第82話 白い牢獄からの緊急移送
いつもお読みいただき誠にありがとうございます
よろしければ評価、ポイント、ブックマークをよろしくお願いいたします。
カーツ共和国軍第1軍病院。
最上階閉鎖病棟。
エリカはエルフの里へ向かうと決まったその日からここに幽閉されている。
何か薬などを盛られるのではないかともエリカは思ったがその様子はない。
しかし、代わりに先日までの部屋の雰囲気とは打って変わって囚人になった気分だとエリカは眉をひそめざるを得なかった。
最上階にあるその部屋は窓があることはあるがとても高い位置にあり、しかも小さいため魔法力がない限り脱出は不可能な造りになっている。
当然今のエリカは魔法力がほとんど封じられ、頼みの銃器すら没収されていることからまず逃げ出すことはできない。
さらに前の幽閉病棟も扉は頑丈だったが、この部屋はさらに分厚い鉄板で出来た3重の鍵が掛けられる牢獄の様な造り。
当然特殊魔法で施錠されるからピッキングの手口も歯が立たない質の悪い造りだとエリカは心の中で舌を打つ。
この部屋で一週間近く過ごすとなるとすぐの様で気が滅入るなあ……。
そうエリカが考えていた矢先のことだった。
にわかに廊下があわただしくなってきたのが聞こえてきた。
「エルミア魔導中尉殿、いかがなされたので!?」
「詳細は言えません!けれどエルフの里への出発が早まりました!エリカさんを出して!」
エルミアはマクリーン局長とウィラード大尉の連署した命令書を警備する3名の共和国軍第一級魔導士たちに見せた。
それを見た瞬間に彼女たちはすぐドアの魔法ロックを解いた!
「エリカさん!今すぐ支度をしてください!エルフの里へ出発します!」
「……どういうこと?確か出発は一週間くらい後とあなたは言ってたはず……」
「急いで!」
エルミアはエリカの言葉に正面から答えない。
尋常ではないほど慌てるエルミアの様子を見るに何かあったことは確かなようだ。
エリカは魔力を大幅に失っているとはいえ、魔力を鍛錬した時の直観力は今もある。
どうもこの首都ルースのどこかで騒擾が起きている気配をかすかにエリカは感じ取っていた。
エリカが寝間着を脱ぐのを渋っていると、エルミアと従者の第一級魔導士の少女(エリカより年下)に無理やり素っ裸にされた。
さらにエルミアは一瞬で着衣魔法を唱えてエリカに魔導士の服を着せた。
上は魔女帽子からローブ、ブーツまで白一色。
完全に共和国軍魔導士の格好だった。
「ちょっ、ちょっとエルミア!!私は共和国軍へ入隊した覚えはないわよ!!!」
「実質的に同じことですよエリカさん♬もうあなたは逃げられません♬」
エルミアのニヤつく笑みは屈託のない分、質の悪さをいまさらながら背筋に感じるエリカ。
「さあさあエリカさんついてきてください♬」
エルミアに手を引かれてエリカは部屋を出る。廊下では第一級魔導士、それも相当の手練れが私の背後側面を即座に固めてエリカを連行する。
エレベーターで降りたのはいつもの1回ではなく地下3階。
エレベーターのドアが開くと、そこは地下の馬車発着所になっていた。
それもどうやら普段は使われていない感じで、緊急に軍用の駅馬車が用意されたのは雰囲気から大体わかる。
「ご苦労様エルミア中尉。それにエリカ、我ら共和国の白い制服はあなたの美しい顔にとても似合っているわ」
ランスブルク中佐もそこで待ち構えていた。
「ランスブルク中佐……まさかあなたも一緒に……?」
「無論だわエリカ。かわいい後輩なんだもの、少しは気ままに旅しましょ♬」
「時間がありませんランスブルク中佐殿!ウィラード大尉はこの先北口凱旋門付近で合流予定です!エルミア中尉殿もエリカさんと一緒に早く乗ってください!」
軍用の駅馬車を運転する屈強な共和国軍戦士(おそらく魔法も使える魔導戦士の連中か?胸の記章のデザインから多分共和国軍の第37魔導猟兵師団の所属か?とエリカは一瞬見えた彼の姿から推測する)がエリカたちに早く馬車に乗るようせかす。
渋々共和国魔導士の制服を身にまとうエリカが駅馬車の1つに乗りこむと後からエルミア、ランスブルクの順に乗り込み、駅馬車3台は地下道をカンテラの明かりを頼りに飛ばし始めた。
執筆の励みになりますのでよろしければブクマをよろしくお願いいたします。




