二十四話
遅くなりました。
今回は8000文字オーバーです。頑張りました。
では、お金と貴族はトラブル源。どうぞ。
タイトル有った方が良いですか?
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一部修正しました。
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修正し直しました。修正前であってました。申し訳ないです
「こちらがミカさんのギルドカードになります」
受付に戻ったミカ達は、到着早々に仕事を始めたルルからカードを渡される。
カードにはミカの名前と顔写真、後はランクしか書かれていない。
ミカのランクは一だ。
「やっぱり、最初はみんな一からなんですか?」
「いえ、測定の結果によってはランクが高めに設定されることもあります。それでもランク三以上から始められるかたはほとんどいませんね」
「最大ランクはいくつですか?」
「十ですが、現在は四人、いえ、この間引退されたかたもいらっしゃるので三人しか存在していません」
「へぇ~。このカードでできることは何がありますか?」
「ギルドカードは身分証のように扱うことが出来ます。町の出入りもギルドカードがあればお金が掛かりません。それと、このカードは人や魔物、魔族などの情報を登録する機能があり、死体にかざすだけで登録されます。これによってどの魔物を討伐したかこちらで読み取り、依頼の報酬などの受け渡しをいたします」
「記録は僕が倒さなければなりませんか?」
「いえ、残留している魔力を吸収して記録を取っているそうですから誰が撃破しても同じです。ただ、一度読み取った後は残留している魔力が無くなるため、他の人が読み取ることができなくなります。また、倒して時間が経過しすぎた場合も残留している魔力が霧散してしまうため、記録することが不可能になります。大体一刻ほどなのでよほどのことがない限り、余裕はあると思います」
「なるほどなるほど。依頼を受ける場合はあのボードから紙を取ればいいのですか?」
「はい。それであっています」
そんなやり取りをしている間にナナも戻ってくる。何やらニコニコしながら。
「「んんっ!」」
双子は声の調子を確かめるように喉を鳴らす。
おめでとうございますとか、そんなことをミカは少々期待していたが、
「「それでは、登録料、銅貨五枚頂きます」」
「・・・へ!?無料じゃないの?」
声を揃えて双子にお金を要求された。
そんな話は全く出てこなかったので、登録料は不要なんだと思っていたミカは驚きの声をあげてしまう。
「あはは。ごめんごめん。いや~、やっぱり新人さんのこの反応はいいね♪」
「ごめんなさい。ここのギルド長の指示なんです。登録が終わった後に要求しろって」
ナナは笑いながら、ルルは申し訳なさそうにしながらミカに謝る。
「何でまた・・・」
「何でも、この程度は稼げないとやっていけないからだって。それでも、そのままだったら生活すら厳しい量だけど。この仕事は危険だからね」
「お金を持ってきていない人はギルドに借金をして仮登録してもらいます。返済期間は十日。一週間ですね。できなければ才能がないということで登録をお断りしています。ギルド側も人が死ぬのは嫌ですから」
ギルド長もいたずらのためにやっているわけでは無いようだ。
ミカにはあの人物がしっかりと働いている姿というのが想像できなかったので少し意外感を覚えた。そして、何気に挟まれていたがこの世界の一週間は十日のようだ。
ミカはへぇ~と頷いていたが、少しひっかかりを覚えたようで首を傾げる。
「あれ?それって最初に言ってもよくない?」
そう、別に最初に言っておいてお金のない人には借金をするだけで、目的は達成できる気がする。
「それは、言わないでください」
「ギルド長の趣味だよ」
前言撤回。ギルド長のいたずらだった。
次に会ったら、とりあえず、一発殴ろうか。と、ミカは思う。
「それで、ミカさんはどうします?お金がないわけではないでしょうし。実力も準優勝できるほどですから問題ないと思いますし」
ミカは言われて金貨を一枚取り出す。
この二人は大会でも受付をやっていたのでミカの実力も金貨を持っていることも知っている。
