物を取りに行っていたために彼女達に背を向けていた。


 だから、誰も気がつかなかった。


 リューリティティの返事にミカがニヤリと笑みを浮かべていたことに。


「タマモ」


「はい」


「これ」


 振り返ったミカは先ほどの笑みを完全に消した普段の表情でタマモに薙刀を渡す。


 それを受け取ったタマモは自身の手にある薙刀と槍を見比べて、どうしよう?という視線をミカに向けてきた。


「貰うよ?」


 何を悩んでいるんだろう?と思いながらミカは手を伸ばす。


 長物を二本同時に扱うなど、よほどの達人でないとできない芸当なので当然のように槍をアイテムバックに入れようと思ったのだ。


「ですが、これは他の人の物で、泥棒になりませんか?」


「それを言うなら持ってきた時点で泥棒だよ」


 ミカは彼女のちょっとずれた発言にあきれながら槍を奪い取り、バックにしまう。


 そのまま突っ込んだ少し手を動かし、イメージ。


 自身の神月流のバックを取り出して、中身の確認をする。


 一度奪われたものだ。何が無くなっていてもおかしくない。


 がさごそと神月流のバックから物を取り出すことなく確認していたミカにタマモが声をかける。


「・・・ご主人様。本当に良いんですか?」


「何?槍のこと?攻撃してきた相手のこととか気にしなくていいよ」


「いえ。そっちではなく」


 タマモがちらりと背後を見る。


 それだけでミカは彼女が何を言いたいのか察した。


「あぁ。魔王になるってこと?」


「はい」


「予想だけどなんとかなる。もし予想が外れたら―――っと。・・・剣が無い。うわ、マジかぁ~、あれ結構いい武器みたいだし。取られちゃったのか~」


 ミカは何を無くしたかに気づいて話を途中で切る。


 ミスリルは魔族領では金より価値がある。とリリィが話していたのを覚えていたため、かなり残念そうにしている。


「リューリさんにお願いしますか?」


「それはダメ」


「どうしてですか?」


「僕の剣の価値が問題。かなりふっかける事ができる」


「・・・あ」


「言わないでよ?」


「ですが、彼女はそのような性格には思えませんが」


「だから嫌なの」


 ミカの言いたいことが分からないのかタマモが首を傾げる。


「今請求されなかったとしても、皆いずれこう言うんだよ」


 ミカはタマモに睨み付けるような視線を向ける。


 タマモは一瞬怯えたが、よく見るとミカの視線が焦点を結んでいないことがわかった。


 彼はここではない所、恐らく過去を睨んでいる。


「『前助けたのは誰だっけ?』って。皆が皆。例外なく、脅迫してくるんだから」


 信じるもの(・・)は厳選する必要がある。ミカは吐き捨てるようにそう呟く。


 その声を聞いたタマモは、否定も同意も、励ますこともできなかった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「準備はもういいのか?」


