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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

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第339話 終わりの桃源郷

「お、おぉ……」


 俺と四条さん、川奈さん、そして御剣さんは池袋にやって来た。

 そこは、KWNの子会社【KWNモータース】のVIP専用スペース。

 川奈さんを前に、揉み手をする営業マンが凄い。


「これはこれは川奈様、ようこそいらっしゃいました」


 揉み手からの営業スマイル。そして深いお辞儀。

 親父の営業時代もこんな感じだったのだろうか?

 いや、親父ならもう少し人にすり寄る営業をするだろう。

 穂積(ほづま)社長の時がそうだった。そう考えれば、この営業マンは親父と違うタイプという事だ。

 営業も色々大変だろう。【命謳(めいおう)】も今後は色々売り込まなくちゃいけないし、彼の営業も参考にさせてもらおう。


「それで……何で【KW-ZXM(ズィクシム)】?」


 (ズィー) Xanadu(ザナドゥー) Mk2(マークツー)】。【終わりの桃源郷】と皮肉を込めて呼ばれる、対モンスター用の軍用走行車両である。

 ――終わりの桃源郷。

 何故そう呼ばれるのか。

 対モンスターとはいえ、Cランクまでのモンスターしか攻撃を耐えられないからだ。勿論、特殊攻撃をするCランクであれば、耐えられないかもしれない。

 あくまでCランクまでは籠城出来る頑強さを誇っている……というだけである。故に人類最後の砦という事もあり、【終わりの桃源郷】と揶揄されたりもしている。

 ――のだが、それを【命謳(めいおう)】で持つって?


「一体全体どうしてこんな話になったんです?」

「川奈社長とららが話し合って」


 そりゃ、誰も口を挟めないや。


「『今後、要人の護衛もあるだろう』って、ららが川奈社長に言ったら――」

「――『確かにー』って」


 四条さんの言葉に川奈さんが相槌のように言う。


「んで、『【KW-ZXM(ズィクシム)】とかあると護送とか楽だよね。あ、でも最近は危険がいっぱいで生産追いついてないんだっけ?』って、ららが川奈社長に言ったら――」

「――『そうだねー』って」


 全部川奈さんが説明した方が早いのではないだろうか?


「最後に『という訳で手配お願い』って、ららが川奈社長に言ったら――」

「――『わかったー』って」

「で――」

「――これです」


 チームワーク完璧だな。

 俺は御剣さんに振り返り、【KW-ZXM(ズィクシム)】を指差し言った。


「これは癒着(ゆちゃく)って書いても文句言いませんから」

「は、ははは……」


 まぁ、御剣さんも書けはしないだろうけど。

 何故なら、その御剣さん本人が護衛対象となってしまったのだから。


「確かにいつかは車両も欲しいって事で、一階にガレージがあるビルを選んだけど……これ、俺が運転するんですか?」


 聞くと、四条さんが答えた。


「ウチで免許持ってるのは……きゅーめーと翔と水谷。ららもあるんだっけ?」

「はい、ペーパーですけど」


 なるほど、川奈さんも天才派遣所を通して免許を取ったのか。

 ……いや、川奈さんの事だから別の手段で、という事も考えられるか。


「あれ? たっくんは?」

「山じーは持ってない」


 それは意外だ。


「自分で走った方が早いから、だって」


 その通り過ぎて何も言えない。

 まぁ、たっくんの場合、周りの皆が運転しただろうし、クランで護送なんて時代には生きていなかった。現代になり、それが必要な場合はやっぱり【インサニア】の若手がそれを担っていたのだろう。


「あ、月見里(やまなし)がいたか。あいつは運転出来るな。スカウト班の必須項目みたいなもんだし」

「そういえば、最近バイク姿の月見里(やまなし)さんを見ないな?」

「あれ? 聞いてないか? 【命謳】に入るちょっと前に売ったんだって」

「あー……」


 切羽詰まってたもんな、あの頃の月見里(やまなし)さん。

 今では銃器を持って出稼ぎに行くようになって……ちょっとした小金持ちみたいな感じになってるよな。


「それじゃあ、八王子まで下道で帰りましょうか。それで川奈さんも運転しつつ」

「うぇ、わ、わわ私ですかっ!?」

「いざという時、乗れる人が多い方が良いでしょうし。それに、俺が隣に乗るんで、しっかり教えますよ」

「マンツーマン指導って事ですかっ!?」


 いや、そんなに目を輝かせなくても……四条さんも御剣さんも乗るんだけどな。

 俺に肉薄する川奈さんを四条さんが引っ張りつつ、俺は営業マンが渡してきた書類にサインした。


「へぇ、リースって扱いなんですね」

「そう、それもKWNからウチへの貸し出し扱い。だからいくらぶつけても請求はKWNにいく」


 何それ、怖い。


「……うーん、しかし……」


 軍用走行車両なだけあってとにかくデカいな。

 内輪差を考えるとかなり癖がありそうだ。

 まぁ、それでも説明書を見る限り自動運転機能も手動時のアシストもかなり充実してるから、そうそう事故は起きないだろう。


「きゅーめー、もう説明書読み終わったのか……?」

「あぁ、わかりやすい説明だったので、一通りは……どうかしました?」

「い、いや、何でもない」


 俺は車のグローブボックスに説明書を入れ、営業マンに向き直った。


「それでは、こちらがキーでございます」

「ありがとうございます」


 キーを受け取ると、まずは俺が運転席に乗り込む。

 そして助手席には――、


「「ん?」」

「え?」


 川奈さん、四条さん、そして御剣さんが……何故か助手席側でお見合いしていたのだった。

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