第十三話 本当に異世界
「召喚者よ、世界を渡る旅。大変ご苦労であった」
なびく見た事もない綺麗な髪。宝石のような瞳
ものすごい装飾がされた杖をガツンと地面に着ける女性は王冠をつけていてまるで王女様みたい。
(どういうこと…?まって…あの人見た事ある)
マリコは訳も分からずにぼーっとまるで他人事のようにその様子を見ていた。
「この世界は魔物に溢れています。魔物を殲滅し、魔物を使役する魔王を倒す…!それが異世界から召喚された貴方達の使命なのです!このシルバーリーフ王国が国を上げて歓迎します」
神父服に身を包んだ男性、耳は作り物では無いとんがった耳。まるでエルフみたい…もしかして…
周りには困惑したクラスメイト。
そしてしばらくして女王陛下と呼ばれた女性は背を向け複数の騎士を引き連れ出ていったのだ。
「召喚者御一行、こちらへ」
そう言って騎士達が大きな装飾の扉を開き、マリコ達は中に入る。
そうして、大きな部屋に私達は待機させられているわけだ。
「ねぇ…ミサ。これってさ」
「うん…」
ミサとマリコが顔を合わせて頷いていると
「何か知ってるのか?」
っと正面に座っていた長山武龍がミサとマリコに声をかけた。
「あのね」
口を開いたマリコに、クラスメイトの視線が集まる。
「ここ…デスモーションっていうゲームの中…だと思う」
「はぁ!?ゲームの中!?」
タクミが大声を上げズカズカとマリコの方に歩を進める
「ほんとかよ!」
「た、多分だよ!でも。あの女王様とか見たことあるし。話の内容もゲームと一緒だったし」
ミサもその話に続けた
「マリコと…、マリコと一緒に遊んだゲームなの。国名からも間違いないと思う。」
まじかよ…そういったタクミが項垂れ、アイコが傍による
「ゲームとか意味わかんないし、もう帰りたい…そのゲーム帰れる方法とかないの?ってかもしかして何かのドッキリだったりしない?」
っと言った時
「な、なにこれ!」
「モリッチー!どうしたの?」
いきなり声を上げた担任のカオリ空中でハエを払うみたいな仕草で手をぶんぶんと振る
「こ、これ…」
「なに、モリッチ、頭イカれたん?」
っとアイコが変なものを見るような目で見つめる。
「ゲームならウィンドウとか出ないかなぁって…そしたらウィンドウが!見えない?ほら!」
「ウィンドウ…?」
そう呟くとマリコの前にポンッと音を立てウィンドウがでてきた
「なっ!」
そう、目の前に表示されたのはゲームでいつも見ていたゲームUIだ。
マリコ・タナカ LV.1 種族:人間 (異世界人)
【職業】:聖女 【適正属性】 光
【戦闘スキル】
聖魔法LV.1
【生活魔法】
言語理解
体力:1000 魔力:1000
攻撃:30 防御:20
敏捷:30
【装備】
頭:なし
胴:制服 (上)
腰:制服 (下)
足:靴下
右手:なし
左手:なし
(デスモーションのUIとは少し違う…)
本来なら他にもアイテム一覧とか、装備一覧が見えるはずなのだがステータスしか書いていなかった。
「へ…」
1つの項目に目を向けマリコは間抜けな声を出す
(聖女?)
そう、確かに自分の職業には聖女と書いてあったのだ。
聖女のジョブは本来、神殿関連のクエストをこなしレベルを上げて貢献レベルをあげることにより試験が受けられ、それをクリアすることによってようやく手に入る職業。クエスト難易度も高いしマリコ自身ゲームではまだ手に入れてない職業だった。
(本当にゲームの世界?)
ウィンドウは指先でスマホをいじるように触れると貫通せずに触れれるようだ、本来なら職業欄を押せば他の職業に変えることができるのだが、職業の詳細しか見れない。
それに適正属性なんて項目あっただろうか。召喚された異世界人という設定のプレイヤーは基本的に何でも使えて、レベルを上げるか、特殊なクエストをクリアしたり本を読んだりすることでスキルが手に入り、他の特殊なスキルが欲しい時は職業を変えて職業レベルを上げるか、
またその職業の状態でしか使えないスキルもあって、それでバランスの良いパーティを組んで…。そんな流れのゲームなのだ。
だから敵に有効な属性というものはあったが、プレイヤー自身に適正なんてものはなかったのだ。
(適正じゃない属性スキルは手に入らない?それとも手に入るけど魔力に影響が…?)
そこでタクミが声を上げた。
「皆なんの職業?俺魔剣士!」
「アイコはね〜舞姫だって、なにそれ?」
「ねぇ!マリコはなんだった?」
「そういうミサは?」
「私はテイマー!魔獣使いだってさ。たしかテイマーってサブクエストで手に入る職業なのにねぇ、なんで最初から…マリコは?」
「私は…聖女」
「聖女…?」
皆の目がマリコに集まる
「タナカが聖女とか似合わねぇ!!」
ブフゥっと吹き出すような声が聞こえたかと思えば腹を抱えて笑っているトウヤ。
「そういうトウヤはなんなの?」
「俺は料理人!」
「いや、そっちの方が似合わないから」
そうマリコが言い返す、トウヤはやんちゃでよく委員長に怒られているような奴が料理人?
「いいんちょーは?」
「私は…薬師」
不安そうな顔をする委員長、まだこの世界に困惑している様子が伺える
「ほら!似合うって言うのはこういう事だぜ!委員長頭いいから薬作ってそうだもん」
「うわぁ、バカの考え」
「あん?」
すると、マリコは対面に座っているタケルがおそらくウィンドウを見ているのか宙を見て固まっているのが見えた。
「ねぇ、タケル君は?」
「お、おれは…」
するとタクミがタケルの肩に手を回す
「お前ガリ勉で真面目だもんなぁ!商人とか似合うんじゃね!」そんな職あるかわかんねぇけどー!なんて笑うと
「…ゆ、ゆうしゃ…勇者だった」
マリコとタケルは顔を見合せた




