第83話 義勇兵ギルドの死闘
お読みいただきありがとうございます。
よろしくければブックマーク、評価、ポイント、感想をよろしくお願いいたします。
「構え、てえっっっっ!!!!!!!!!!」
指揮官が甲高い切れのある叫び声を挙げた!
横隊に並んだ真っ白な魔女帽子の一団である共和国軍魔導士部隊5名が一斉にマリエッタに死の火球弾魔法や氷結魔法を放った!
広々とした義勇兵ギルド内で攻撃魔法がさく裂し、調度品や酒瓶などが次々と破壊され、あるいは炎上、または氷結されて砕け散る。
共和国軍魔導士はおのおの得意な攻撃魔法を駆使してくるためか同じ部隊でも攻撃魔法の種類は様々だ。
だが、これも一つの魔法が利かない敵にも数撃ちゃ当たるの論理で必ずダメージを与えて仕留められるように計算されている。
どの魔導士の防御魔法にも弱点となる魔法分野があり、ある攻撃魔法や状態異常を作り出す補助魔法への耐性が強くてもある分野は苦手という場合が多い。
故にショットガンのようにどれかが当たって仕留めればいいという寸法だ。
幼稚だがしかし実力が帝国軍魔導士に劣る共和国軍魔導士が対等に戦うためには確実な戦術と言える。
故に共和国軍魔導士は一部実力者を除いて帝国軍魔導士と対峙するときは帝国軍魔導士1名につき最低でも5名1組で戦う。
おまけに魔力回復ポーションを多めに所持して魔力の圧倒的差をカバーしている。
さらには在野の外道すら義勇兵として取り込んでその戦術も採用する節操のなさだ。
だが共和国軍でも外道魔法使いは帝国同様密かに蔑まれている。
帝国との違いはそれが表には決して出さないというところだ。
全種族平等という共和国の偽善があるからかもしれぬと帝国ではしばしば笑いの種になる。
だが、帝国軍第一級魔導士のマリエッタの前にそれは全く通用しない。
「くっ、帝国魔女めええ!!!」
「何かしているの?まるでなんにも感じないわよ?あなたたちホントに共和国の第一級“魔女”なの?」
チェコ製アサルトライフルBREN2の照星照門を共和国軍魔導士の一団へと向けて離さないマリエッタは展開した防御魔法で連中の攻撃魔法や状態異常を引き起こす補助魔法を完璧に防ぎきっていた。故に共和国軍魔導士や義勇兵在野魔法使いの魔法は全く効かないため、敵の魔法攻撃をすべて正面から受け止めてマリエッタは平然としている。
立射の構えのまま敵の魔法攻撃を受けて平然とするマリエッタは間髪入れずBREN2のセレクターをフルオートにし、引き金を共和国魔導士部隊へと絞った!
乾いた甲高い音がギルド内へと響きわたる。
何人か戦士や在野魔法使いが倒れた。
しかし、共和国軍魔導士の一部はそれを防御魔法で防ぎきっている。
物理防御はある程度できる共和国軍魔導士はいるからだろう。
「舐めるな帝国魔女!貴様の金属の矢など通用し……」
ズガ!?
反撃の魔法を唱えていた共和国軍第一級魔導士の額を氷の矢が貫いた!
マリエッタが銃をスリングベルトで下に下げた直後、得意とする氷系の攻撃魔法でつららのような氷の槍を作って瞬時に手のひらから放ったのだ。
丁度アサルトライフル射撃の直後にライフルを下に下げてスリングで体に吊るした状態でピストル射撃に移行するテクニックと同じ動作をマリエッタは瞬時に行っていた。
「私が銃だけで攻撃しますっていつ言ったのかしら?共和国魔女ども!!!」
額を貫かれた共和国軍魔導士が糸の切れたパペットの如く仰向けに倒れこむ!
倒れこんだ拍子に手に集束されてマリエッタへと放たれる予定だった火炎攻撃魔法が隣にいた戦士や魔導士、義勇兵魔法使いらへと誤射されて火だるまになった義勇兵魔法使いと戦士がマンドラゴラのような悲鳴を上げる!
「こんのおおお!!!!!!」
筋骨隆々の軽装鎧の戦士が戦斧を両手で構えながらマリエッタから見て斜め横のギルド内の名簿棚の影から突進してきた!
マリエッタは寸ででそれをかわす。
全力を込めた斧が空を切って木製の床に派手にめり込んだ!
マリエッタは迷わず至近距離からBREN2の引き金を絞った。
乾いた発砲音と共に木の床に戦士の血が飛び散り、床に倒れこんでこの世への余韻を残した痙攣を始めた。
まだ柄に戦士の体温が残った戦斧は床にめり込んだまま切り株に突き刺した状態で床に刺さっている。
「ぐううっ!おのれ帝国魔女め!」
悪態をつく在野上がりの義勇兵にマリエッタは徹底した蔑みの目を向けた。
「さて、お遊びはこれくらいにして私は用事があるの?」
「どいてもらおうかしら!」
マリエッタは手のひらから氷結魔法をギルド内全体へ放った。
まるで冷凍室のように瞬時にギルド内内装は氷で覆われ、ある者は足まで凍り付いて動けなくなり、ある者は氷漬けは回避してもスケートリンクのようになった床に足を取られて転倒した。
そのまま窓を蹴破って表通りへマリエッタは脱出した。
直後、すかさず魔法箱から異世界の兵器を取り出し、ピンを手で抜きそのままギルド内へと投げ込むと空中でレバーが外れた。
ギルド建物内へ投げこまれた刻みの入った大きい卵のような金属体と、同時に何かの缶が投げ込まれたことに氷に足を取られた共和国軍魔導士や戦士たちがキョトンとする。
「まずい!これからは破壊の匂いがす……!!!!!!!」
共和国軍魔導士が叫ぶのは一瞬遅く。
ドググオオオォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
炸裂した手りゅう弾の爆発に悲鳴すらかき消され、義勇兵ギルド建物内は爆発した。
手りゅう弾一個なら破壊力は限定されるが、マリエッタは偶然ギルド内に置いてあったランプ用アルコールの缶も同時に投げ込んだのだ。
同時に口笛を吹くとどこからか金属製の箒が飛んできてそれに跨った。
「かすかだけどエリカの魔力を感じる!……こっちか!」
マリエッタは第一軍病院から北へと向かう通りへと向かって飛行し始めた。
一方、エリカたちは……。
「!?」
エルミアとランスブルク、そしてエリカが何かの気配を感じたのは丁度第一軍病院秘密通用口の坂を駅馬車が登って地上に出た頃だった。
「どうやらウィラード大尉の言ってたことはホントみたいですね、ランスブルク中佐!」
「ええ、義勇兵ギルドの方から帝国の周波数を感じるわ!」
「ではランスブルク中佐、エリカさんを頼みます!北口凱旋門でウィラード大尉と合流してください!私も絶対に間に合わせます!」
「エルミア中尉!相手は帝国の魔女。それも帝国貴族よ。油断しないで!」
「分かっています!私は外人部隊人事部長です!危機の時に最前線で指揮をとらないと義勇兵が種族関係なく登用される建前がまずくなりますから私が行かないといけませんからね!」
そう言うとエルミアは走行中の馬車のドアを開けて飛んだ!
瞬時に亜空間から箒を取り出して義勇兵ギルドの方角へと飛んでいく!
執筆の励みになりますので、よろしければブクマをよろしくお願いいたします。




