三十八話 魔物?
で、できました・・・。
できた直後に投稿です。確認もできてないですし、誤字脱字もあるかもです。
もしかしたら、今までの話と矛盾してるところがあるかもです。
無いようには意識してますが、確認する暇が無かったので。
それでも何とか出来たので投稿します。
サブタイトルは魔物?です。
9/29
矛盾点を見つけましたのでちょこっと修正しました
2017/10/12 サブタイトル更新
「そんなに気になる?」
チラチラと後ろを振り返っていたリリィにミカが問いかける。
「あ、いや」
「あれで動かなければもうどうしようもないよ」
狼狽えた彼女にミカが呟く。
「本当に?かける言葉とかいっぱいありそうだったけど?」
その言葉にシャーリィがジト目で問い詰める。ミカが行った、泣いている女性に対する行動に文句ありげなようだ。
「本当に」
だが、ミカは自信満々に言う。それは絶対だと言わんばかりに。
その解答にシャーリィが不機嫌そうな表情を見せるが、ミカの言葉はまだ終わっていない。
彼女が何かを言う前にミカが口を開いた。
「泣いている子に対する普通の対応とか知らないし」
そう、ミカ自身に手がないからどうしようもないのだ。
それが分かったのかリリィとシャーリィが呆れた表情で黙った。
彼女達は思い出す。
ミカと初めて会った日、リリィが泣いていたときの彼の態度を。
ミカにはあのときの微妙な空気が結構きていたようだ。
あの日以外のミカが泣いている子へと行った対応経験は妹のものだけ。しかも、行った行動は妹をあやすのではなく泣かした子を叩きのめすという野蛮なものである。
ちなみにこれは弟も一緒だったりする。
ミカは昔行っていた対応が普通じゃないことを、今は、理解している。
だから、思ったことを言いたいだけ言って去ったのだ。
どうしたらいいか分からなかったから。
兄弟揃って泣いている子に弱いらしい。
だが、対応能力は弟の方が高くなっていることが分かる。
今現在泣いていたメイドへの対応で四苦八苦している弟とは違い兄は逃げたのだから。
そんな弟の苦労のことなど露知らず、ミカ達はスライムの方へと歩き続ける。
町の住民の姿はもう見えない。ほとんどが避難を終えたということだろう。
その代わり、魔物が沢山、とは言えないがそこそこの頻度で現れる。
そして、その全てがリリィとシャーリィの魔法によって処理されていく。
「これ、別の町に死体持ってったら対応したクエストをクリアしたことにならないかなぁー」
「討伐証明はカードで処理されるのであろう?無理ではないか?」
「でも、皮とか、肉とか上手く採れるから売れそうよね」
「あ、そういえばギルドで同じこと思ってたっけ」
ミカは少し考え、
「・・・よし、死体を詰め込めー」
と、号令。
人が居ないのを良いことにリリィとシャーリィが影に魔物を詰め込んでいく。
ミカは周りの警戒だ。
人に見られる訳にはいかない光景なので。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「二人ともストップ!」
三回ほど襲われ、その死体を詰め込む直前、ミカが声を上げた。
リリィ達はミカの所に急いで戻る。
「どうした?」
「足音が聞こえた、気がした」
ミカが自信なさげに言う。
聞き間違えかもしれないと思ったのだ。
「足音?」
「妾達には聞こえなかったけど?」
「ちょっと待ってね」
ミカは地面に耳をつける。伝わってくる振動から近くに誰かが居ないか確認するために。
「・・・」
少ししてミカが立ち上がった。
ミカの耳は特別優れている訳ではない。至って普通の、異常などない健康的な青年のものだ。
そして、現在は町を魔物が闊歩している。
「気のせいかな?」
つまり、いろんなところからくる振動で全く分からなかったのである。
「だが、近くに居るかもしれんと考えると・・・」
「ええ。ここの魔物は諦めた方が良いわね」
「じゃあ移動しよっか。何事も安全第一でいかないと、起こってからじゃ遅い、とかよく聞くし」
ミカのこの呟きには呆れた表情が返ってきた。
「・・・何?」
「これからスライム討伐に向かう者の言葉ではないな~、と」
「いや、僕だってやりたくてやるわけじゃないから」
