第64話 静寂の朝、情報局へ
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夜。
ベッドの中でエリカは一人悩んでいた。
ドアの外は見張りの魔導士が2名いるからまず脱出は不可能だ。
窓もあるが特殊な魔法鍵で夜間は鍵が掛けられてエリカはあけることができない。
ウィラードの発言が気になる。
「明日から本題に入ろうか」
恐らく尋問だろう。
私には拒否する力がない!
どうすればいい!?
恐らくウィラードは情報士官故に統合情報局へ連れていかれるはずだ。
ウィラードは若くして老獪な魔導士……だけじゃない。
恐らく特殊戦争の類を任されるかなりハイクラスな情報士官。
尋問に耐える訓練は受けているとはいえ……。
私はその時、銃と共に召喚されて読み漁った物語を思い出した。
信じられるのは金と武器と力だけ。
ならば自分のみを信じるしかない!
エリカの心に混乱と希望と覚悟が入り混じった自分でもわからない心が暗い室内でグルグルと渦を巻いた。
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翌朝。
「おっはよ~♬エリカさん♬」
前触れもなくドアが開くと同時に快活な挨拶が部屋中に響いた。
「おっ……、おはよう」
「もうすぐ朝食ができます。身支度が終わったらドア越しに声をかけてくださいね♬」
昨日と変わらないエレノアの屈託のない笑顔。
しかし、それは試練の幕開けであった。
朝食は一人だった。
そのあと、廊下で待ち構えていたエレノアが有無を言わせず散歩に私を連れだす。
病院前には既に馬車が用意されていた。
彼女は無言でそこに私を押し込むように乗せた。
私の横に座るエレノア。
長い耳を一度震わせると、腰のポーチから飴玉を取り出し、口に放り込む。
だが、笑顔を絶やさない彼女が今日はしかし饒舌ではない。
窓から外を見ながら、黙って体全体からこちらに視線を向けているのを感じた。
ひと際重厚で威圧感のある建物が馬車の窓越しに視界に入ってきたとき、私は覚悟を決めざるを得なかった。
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カーツ共和国軍統合情報局本部。
自由主義を掲げるこの国で珍しい権威的な風格を持つ重厚な建物が首都ルースの国防省隣にある。
「さあ着きましたよ♬」
彼女はそうとしか言わず、私の手を優しく取って馬車から降ろした。
入り口前には3名の共和国魔導士。
いずれも無言。
エレノアは黙って3名にアイコンタクトした。
3名は黙って首を素早く縦に振った。
建物を見上げる暇も与えず、彼女は出迎えた3名とともに私の前後左右を固めてその建物の中へ私を連れていく。
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