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帝国に裏切られた最強魔導士は、異界の銃で反逆する  作者: Wahrheit2026


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第59話 白き魔導士の裏切りとエリカ拉致

お読みいただきありがとうございます。


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ウィラードはマリエッタに気づかれないように密かに結界を解除した。

続いてごく微量の緊急魔法周波数を駆使して通信魔法を友軍につないだ。

“こちらアルファボード。ラムダ来る。ラムダ来る。ベラドンナは瓶の中だ!”


平然とした表情のままウィラードはさらに自らの傷に自分で治癒魔法をかける。

腕の傷はふさがってきたがそれでも全快しない。

「さて、余韻に浸っている暇はないよ、お2人とも。もうすぐ結界の効力が切れる。するとすぐに治安警察と傭兵魔女ゴロツキどもが大挙して突入してくるだろう。早く脱出しないとな」

「そして、エリカ君。君にはご同行願おう」


「はい!?」

エリカとマリエッタは同時に言った。

先ほどまでの緊張がどうしても解除された直後のウィラードの発言にしかし、こいつは敵だったとおのれの甘さを恥じてすぐに警戒モードになった。


“何を余裕かましている白き魔女?治癒魔法を自分に掛けて回復しているとはいえ先ほどの傷が完全に治っていないのに……。奇襲や間合いを取った一撃離脱さえ気をつければここでこいつを仕留められる!”

マリエッタが愛用の銀色の杖に魔力を集中させ始めると、ウィラードは自らの魔法箱の中から何かを取り出した。


「共闘のお礼にこれを渡そうマリエッタ君」

そうしてウィラードが取り出した物は。


「そっ、それは“ウロボロスのレガリア”!!!」

一瞬でマリエッタの表情が変わった。


“ウロボロスのレガリア”。

この世界の魔導士ならだれもが憧れる超レア魔法アイテムの一つ。

帝国貴族やカーツ共和国上流階級でさえ所有する者は極めて少ない。

価値は最低2000兆帝国ギダ以上とされる(ヴァーンズハイト魔導帝国国家予算約10年分)。

持つ者にすさまじいスピードと頭脳、倍以上の魔法力を与え、呪詛系魔法や各種毒、洗脳など人を陥れる魔法や原始的な毒殺などを完全に防げるうえ、人の嘘に気づきやすくなる効果もあるため、古代より王侯貴族がこぞって探し求めている。


最大級の警戒心を持っていたマリエッタの心が一瞬揺らいだ。

マリエッタの防御魔法展開の速度に約3秒の遅れが生じるのをウィラードは魔力周波数から計算した!


そして、ウィラードが自身の腰につけたポーチ、魔法箱を兼ねたそれから何かを取り出すと

床に投げつけた!

その瞬間!

すさまじい光とけたたましい音が響き渡り、マリネッタは一瞬立ち尽くす。


次の瞬間、隣にいたエリカはマリエッタの視界から消えていた。

既にウィラードはマリエッタから距離100メートルさきに行っていた。


このホテルの廊下は長いが、瞬間移動したのかと思うほどの素早さであった。

しかも、ウィラードは気絶したエリカを左肩に担いでいる。


「しまった!!図ったな白い魔女おおおおおお!!!」


「ルナを倒すために君たちと共闘する約束は守った。ここからはいつもの通りだ。一時の気まぐれはあっても君たちと私たちは今も敵対している仲だよ。敵を捕虜にして悪いという国際法はない」


ウィラードは隠し持っていた小型の魔法箱から走りながら何かを取り出す。


それに魔力を念じてマリエッタの方へ投げつけた!


それを見た瞬間!


「まずい!!詠唱中止!魔法出力急減速!」


マリエッタは急いで魔法力をゼロにまで抑えた。

そして慎重に絶対に魔法力を発現しないように気を付ける。


「さすがは帝国軍第一級魔導士にして帝国貴族の御令嬢。すぐに我が軍の兵器の正体を見破ったか!」


ウィラードが投げつけた物は複数あり、マリエッタの周囲を囲むように宙に浮いている。

黒い楕円形の形をしていて、赤い魔法玉が表面に埋め込まれており、それが目立たない形で光を点滅させている。


「まさかこれは魔導機雷!?相変わらず姑息なマネをカーツめ!」


「君はその中でじっくりパズルをして楽しんでいてくれたまえ。私はエリカ君とこれで失礼する。あっ、ついでにそのレプリカは君にお礼として差し上げるよ。敵に塩を送るのも必要だからね♬」


「レプリカだと!?」

マリエッタは渡された”ウロボロスのレガリア”をよく見た。

それはお菓子の景品についているおもちゃを加工してそれらしくしたものだと分かった時、マリエッタの顔が真っ赤になった!


魔導機雷は魔法を使う者に反応する一種の地雷である。

帝国は消極的な弱腰兵器として軽視している兵器だが、カーツ共和国は劣勢を挽回するために開発に力を入れており、これで帝国軍魔導士の行動を大幅に制限して袋小路に追い詰め撃破する戦術を使うことで帝国軍第一級魔導士をも屠る戦果を挙げている。


魔導士をはじめとする魔法を使う者は無意識のうちに魔法力を放出していることが多い。

魔法の周波数は指紋や網膜と同じでそれぞれ個人特有のものがあり、たとえ魔法力が尽きた状態でも微弱な魔法力は必ず残るのでその周波数で個人を特定できるのはこのためである。

それ故、魔導士ら魔法を生業にする者は無意識のうちに放出されている魔法力までゼロにコントロールするのは意外とストレスがかかる。



マリエッタはしばらくその場から動けなくなった。


慎重に宙に浮遊する魔導機雷を忍び足のような足取りでゆっくりよけていく。


物理的に触れるのはもちろん、少しでも気を抜いて魔法力を放出すればこちらに引き寄せられるように向かってきてドカンだ。


だが、そのせいでウィラードとの距離は絶望的に広がっていった。

「だましてくれたな!ふざけたマネを!まて、白い魔女!!!エリカを返せえええええ!!!!!」


マリエッタの叫び声が廊下に響く中、ウィラードは気を失ったエリカを抱えながらひたすら走る。


走りながら右手で口笛を吹くと、そのまま壊れた6階の窓から飛び降りた!


空中でどこからか飛んできた金属製の重厚な銀色の箒に降り立った。


周囲には同僚たちが同じく箒に跨って展開する。


「ご無事でしたか、ウィラード魔導大尉殿」

ヒギンズ少尉が声をかけると同時に、ウィラードがヒギンズ少尉に左腕で肩に抱えていたエリカを引き渡し、気絶したまま箒に跨らせて両手両足に拘束魔法をかけた。


「緊急打電!ベラドンナは瓶の中にある!繰り返す!ベラドンナは瓶の中にある!」


暗号化された緊急通信魔法を送信しながら、ウィラードと援護の共和国飛行隊は全速力でアポログラス共和国上空を離脱していった。


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