召喚されたもの
「どういう事だ!どうなっているんだよ…」
ガンッと思いっきり椅子を蹴り飛ばす。
制服を着た男子生徒はガシガシと頭を掻きむしってさっきの暴れ用はどこへやらふとしゃがみこみ俯く。
「落ち着きなよ…卓巳」
明らか高級に見えるりっぱな長い長い机、立派な椅子。
そして装飾された部屋。
男子生徒の名を呼んだのはネイルをギラギラと光らせ疲れたように机に頬杖をつく、鈴木愛子
「だってよ!!理解できねぇだろ!」
そう言って立ち上がった卓巳と呼ばれる男子生徒。
渇島卓巳
それをボーッと魂が抜けたように、そう他人事のように見つめるのは田中真璃子
(どうして__こうなったんだろうか)
マリコは1時間前に起きた出来事を思い出していた。
高校二年生のマリコらはもうすぐ三年生ということで受検の準備をしていた、どこに受けようか。それとも働くか。将来の道を選んで進もうとしていた。
(行きたい場所…無いんだよなぁ)
行きたいところも特にないし、専門も…就職はめんどくさいし。何もしないでこのまま高校生が続いたらいいのに。
配られた進路調査アンケートは空欄で、シャーペンが転がりまた、書き進める気もしなかった。
すると、ポンポンっと肩を叩かれる
「ん?なぁに、美冴」
後ろの席のミサが肩を叩いてきたため椅子を後ろに傾け、ガツンっとミサの机にぶつかる音が響く
「ねぇねぇ、放課後ここ行かない?」
後ろから伸ばされた手にはスマートフォンが握られていて、そこには新しくオープンしたカフェの広告が掲載されていた。
「え、近い!いこいこ!しかも安いじゃん」
「オープン記念でやすいんだって〜」
「こら!そこ!まだ授業中なんだからね!」
「あーごめんなさーいモリッチ〜」
っと、軽く謝るミサ。
「まったく…」そう言って黒板に向かうのは、担任である
森田歌織。
「なぁーもう帰っていー?」
「だめよ、帰っちゃ」
「えーだってよ委員長。こんなのまだわかんねぇもん」
ヒラヒラと空欄の紙を靡かせる丘太 桃矢
そして委員長と呼ばれピシッと背筋を伸ばし机に向かうのは香林 さやか。
そんなごく普通のクラス。田舎よりなのもあって人は少ないが
男子8人
女子生徒11人
担任1人
皆ニコニコと笑う学校生活を送っていた。
すると__
キーンコーンカーンコーンっと、チャイムがなり始め授業の終わりを知らせる
キーン…コン…カンココココ…
「え?」
マリコはそのまるで壊れたラジオのように途切れ途切れになるチャイムに首を傾げる
「あら、故障かしら…」
カオリがスピーカーの方に目を向ける。
二回ほどでおさまるチャイムも
キーン…コココ…カ…ン__
っと三回目が流れ始める
「いやホラーかよー怖ぇよ!」
「マジそれ!何怖いんですけど!」
ぎゃははと大笑いし始めるタクミとアイコ
「ちょっと、あれ?どうして」
カオリが困惑した様子で教室に着いているスピーカーの音量調節のツマミを動かすが音が無くならない
段々と困惑する生徒達
ミサが何か気づいた様子で指を指すのは窓の向こう
「ねぇ、おかしくない?あの雲」
それに続いてマリコが窓の方を見た
「え…?気持ち悪い」
雲が高速で、そう。動画で雲の移動を撮影しそれを3倍速で流したかのように。雲がグワングワンと流れるのが見える。
「飛行機雲じゃね?」
「いや…飛行機雲でもあんな早くないよ…明らか遠い雲なのにこのスピードはおかしいって」
ふざけていたタクミもアイコも立ち上がって窓に張り付く。
キーン…コ…
再びチャイムが聞こえた時、眩いほどに明るい光に包まれた。