だが、銅貨を要求して金貨を出すのは予想外だったようだ。
「え?なに?もらっていいの!」
「違います」
少し固まってしまったルルをよそにナナがミカに詰め寄る。
それをミカは手で押さえながら少し暗いトーンで話始める。
「実はですね・・・僕のお金をいれていた袋はこの町に来る途中で紛失してしまいまして。この大会の賞金しか無いんです。大会に出ることができたのは本当に幸運でした」
あのままでは剣を売らなければなりませんでした。と儚げに笑う。
「・・・そうですか、大変でしたね」
「それ、冒険者でもそこそこある話よ。これから大事に管理していかなきゃね」
「ありがとうございます。これからは複数に分けて持つつもりです」
二人はミカに優しく声をかけ、励ます。
もちろん、紛失の話は嘘だ。彼女達の反応にミカは内心ガッツポーズ。怪しまれることがなかったどころか同情までもらうことができた。
(これからの依頼は彼女達のところで受けよう。情報をもらえるかもしれない。あくまで可能性だけど可能性があるだけで十分だし)
そんなことを思いながらミカは金貨を出した目的を言う。
「なので、お手数をお掛けしますが、この金貨をミスリル貨九十九、銀貨九十九、銅貨百に両替をお願いできませんか?」
「それは構わないけど、財布が無いのに持てる?結構な量だよ?」
ナナの心配はリリィがいるから大丈夫なのだが、それを言うわけにはいかない。ギルドの中にいた冒険者が言っていたのを聞いていたのだ。
『あいつは闇属性を使用したから魔族だったんだって!俺は見たんだ!』と。
闇属性の魔法を使えるということは、それだけで魔族の証になってしまうらしい。
なので、ミカはそれを言うわけにはいかない。
「・・・その財布を買うにも金貨を使うわけにはいかないじゃないですか。他にも買うものがありますし」
だからといって、長く考えるのもまたおかしいのでとりあえず、パッと思い付いた言い訳を言う。
(何で財布があったら大丈夫なんだろう?量は変わらないはずなのに・・・)
ミカは疑問に思ったが、言ったナナはともかく、ルルとリリィも特に疑問を持っていないようだからこの世界では常識的な物なのだろう。
「それもそうね」
「それでしたら、ラックマジックって言う、魔道具専門のお店がお薦めですよ。品揃えはその時で変わったりしますけど、昨日の夜前の時点では結構良さそうな財布が三つくらい並べられていました。少々値が高めですが、これだけ多くのお金を入れるのならばそれくらいの物でないと入りません。もし、売れた後でしたら、近くにあるよろず屋でも質は大分落ちますが、売っていますのでそこで複数買うのが一番安くすむと思いますよ」
「へぇ、そうなんですか。調味料や服など、いろいろ欲しいのですけど、お薦めはありますか」
こういうのは詳しい人に聞くのが一番だと思い、ミカはこれから必要になりそうなものを聞いた。軽い気持ちだった。
ルルの眼が光った気がした。
「あ、あー、私お金を両替してきま~す」
ナナが受付から離れる。
ルルの話は軽く二時間を越えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ようやく解放されたミカ達はお金を受け取り、ギルドを出る。
『『ぐぅ~』』
「「お腹すいた」」
昼を知らせる八の鐘は既に鳴り終わっている。というか、鳴ったからルルから解放されたのだ。
「とりあえず、ご飯だね」
「うむ。場所は前の会場の更に奥だったな」
ミカ達はルルから聞いたお薦め料理店(六店舗)がある方を目指して歩き始める。
じゃらじゃらと音を鳴らしながら。
「・・・仕舞うか?」
リリィの台詞には、自分の影に、という言葉が省略されている。
「・・・ここでは不味いよ」
リリィが闇属性の魔法を扱うと周りに目をつけられてしまうので首をふる。
じゃらじゃら...。
「はぁ、煩い」
ミカはため息を吐く。
ミカの腰には袋が五つ着いている。銅貨五十枚と四十五枚が一袋づつ。銀貨約五十枚が二袋。ミスリル貨約四十五枚が一袋。
更に、右ポケットにミスリル貨約四十五枚が一袋。ジャージの内にある小さなポケットに残りのミスリル貨十枚。
歩きにくくてしょうがない。