ミカが肩を落としながら一言。
誰しも好き好んで危険に向かう、なんてことはしないだろう。
「っと、そんなことより門に向かうよ。副長さんは車なんだからもう着いてるかもしれないし」
と言ってミカは歩き始め、リリィがそれに続く。
「・・・誰のせいで時間がかかってると思ってるのよ」
シャーリィも文句を言いつつ付いてくる。
ちなみに、時間がかかってる原因はミカが死体を詰め込もうと提案したからである。
「・・・あぁ、勿体無い」
魔物の横を通過した際にミカがポツリと呟く。
人を待たせているかもしれないと言いつつもお金に未練たっぷりである。
そんなふうに死体ばかり見ていたからだろうか。
「・・・ぁっ!」
横の裏路地から飛び込んできた何者かにぶつかった。
強い衝撃と同時にミカのものではない小さな悲鳴。
ミカは何も抵抗できずにその者共々倒れる。
直前まで見ていた死体のところに。
「・・・だ、大丈夫か?」
恐る恐るといった感じでリリィが問いかける。
「・・・最悪」
ミカは手で目を覆うようにしてぼやく。
もう片方の手や服には血がべたっと付いている。
何とか頭を地面にぶつけることは避けれたが、他は血まみれになってしまった。
ミカにぶつかってきた者はミカに少し弾かれたようで血のエリアには倒れなかったようだ。
「はぁ、もう。誰だよ」
ミカは不機嫌丸出しの声と態度でぶつかってきた相手を見る。
そして、驚きで固まる。
「・・・に、人間」
ぶつかってきたのは中学生位の女の子。
黄金色をした長い髪に、同じ色の瞳。
服装はボロボロになった手術衣っぽい服を着ている。まるで、どこかから逃げたしたかのような姿だ。
だが、それよりも目を引くものが頭の上にピョコンと生えている。
「・・・きつねみみ?」
そう、狐耳だ。
ミカの視線は彼女の頭からお尻の方へと向かう。
変な意味はない。ただ、尻尾があるのか気になったのだ。
「・・・ある」
腰骨の辺りからフサフサの尻尾が二本覗いていた。
ご丁寧に手術衣には尻尾用の穴が開けてあったようだ。
ミカが呟いた直後にその狐の獣人ーーー他の呼び方を知らないので便宜上そう呼ぶーーーは慌てて姿勢を正し、ミカに土下座をする。
「・・・へ?何で?」
ちょっと裏返ったミカの声。
その声にすら気づいていないような必死な様子で狐の獣人が驚きのお願いをしてきた。
「私と契約してください!」
「・・・は?」
ミカ、再度フリーズ。
「・・・お願いします、っ!」
もはや端から見ていたリリィ達でさえ理解できずにフリーズする。
沈黙が耳に痛い。
ミカ達はパニックの真っ只中に捕らわれ何も答えられない。
三人ともがポカン、と間抜けにも口を半分開いて呆然と狐の獣人を見ている。
だが、『契約して』と言った狐の獣人は返答が無かったことで涙を流し始める。
「・・・お願い、します。な、何でも、何でもしますから、っ!・・・私、まだ、死にたくない」
ミカ達はたっぷり三秒ほど顔を向き合わせる。
最初に現実復帰したのはミカだ。
(・・・状況を整理しよう。彼女は、何て言うか、このままだと死ぬことが分かってるって感じだよね?誰かに追われてる?いや、それなら『助けてください』のはず。そもそも彼女の言う契約ってーーー)
ここまで考えたところで、ピピッ!っと小さな電子音っぽい何かが聞こえた。
「「・・・っ!」」
その音にリリィ達が現実に戻る。驚愕の表情を浮かべて。
「今のは?」
ミカは音の発生源を見つめる。
「ぁ、嘘・・・。嫌・・・」
その先では狐の獣人は恐怖に震えていた。
彼女の手は自分の首のところにあるものを力無く握っている。
「・・・首輪?」
無骨な首輪が彼女の首にはめられていた。
彼女が手を伸ばすまで気づけなかったのは、長い間手入れをされていなかったのであろう、長く多い髪が邪魔をしていたからだ。
ミカの呟きと同時にピピッ!っとまた音が聞こえた。発生源はその首輪からだ。
「・・・まさか」
「・・・ちっ!」
リリィとシャーリィが慌てて狐の獣人に近づき、首輪を調べる。
「これは、人間専用の、ぬしは何をやって・・・」
「主様。今はそんなことよりも彼女を助ける方法をーーー」
二人で短く話した後、シャーリィがバッ!という音が聞こえそうなほどの勢いでミカに振り返る。