「ええ。大丈夫です。問題ありません」


「・・・先ほど何かが無いと言っていた気がするのですが?」


「・・・まぁ、今無くても問題無い物なので、大丈夫です」


「取ってくる?」


「いえ。いいです」


 三人の問い、その全てをミカは否定する。


「早く道案内をお願いしたいのですが?」


 ミカが大丈夫と言っても彼女達の『本当に大丈夫か?』という視線は消えなかった。


 だからミカは彼女達が何かを言う前に強い口調で、無理矢理話を進める。


 そうしなければ、ミカが武器の回収をお願いするまで繰り返し問いかけられそうだ、と思ったからだ。


 彼女達は互いに顔を見合わせ、しぶしぶと言った感じで頷く。


 たったの一時間前まで敵対していた相手だとは、とても思えない態度だ。


 特に、フェアとラスティローレンの二人。


 ここに入ってきた時、彼女達は問答無用とばかりに襲いかかってきたはずだ。


 彼女達は過去の経験から人間を嫌っているはずだ。


 なのに今、ミカを心配しているかのような表情でミカに話しかけてくる。


 ミカにはそれが理解できず、彼女達の存在が不気味に映っていた。


 ミカが内心でそんなことを思っているなど考えもしていないであろうリューリティティがいつの間にかミカの前に立っていた。


 彼女は何かを言おうと口を開いて一度閉じる。


「・・・面倒」


 少し考えるようなそぶりを見せて、今度こそ開いた口からそんな単語が飛び出した。


「・・・は?」


 初め、ミカはリューリティティが何を言っているのか分からなかった。


 考え事をして話を聞き飛ばしてしまったのかと思った。


「直接行く」


 ミカが混乱している間も事態は進んで行く。


 気がつけば、直前の視界と現在の視界が全くの別物に変わっていた。


 周りにあった筈の本は姿を消し、綺麗に磨かれた床が見える。


 ミカ達の座っていたテーブル等は姿を消し、代わりに仰々しい玉座が視界いっぱいに収まっている。


 繋がりを一切無視しているようなこの感じ、まるで夢を見ているかのようだった。


「―――ふはははは!まさか、リューリを味方に付けるとは。予想外だ!これだから賭け事は止められん」


 ミカが現状の認識に手間取っていると、背後から笑い声が聞こえてきた。


 ミカは素早く振り返る。


 位置関係上見下ろすことになった視線の先には声の主であろう何か(・・)がいた。


 全身が黒い何かで包まれていて、姿はおろか、輪郭すら分からない。


 その何かの足下には不自然な死体が二つ落ちている。


 片方は鎖骨辺りから上が存在しておらず、もう片方は右肩から左脇腹までが裂かれていた。


 これのどこが不自然かというと、損傷した部位が何処にも見当たらない事だ。


 圧倒的な力で握り潰されたのなら説明できなくもないが、それにしては断面が綺麗すぎる。


 かといって刃物でやったとも考えにくい。


 その場合、斬り落とされた部位が何処かに落ちているはずだ。


 だが、それもない。床のどのエリアも綺麗なままだ。


 たとえ細切れにしていたとしても、限界はある。何処かに肉片程度は無いとおかしいのだ。


 まるで、その部位がごっそり抉られたかのような、そう表現すしかないような死体だ。


「制圧した直後。余もククルも両者負けだな」


 笑いを含んだ声の後、何かが纏っていた闇が晴れ、その存在が明らかになる。


 身長は恐らく二メートルを越えていて、髪型は乱雑なショートヘアー。


 髪の色は濃い紫色で、声から男だということは分かっていたが、かなり大柄だ。


 そして、人と違う部位は耳と背中。


 耳は少し尖っており、背中からはコウモリのような黒い翼が生えている。


 ミカの位置からは見えづらいが、尾てい骨辺りから先端の尖った尻尾も生えているようだ。


 これらの情報から男がリリィと同じインプ族だということが分かる。


「ミカ!タマモ!良かった。怪我はないか?」


 ミカが男の観察をしていると、聞き覚えのある、少し懐かしい声が聞こえた。


 ミカは視線を少し横にずらす。


 そこには紫色の髪をした少女、リリィと、やたらスタイルが良いのにそれを隠す布面積が少ないという、視線を向けずらい女性がいた。


 ミカは声をかけられるまで、彼女達の存在に全く気づけなかった。


 特別彼女達が何かをしていたわけではない。


 ただ、赤い瞳をじっと向けてくる男の存在感が圧倒的だったため彼女達に気づけなかったのだ。


「・・・そういえば、魔王の種族とか聞いてなかったね。・・・現・魔王はインプなんですか?」


 ミカはインプの大男から視線を逸らさず背後のメンバーに尋ねる。


 ミカがどこに向けて尋ねたのかを正確に理解したのはフェアとタマモの獣種組だけだった。


「いいえ。違います」


「彼は先代の魔王様だ」


 フェアが答えたことによって自身達に尋ねられていたと理解したラスティローレンが補足を加える。


ちなみに、タマモが聞かれたのに答えなかったのは知らなかったからだ。


「・・・てことは、リリィのお父さんか」


 ミカは呟き、階段を下りる。


 その間、元・魔王であるリリィの父親がミカを見据え続ける。


 まるで何かを見極めようとするかのように。


 当然、そのような視線を向けている相手を無視することなどできないのでミカも視線を返し続けるしかない。


 意図したことではないが、無視される形になってしまったリリィは『心配していたのに』とちょっとショックを受けたような表情を浮かべていた。


 階段を下りきったミカは一度頭を下げる。


 相手は立場でいうなら貴族のようなもの。このくらいは一応しておくべきだろうと思っての行動だ。


 聞きたいことのある相手をわざわざ不愉快にさせる必要などない。


「・・・この状況は、貴殿(きでん)が魔王に返り咲いた、と見てよろしいですか?」


 ミカは男の足下にある死体を一瞥してから問い掛ける。


 目上の者に対する口調を意識したつもりだ。


 だが、ミカの問いに返ってきたのは、魔王と呼ばれるのにふさわしい程の笑みと、


「捕らえよ」


 たった一言の命令だった。


リューリティティはチートキャラです。


転移とか急展開、というか多少不自然に見えるかも知れませんが、元々この予定でした。


リューリティティは目の前の面倒事を避ける性格で、許可のない者を玉座に連れていくルートが面倒なものなので直接転移したのです。(普通―――許可無しの方なので普通とは言いづらいかも?―――ならRPGのラスダン攻略みたいな事をしないといけない)


最初から交渉をパパッと終わらせて玉座一直線の予定だったのです。交渉長引いたから無理矢理、とかではありません。本当に。


なのでもし、不自然に見えるのでしたら、普通に私の技量不足です。ごめんなさい。

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