ミカは再度ため息。
確かにお金は問題だが、それよりも面倒なことが起こりそうと思ったからだ。
ギルドから三人、ミカ達をつけてきている。目的はおそらくお金だろう。
「・・・そこに一旦入るか?」
リリィが示したのは暗くて狭い裏路地のような場所。
彼女は尾行されていることに気づいている様子がない。
ミカは少し悩む。
裏路地に入れば、後ろの三人は襲ってくるだろう。実力が分からない上に町中で殺人を犯す訳にもいかない。人道的な意味ではなく、悪い方に目立ってしまうので。
相手を生かしておくことになるため、リリィに闇属性の魔法を使わせてはならないのだが、尾行されている状態ではそれを言うこともできない。
放置もまた問題だ。このままでは会話もしにくい。リリィが魔族であるということがバレる訳にはいかないので、話題を選ばないといけない。だが、リリィは尾行にまるで気づかないのでポロリと話してしまうリスクがある。周りに人がいる場合はおそらくそんなミスはしないだろうが、二人になったとたん話し出す可能性が無いわけではない。それを聞かれたらおしまいだ。
どちらの場合でも最悪、町全体から攻撃される恐れがでてしまう。
どちらが上手くいく可能性が高いかを考え、
「・・・そうだね。一旦入ろっか」
結果、ミカが選んだのは迎撃だ。
会話の時、リリィは影の魔法については一切口にしなかった。そこは意識しているのだろう。
なら、その意識をしている状態ならば、戦闘で闇属性の魔法を使わないだろうと考えたのだ。
けっして、音に負けた訳ではない。
ミカとリリィの二人は裏路地に入る。
二分ほど入り組んだ道を歩いてミカは止まる。突き当たりだ。
「シャド「後ろの三人。尾行、してるんでしょ?出てきたらどうですか?」・・・へ?」
突き当たりで止まったとたんにリリィが魔法を発動しようとしたのでミカは少し慌てて言葉を被せる。
「へぇ、気づいてたのにこんな場所に来たのか?」
出てきた三人組、そのリーダーであろう男が怪訝そうに言う。
身長はおそらく190半ば程、背中に大きな両手斧を背負っている。防具は軽鎧と言った感じの物を着ているが、何故か腕が丸出しだ。腕はかなりゴツゴツとした筋肉が付いている。
取り巻き二人は動きやすそうな革装備で片方が片手剣、片方が短剣を腰に下げている。
「この町の地理に疎いので。僕も突き当たりに当たってしまったのは計算外です」
ミカは苦笑いを浮かべる。本当は何時でも逃げられるようにしたかったのだ。
まさか、この裏路地の道全てが行き止まりに当たってしまう場所だったとは思っていなかった。
「そりゃ、運がなかったな」
取り巻き二人が笑っている。
それに嫌悪感を覚えたリリィは行き止まりの方に少し下がる。
「で?目的はお金ですか?」
ミカはこのような状態なのに余裕の表情で笑っている。
「ずいぶんと余裕そうだな?自分の状況、わかってんのか?」
「袋小路、ですね」
男の言葉にも、ニコニコと答える。
だが、それも男の次の台詞までだった。
「ーーーああ、そっちじゃねぇよ」
「ムグッ!」
ミカの背後からくぐもった声。
とっさに振り向いたミカが見たのは、口に布を巻かれ、人質のようにされているリリィの姿だ。その背後には男の仲間であろう女性がリリィの首に果物ナイフのようなものを突き付けている。
「・・・二重尾行」
ミカの表情から余裕が消える。
二重尾行という単語は漫画知識で知ったものだ。わざと分かりやすい尾行をつけて、対象に見つけさせることによる油断を誘い、本命に気づきにくくするテクニックだ。
ミカはまんまとそれに引っ掛かった。
「目的を言ってなかったな。その魔族だ」
「ッ!?」
男がそう言った直後にミカは壁の方へと蹴り飛ばされる。リリィの方に気をとられていたのだ。
ミカは両手を突いて、クルッと反転しながら着地、したが、勢いを殺すことができずに、ズザーっと地を滑る。
ギリギリで壁にはぶつからなかったが、距離を取られてしまう。
「ちぃ!」
ミカは相手を見て舌打ち。男三人組の横に既にリリィと女は移動していたのだ。
「少し妾を、妾達を舐めすぎよ」
唐突にリリィの声が裏路地に響く。
ミカはリリィを見るが、口に巻かれた布は付いたまま。
では、一体誰が?
