第91話 魔導拳法・氷振流!
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「くっ!?」
マリエッタは左右上下から不規則に繰り出される敵オーガの集団格闘術を寸でのところでかわす。
敵は最低でも3名から4名同時に左右上下から同時に棍や拳、蹴りで攻撃してくる。
寸でのところでかわすマリエッタ。
防御魔法で防いでいるが、かなりの闘気による衝撃が伝わってくる。
帝国自慢の防御魔法がなければ、直接触れなくてもかすっただけで深手を負う強烈な闘気を帯びた攻撃。
胸や腕に着いた部隊章が単なる飾りでないことをマリエッタは認識した。
同時に内心むかっ腹が立ってくる。
息つく暇なく攻撃を繰り出すオーガたちのコンビネーションに隙は無く、奴らに息切れの様子はない。
無尽蔵のスタミナと3メートル近くはあるガタイから想像できぬ敏捷さと巧妙な拳打と蹴り、拳法で使う棍を駆使する打撃は並の戦士や魔導士なら内臓を一瞬で破裂させられるか全身の骨を粉砕されている所だろう。
だが、マリエッタは華麗に宙を舞い、それらの攻撃をすべてかわし切る!
「帝国魔女め!ちょこまかと魔導士のくせに俺たちの攻撃を見切るとは!」
「その動きは多少の体術の心得があるな魔女!」
「隊長、こいつ解体してもいいですかい!」
「好きにしろ、だが“尋問”のために虫の息くらいは生かしておけ」
隊長格のオーガには余裕がある。
マリエッタはわざと魔力を低めにセーブしておいた。
「さっきから勝手なことばっかり言って、自分たちの状況が分かっていないようね!」
「何を言っている帝国魔女!お前こそ降伏しろ!我々オーガは共和国随一の魔導拳法の使い手から成る。これまで貴様ら帝国魔女も何人か屠ってきた我等の誉となれ!」
「共和国に異種族から構成された拳法使いの異形の部隊があるって聞いてたけどあんたたちだったのね!おかげで我が軍の部隊もずいぶん世話になったって聞いてるから、お礼をしなきゃね!」
「何をぬかすか魔女め!!いくら防御魔法に優れていようと我らのコンビネーション、いつまでも防ぎきれ……」
オーガの一人が叫びながらマリエッタに闘気と魔力を同時に帯びた回し蹴りを撃ち込まんとした時。
「たああっっっ!!!」
「ナッ!?ぐふううううっっ!!!!」
マリエッタの左正拳突きがオーガのみぞおちに炸裂した!
そのまま3メートルの巨体がレンガ造りの壁へと叩きつけられる!
「突きだと!?貴様まさか!?」
しかも、壁に叩きつけられたオーガのみぞおちのあたりが凍り始め、オーガの表情に焦りと恐怖がにじみ出始めた。
瞬間、マリエッタに襲い掛かろうとしたオーガたちが動きを止めた。
マリエッタの全身に凍えるような冷気がまとい、全身が白く輝いていく。
その両手には輝く冷気が宿る。
「きっ、貴様それは!?」
「魔導拳法・氷圓陣!」
マリエッタは目にもとまらぬ速さで野盗集団の間を走り切った!
その間を抜けた時、マリエッタは手に宿した氷属性の魔法を解除した。
「何をした帝国魔女?蚊ほども聞かんぞ!」
「少しは楽しませろやああああ!!!ってえええええ!?????」
マリエッタが瞬間的に通った後、その場にいたオーガたちの全身が凍り始めた。
体には無数の突きが撃ち込まれた跡が生々しい。
だが、オーガたちは全く痛みを感じなかった。
すでに彼らの肉体は痛覚を失い、壊死するまで凍り付いていたのだ。
「ぷっプゲジャ!!!!」
「はあああっうう!?体があああ散ってえええええ!!!!!!!」
オーガたちの体が凍結後にフリーズドライされたように凍った状態で粉々に散っていく。
凍らなかった部位はそのまま肉片として地面に落ち、断面は凍って血まで固まっている。
頭だけ凍らなかった3名は頭だけ石畳の上に落ちた。
「むううう、これは闘気!?魔導士から闘気だと!?しかも、それはまさに東風より伝わりし魔導拳法の一派!?」
にわか元気な表情から一転、武術を極めたオーガの隊長ですら驚愕を隠せない。
「ご名答、さすが魔導拳法を修練してるだけのことはあるわね?」
「バカな!?帝国は、それも帝国の魔女どもは魔法を重んじ魔導拳法を修する者など聞いたことがない!?貴様何者だ!?」
「我がブルーメントリット家はそこいらの奢った帝国貴族とは一味違うの。相当の腐れ外道の呪術とか以外は優れたものは何でも取り入れて我が物とする!それが我が家の家訓よ!」
マリエッタは両方の拳に魔力と闘気を集中する。
「それはまさに東風における氷振自在拳!?氷振流魔導拳法の一派!?」
「あなたの拳が電撃なら、私の拳の極意は氷、我が拳の前にはすべてのものは凍結し、砕け散る!」
「私は急いでるの!早急に片づけさせてもらうわ!」
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