「ミカ!彼女と契約して!」
「・・・契約って、なんの?」
ミカは契約の意味を何となく理解した。理解したが、その予想は外れててほしいと願い問い返す。
「隷属契約よ!」
残念ながらミカの願いはかなわなかった。
・・・ですよね~、と呟きつつミカも狐の獣人のそばに寄る。
「ここにミカの血を!」
シャーリィは狐の獣人の後ろ髪を払って、首輪の後ろ側、鱗のようになっている部分を指差して指示する。
それに対してミカは一言。
「リリィのじゃダメ?」
人の命を預かるような、重い責任を負いたくなかったための一言だ。
ミカの解答を聞いた瞬間シャーリィがミカの手首目掛けて短剣を振るった。
リリィの宝物の一つである、あの毒々しい短剣を。
「ちょ!」
ミカはとっさに下がって回避。
「避けるな!」
「避けるわ!」
「早くしないと彼女、死んじゃうのよ!」
「何で僕の血じゃないとダメなの!?」
「これは人間専用の物。登録は人間でなければならんのだ」
答えたのはリリィだ。
「・・・マジか。っと!わかった、わかったから、自分でやる。・・・いや、その短剣は使わないよ?ちょ!自分の剣でやるってことだってば!振り上げるな!」
脅された感があるがミカは承諾した。
その表情は諦めた人特有の虚しいものだった。
「その前に確認したいことがある」
諦めがついたら意識の切り換えは早かった。
ミカは表情を真剣なものに変えて問う。
「何だ?」
「この首輪の強制力は?主人に歯向かうとかできる?」
ミカは裏神月流を扱うからこそ、内側に不穏因子が入り込むことがどれだけ危険かを知っている。
かつての主人がどんなのかは知らないが、その主人から逃げ出したかのような相手を簡単には信じることができない。
だから、この問いは絶対に必要なものだ。
もし、可能ならーーー
「主人を傷つけることはできん。血はその相手の登録でもあるからな。だが、ただの命令には抵抗可能だ。苦痛を伴うがの」
リリィは問答は時間の無駄だと判断して正直に答える。
「ただの?」
抵抗が可能。その一言が重要だと思っていたが、含むような言い方に疑問を持ちミカは続きを促す。
「絶対の命令を与えることもできるのだ。これは首輪の力を消耗するが、その命令の間、意思を奪い操る。本人の抵抗が強いほど消耗するが必ず遂行する呪いだ。・・・例えそれが自身の命を喪うようなものだとしても」
リリィが辛そうに説明する。
シャーリィはこんな質問をしたミカを睨んでいる。
ミカは聞きたいことは聞いたという態度で彼女達の前から離れ、狐の獣人の前に視線を合わせるようにしゃがみこむ。
「・・・何でもするって言ったよね?その言葉に嘘はない?」
狐の獣人は、こくこくこく、と何度も首を縦に振る。
すでに数分経過しており、首輪のアラームはピッピッピッピッ、っと間隔が短くなっている。
彼女は自身が死ぬかもしれないという恐怖にかわいそうなほど震えていた。
「・・・死んだ方がマシと思えるようなことがあるかもしれないよ?」
その言葉に彼女は震えながら顔を上げて一言。
「い、今死ぬよりは、いいです」
「・・・そ」
ミカは立ち上がり彼女の後ろにまわる。
「つ!」
ミカは剣を抜いて自身の腕を浅く切った。ギリギリ血が出るくらいの傷だ。
だが、すぐさまシャーリィがミカの手をとってさらに深く斬りつける。
痛んでいた腕の方に気を取られて抵抗できなかった。
「いったぁ!」
「あ、やり過・・・こほん!こ、このくらいしなきゃ足りないの!ほら!早く首輪に当てる!」
何かを誤魔化すようにシャーリィは痛みで腕を押さえているミカの腕を強引に狐の獣人の首輪に当てる。
首輪だけじゃなく狐の獣人にもベッタリとミカの血が付いたが、首輪からの音は消えた。
リリィは慌ててミカの腕を治療する。
「回復必須の傷が必要とか・・・。もう絶対やらない」
ミカがぼやくが、実際はこんなに要らない。
ミカの付けた傷のようにプツプツとした血が出る程度では確かに足りないが、ツー、と垂れるくらいあれば十分なのだ。
ベッタリと付くほどの血は過剰である。
「ぁ、い、いきてる?」