ミカがそう思った瞬間、男達が横に吹っ飛ぶ。
その四人がいた場所には人影が一つ残っている。リリィに似たシルエットだったため、彼女の影魔法かと思ったが、彼女は驚いて壁にぶつかった四人を見ている。
その表情から彼女は状況についていけていないことが分かる。自分がやったのならばそのような表情を浮かべたりなんかはしないはずだ。
「つっ!誰だ!」
両手斧を背負っている男がシルエットに向かって誰何する。
短剣を手に、取り巻きの男と、同じく短剣を取り出した女はシルエットを警戒している。片手剣の男は壁と両手斧に挟まれた衝撃で気絶したようだ。
誰何に対する答えはなかった。
「焼死、凍死、感電死、溺死、窒息死、圧殺、刺殺、絞殺、撲殺、斬殺、爆殺」
リリィと同じ声でシルエットは呟く。その声に合わせるようにして男達の周りに数多の魔法が現出する。
「「「なっ!!」」」
男達は驚愕に目を見開く。彼らの周りを囲っている魔法は基礎五属性全ての属性が存在している。
「好きな死に方を選ばせてあげる。・・・あぁ、自殺と生き埋めもありね」
二種類の属性の魔法を扱うだけでも高等技術と言われているのだ。それが五種類同時。
「あり得ねぇ・・・」
「う、そ・・・」
「まだ、死にたくねぇっすよ・・・」
三人は囲っている魔法を見て呟く。それでも何とか生き残るために穴が無いかを必要に探す。
「...フフ」
シルエットが笑う。
その声に三人は恐怖を感じて固まる。
「目移りしてるようね」
シルエットが腕を上げる。三人はそれを見つめることしかできない。
「なら・・・」
腕が三人に向けられる。
「特別に・・・」
掌を上にして、中指と親指を付ける。
「全部、あげるわ」
パチン、と指が鳴る。
同時に周りの魔法が三人に向けて射出された。
「っ!」
女がとっさに水の弾丸で迎え撃つがその全てが弾かれる。
女の魔法が弱いわけではない。シルエットの魔法が強力過ぎるのだ。
男二人も己の武器で防御体勢をとっている。
ほぼ同時に全ての魔法が着弾する、直前に地面が蠢き抵抗している三人、気絶している男、数多の魔法を包み、ドン!と内で爆発が起こったような音を響かせる。
そして、地面は四人を包んだまま元に戻った。
裏路地には男達どころか、戦闘の形跡までなにも残っていない。まるで、元々いなかったかのようだ。
ミカは警戒をしながら近づく。相手の姿がよく見えていない状態では相手の行動に対応ができなくなると考えたのだ。
シルエットはミカのことを気にしたようすもなくリリィに近づく。
シルエットの姿が露になる。
「リリィ、双子だったの?」
その姿はリリィと瓜二つだった。違うところは色くらいだ。
リリィの肌は病的なほど白いのに対して、もう一人の方は褐色の肌をしている。
髪も現在は青色をしているリリィだが、もう一人の方は燃えているような赤色。
髪型、声、服装なども同じなので、格闘ゲームの2Pカラーのようだ。
「い、いや、妾には姉妹も兄弟もおらん・・・はずだ」
その彼女に布をはずしてもらったリリィは困惑顔で答える。
「主様、一昨日もそうだけど、もう少し警戒心を持たないと。ミカがいるからといって必ずしも安全とは限らないんだから」
褐色肌の女の子はリリィに付いた汚れなどをはたき落としながら言う。まるで長年付き合ってきていたかのように。
「え?あ、主様?妾のことか?」
リリィは、どうしよう?といった表情でミカを見る。
が、ミカはリリィのことを気にすることなく褐色肌の女の子を警戒している。
(名前を知られてる。彼女の前で名乗っていないのに・・・更に尾行がいた?)
ミカには彼女の目的が分からなかった。
「・・・君は誰?リリィの影武者かなにか?」
仕方なくミカは彼女に尋ねる。答えが返ってくる可能性は低いと思っていたのだが、
「誰?と言われてもね・・・妾には名前がないの」
影武者でもないわ。と彼女は困ったように笑いながら言う。
「名前がない?捨て子かなにか?」
「ううん。違うわ。自意識を持ったのも一昨日だったし」
意味がわからなかった。
ミカもリリィに困惑顔を向ける。
視線があった二人はそのまま首を傾げる。
「一昨日にリリィに会った、みたいなこと言ったよね?それはどこで?」
ミカはとりあえず、誰かは置いといて質問を変える。そもそも会った記憶がミカに無いのだ。
「ちょうど、お肉を食べ終えた辺りね。皿洗いに呼ばれたわ」
「え?」
リリィは首を傾げたままだったが、ミカには思い当たることがあった。
「リリィの影・・・」
ミカは彼女が皿洗いしている時にリリィとスライムについて話していた。
