第70話 エリカ、偽りの決意
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それから3日間、私は部屋に軟禁されたまま沈黙した。
ごくわずかに残った魔法力を何とか駆使してかすかな魔力周波数を探知しているが、今のところまだマリエッタが来る気配はない。
私の力が封じられたせいで以前なら楽にできたことが……。
一瞬壁を思い切り叩きかけたが寸でのところで止めた。
ドアの外にいる魔導士に聞こえるとまずい。
ただ、2日目に確かこの国の傭兵ギルドがあると考えられる方向から妙な魔力の上昇を感じた。
私も先日の観光の時にルースを始めて歩いたが、その前から敵国であるこの国の地理はかなり詳細に頭に叩き込んであったから大体この首都ルースの建物の位置は分かる。
しかし、一体何だったのか、あの傭兵ギルドから感じた妙な魔力は?
だが、確認したくても窓からは街中を限定的に見ることしかできない。
気のせいか爆発音や私の使っていた銃に似た射撃音も聞こえたような気が……。
前までなら遠隔透視魔法を駆使して双眼鏡のように部屋にいながら遠くを見れたものを!
時折外からカーツの魔導士や兵士たちのあわただしい声が聞こえてくるが、何かあったのか?
いずれにせよ何が起きているのか分からない……。
ただ、今はそんなことはどうでもいい……。
私は当初の計画通り、賭けに出るしかない!
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そうこうしているうちに3日はあっという間に過ぎた。
カーツ共和国軍統合情報局。
コンコンコンッ!
「失礼いたします」
3回ノックと魔法で操られるゴーレムのような抑揚のない声のあと、瀟洒な木製のドアに似つかわしくない鉄格子のような鍵が開く音がした。
一人分だけ用意された目玉焼き、薄切りトマト、サラダ、ハム、ゼンメルという丸いパン、をメイド服の少女が運んでくる。
ドアが開いている間、ドアの左右に立っていた魔導士が注意深くこちらから視線を離さない。
メイドの少女は淡々とした表情で何も言ってこない。
机の上に並べると、すぐに一礼して部屋を出る。
ドアが閉じられると、鉄格子のような耳をつんざく音が再びして鍵が掛けられた。
慣れない音だ……。
時刻は朝7時。
私は既に身支度を整えていたので、ゼンメルという丸いパンにナイフで横に切れ目を入れた。
ハムと薄切りトマトをその中にいれ、さらにカマンベールチーズもついていたのでそれも入れてかじりつく。
パンの小麦粉の質が良い。
敵国であるがオーガニックにこだわっているようで、食べ終わっても不思議と胃にもたれなかった。
朝食後、用意された南方ランキマート地方のプランテーションで栽培されたという説明書きが添えられていたコーヒー(オーガニックらしい)をミルクや砂糖は入れずにブラックのまま胃に流し込んだ。
コンコンコンッ!
再び3回ノックの後、また鉄格子のようなドアの鍵が再び開く音がした。
「おはようございます~♬決心はつきましたか~エリカさん♬」
満面の笑みを浮かべるエルミアが部屋に勢いよく入ってきた。
「おはようエルミア」
「あっ、やっと私の事はっきり名前で言ってくれた~♬うれしい~♬」
「今日は私たちの仲間になるか否かをはっきりお聞きする大事な日ですからね~♬さあさあ準備をしてください♬」
既に身支度を整えていた私は、私服姿で部屋から彼女に連れられて出た。
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カーツ共和国統合情報局本部。
馬車で再び連れてこられたエリカは建物を見上げて慣れない場所だと思った。
5階、中央会議室。
先日の尋問室とは違う応接間を兼ねた会議室にエリカはエルミアに連れられて通された。
「おはようエリカ君。今日はまたとないいい天気だね」
「おはようウィラード大尉」
「ほう、白き魔女とは言わないのかい、私のことを」
今私が選択できる起死回生のチャンスはこれしかない!
「3日間じっくり考えて結論は出したわ、ウィラード。私はあなたたちに協力する」
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