ミカの行った契約によって彼の奴隷となった狐の獣人は自分の体をペタペタと触り、自身が生きていること、首輪からの音が消えていることが分かると涙を流したのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
少しして、彼女はミカに土下座をする。
「ありがとうございます!これから精一杯勤めさせていただきます!」
まだ、頬に涙の跡があるがそれでもミカにお礼を言う。
対してミカは
(さて、彼女をどうするか・・・)
彼女を見ていなかった。
それに気づかなかった彼女ははたして幸運なのか不幸なのか。
ある程度治療が進み、痛みが引き始めたので、ちょっとグロい腕から視線を逸らしつつ、ミカはリリィから治療を受けている間に奴隷となってしまった少女のことを考えていたのだ。
すぐに、そもそも獣人について知らないことに思い至った。
「・・・ねえ」
ミカは何をさせるにしても知らなければできないと思い、本人に聞くことにしたのだが、名前が分からなかったために中途半端な呼び方になる。
「は、はい!」
土下座からビシィ!と見本のような正座に移行する狐の獣人。
「きみって何?」
「ご主人様の奴隷です!」
聞きたいことがたくさんあったが、そもそも種族の呼び方すら知らなかったミカは簡略し過ぎた質問をしてしまい、しかも、狐の獣人が即答した。
即答した内容にミカはちょっと引いた。
「・・・うん、ごめん。質問の仕方が悪かった。君の種族について特徴とか教えてもらえる?」
「はい」
ちょっとテンションが下がった。
ミカに引かれたのがショックだったらしい。
「私達、えっと、他の種族の方々からは獣種と呼ばれている種族ですが、人間と比べると素早く、力が強いです。さすがにドワーフより力は弱いのですが。それと魔法は使えません。ですが、代わりに元となっている魔物の能力を持っていることがあります。私の場合は熱系統の魔法が効かず、幻系統の魔法も効きづらいこと。それと小さな炎を自在に操れます」
彼女は言って小さな炎を一つ浮かべ、自身の周りをくるくると回す。
鬼火だ~、というのがミカの感想である。
「元となっているっていうのは?」
「ご存知ありませんか?私達獣種は魔物から人形に成ったもの何ですよ?」
その証拠がこれです。と彼女は自身の耳を手で弄ぶ。
「それと、体の中にも魔核があるらしいです」
「・・・ゆえに、人間からは魔物として扱われておる。討伐対象だったり、労働力として使い捨てられたりするのだ・・・素材にされることも」
リリィが補足する。
治療が終わったようだ。
「・・・大体分かった。そろそろ移動しよう。人を待たせてるし」
ミカは立ち上がり、周りの反応も待たずに歩きだす。
補足を辛そうに言っていたリリィに気を使って話を打ち切った、というわけではない。
彼女について考えたい事が多く、それだけをしていては確実にギルド副長を待たせると思ったからだ。
(人間より強い種族なら前線で戦える。・・・これは良い拾い物をしたかもしれない)
ミカは歩きながら考える。
(彼女の動き、戦闘経験どころか、武器を持ったこともなしって感じかな?・・・適当な魔物で戦闘経験を積ませないと)
ま、そのためにはこの騒動を生き残らなくちゃだけど。ミカは呟く。
なぜ、そこまでして彼女を連れていこうとするのか。
理由はこのメンバーにある。
リリィとシャーリィは完全に後方支援の魔法型で前に立つのはミカしかいない。
だが、そのミカも攻めではなく守りからのカウンターを得意としているのでどうしても攻め手に欠けるのだ。
今はリリィ達の魔法だけでどうにかなっているが、ダナルのような例外もいる。
純粋な攻撃役がいないのだ。
(武器は剣が良いかな?いや、力があるなら槌みたいなものでも良いかもしれない)
彼女が近接戦闘可能になればバランスが良くなる。
ーーーと、獣種について聞いたときから考えたいたのだが、これは建前だったりする。
本音は、自身の負担を減らせるからだ。
あわよくば、自身が前に出る必要が無くなるかもしれないということに期待して。
これで、ミカのパーティーはある程度完成しました。
まだ増えますが大分先、の予定です。
次回も全く出来てないのでタイトルが書けませんごめんなさい。
来週はお休みします。ええ。間に合わないからです。本当にごめんなさい。