あのとき、彼女がミカにヒントのようなものをくれたときにリリィは全く気づいた様子がなかった。彼女はリリィが操作していたにも関わらず。
あのときから自意識を持っていたということだ。
「その呼ばれ方はあまり好きじゃないわね」
好きじゃないと言いつつも、会話そのものが楽しいようでニコニコと明るい声で彼女は答える。
「でも、正解。妾は主様、リリィの魔法そのものよ」
リリィそっくりの少女の言った言葉にリリィは驚いているが、ミカは驚愕よりも先に疑問が生まれた。
「魔法が意思を持つことってあるの?」
「え?妾は聞いたことないが・・・」
ミカはリリィに問いかける。
リリィは自分に質問が来るとは思ってなかったようで一拍遅れて答える。
「・・・現に目の前におるであろう?」
二人揃って彼女、リリィそっくりの少女をじっと見つめる。
リリィの台詞にミカは言い返せない。当然だ。いるのは事実なのだから。
「君はどうやって意思を持ったの?」
ミカは深く考えるのを止めて彼女に問いかける。どうやら彼女はミカを信用しているらしく簡単に答え始めた。
「ミカ、主様もだけど、二人は魔法がイメージで発動するのは知ってるわよね?」
まだ信用していなかったミカは彼女と微妙に距離を取っていたのだが、その間を詰めながら問い返される。
当然、習ったばかりなのだから知っている。ミカとリリィは二人して頷く。
ついでにミカは彼女から再度少しだけ距離を取っておく。
「むぅ・・・」
彼女はミカに警戒されているとわかって頬を膨らませて少々不機嫌になった。
「...全く、あのときヒントあげたの妾なのに。何で警戒するのよ」
今回だって助けたのに・・・などと、しばらく、ぶつぶつと文句を言って進まなくなったのでミカから声をかける。
「それで、何で今魔法の発動方法が出てくるの?」
「だいたーーーえ?・・・あ。んんっ!じゃあ聞くけど、魔法を発動するときのイメージ、これって何?」
彼女はミカに問いかけられて現実に戻ってきた。何が恥ずかしいのか少し赤くなった後に、真剣な表情でミカ達に問いかける。
「何って、空想であろう?」
「頭で考えただけのもの。それが現実に有るかどうかに関わらず、頭で形創ったもの。そんな曖昧なものでしょ?」
リリィとミカは彼女の哲学のような問いにそれぞれ思っていることを答える。
その答えに満足しているのか彼女はニコニコしている。
表情がよく替わる子だなぁ、とミカは思ったが、一応真剣な話だと思っているので表には出さない。
「うんうん、そんな感じ。じゃあ、その範囲は?」
「範囲?」
リリィが首を傾げるが、ミカは少々自信なさげに答える。
「・・・全て、じゃないかな?」
「お?例えば?」
ミカは顎に手を当て考える。
「例えば、将来の自分とかもイメージだよね。後は、知ってるものを考えること、夢とか、勝利とかの見えないものもそう。・・・周りの視線とかも結局は想像だよね」
「視線は空想ではなかろう」
思い付いたものを羅列していたミカにリリィが突っ込む。
「どうして?」
「へ?」
ミカはリリィへと聞き返す。その表情はキョトンとしていて、本気で言っていたというのが分かる。
「だって、そこにあるであろう?実際に見られておるのだから空想ではないのではないか?」
「それって本人に確認しないと本当か分からないよね?ほら、最初は自分がそう思ってるだけ。イメージじゃん」
リリィは確かにあるものとして感じていたのだが、ミカの言葉に言い返せない自分に驚愕する。
「その発想は妾にもなかったわ」
彼女も驚愕していた。
「てことは大外れですか」
「いえ、そうでもないわ」
肩を上下させつつ言ったミカの言葉を彼女は否定する。
「確かに視線うんぬんは関係ないけど、その前、見えないものっていうのが正解ね」
彼女はその場で自分を見せるようにしてくるりと一回転。ふわりと彼女のドレスのスカート部分がギリギリのところまで持ち上がる。
「妾は主様の『一人になりたくない』という『願い』によって生まれた存在よ」
彼女はリリィにギュッと抱きつきながら言う。リリィはよくわからなずになされるがままだったが、次第に赤くなっていく。
どうやら、彼女の言葉で朝のことを思い出してしまったようだ。
「・・・」
そんな二人をミカは可哀想なものを見る目で見ている。仲間はずれにされたことは関係ない。
(つまり、彼女はリリィのエア友達の具現ですか・・・)
なんていうか、可哀想。ミカはそんな感想しか持てなかった。
今回、彼女を出したいがために、少々無理をしている気がします。
出来、悪いですかね?やっぱり。小説は難しい。
次週は、初めてのお買い物@異世界、です。




