第41話 隠れ家にて エリカとマリエッタの葛藤
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それからウィラードは帰っていった。
一切の魔力周波数などを残さない手際の良さ。
敵ながらプロだと感心する。
“私たちは君にふさわしい処遇を用意して待っている。もし気が変わったらこの住所へいつでも訪ねてきてくれ”
そう言われて私はウィラードが今いる住所を渡された。
アポログラスの高級ホテル・インペラトールの住所。
たしかに帝国に受けている理不尽な仕打ちは耐えがたい……。
けれど私は帝国の魔導士としての誇りがある。
それを無下にすることはできない。
それにマリエッタやアリスを裏切ることはできない……。
けれどアリスはあのレンゲンカンプという黒幕のような輩に何かされた痕跡があるし、マリエッタもこれ以上私に関われば地位が危うくなる恐れもある。
どうすれば……。
ウィラードが出ていった後の隠れ家でエリカはひたすら煩悶する。
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「今日のことは誰にももらさない方が君のためだよエリカ君」
「……あなたたちカーツが私に関心を持つ理由は何?」
「君の卓越した才能さ。私たちは才能ある者は出自に関係なく受け入れる。君も我々と戦っている仲だから分かり切ったことじゃないか」
「私の何が?」
「ラグナロク鋼。君が生まれながらに精製することができるというその力は結構貴重な力でね。君はその鋼の精製をただ物理的な貫通力の強化程度に考えているのかもしれないが、ラグナロク鋼の真価はそんなちんけなものじゃない」
「それはどういうこと!?」
「それは教えられないな。まだ君は我々の敵という位置づけなのだから。私と同じ白いこれを被ったときには晴れて我々が知っていることを教えよう」
ウィラードは自分が被っている真っ白な魔女帽子のひさしを指でつまんで左右に動かした。
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気分を落ち着かせるためにベアベリーの若葉を近くで摘んできた。
暖炉に火をつけ、そこでお湯を沸かす。
銃器の手入れを本に書いてある通りに開始した。
ボルトアクションライフルという強力な金属の矢を放つモーゼルKar98を異世界からの教本通りに分解する。
どうも火薬を燃焼させて物理的な金属の矢を飛ばすゆえに、燃焼ガスが筒の中やチュンバーという穴の中にたまりやすいので定期的な清掃が必要のようだ。
剣と同じような感じで専用の油を使う。
そうしている時だった。
「やっほーっ、エリカ♬」
聞き慣れた明るい声がドアを開けると同時に聞こえてきた。
気配は全く感じなかった、さすがは現役の帝国軍第一級魔導士。
私もそうだったのに……。
「まっ、マリエッタどうしたのいきなり!?」
「心配だから有給取れるときに来たの」
「あれから大丈夫だった?必要なもので切らしてるものはない?」
どうする?
帝国には理不尽な扱いを受けている。
けれど帝国の魔導士としての誇りは変わらない……。
カーツに亡命するなど考えられない。
けれど、帝国から受けた仕打ちは到底受け入れがたい……。
どうする?
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マリエッタは隠れ家に入るなり、違和感を感じた。
目の前にいるエリカは無事だ。
良かった。
けれど、何か異質な侵入者がいたのか?
かすかな違和感……。
でもどこのものかは特定できない……。
エリカが無事だから問題ないけど早く事を進めないといけなくなった感じがする……。
どうしよう……。
エリカにカイザーノートへ逃げるようどこで切り出そう……。
マリエッタは平静を装いながら苦悩する。
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