第40話 魔界都市バアルシュタットで獄卒魔導士ルナはエリカの情報をかぎつける
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「おい魔界鬼。この娘を知らないか?」
ヴァーンズハイト魔導帝国から西にはるか離れた辺境地帯・・・・。
不気味に大きく口を開ける巨大洞窟の中に地下へとつながる入り口があった。
その奥に進むと突然、広大な都市が姿を現す。
この世界の地下深くに存在する魔界への入り口にして人間や表の世界のモンスターたちと交易する中継魔界都市・バアルシュタット。
そこの中央市役所に帝国軍第一級ルナ・クロムシュタットとその部下たちの姿があった。
「ああん?何だ帝国の魔導士?お前らがいくら強大でもこの町で俺らに命令口調とは生意気なんだよ!」
「おいよせズガ―ル。こいつはお得意様の使いだ」
「こりゃ失礼、レンゲンカンプの旦那のお使いだったとはな。非礼を詫びる」
「いいんですよ、こっちは人を探すために今日はきたんですから。それに魔界の方たちが人間に対等な口を利かれたらイラつくのは分かりますよ」
奥から部下を一喝したのはズーマン・ブラディボロン魔界大佐。
魔界の支配者直轄の士官でこの都市を実質的に取り仕切る上級悪魔の一人。
魔界大佐とルナはそのまま応接室で対面した。
「本日はレンゲンカンプ侯爵様から今月の収益の取り分についての要望書をお渡しに参りました」
「ご苦労。最近はきれいな生娘の確保に苦労している。レンゲンカンプの旦那からはいつも安定した供給を受けている数少ない窓口だからな。収益の取り分はそちらを増額する形でこちらも調整中と伝えてくれ」
魔界大佐は立ち上がってルナにわざわざコーヒーを持ってきた。
そして、ルナの表情を見て口を開いた。
「おい魔導士さん。お前さんどうもその表情だと少し前に魔導監獄から脱獄した元第一級魔導士の小娘を探してるみたいだな」
魔界大佐の発言にルナは内心びくついた。
「なぜそう思う?」
平静を装う。
「おまえ、監獄からその小娘の脱獄を許して後がないんだろ?それくらい我々の耳にも入っている」
「!?」
「オイオイそう身構えるなって」
「レンゲンカンプの旦那は魔界にいつも生きのいいエルフと人間の小娘を卸してくれている仲だ。日ごろのそっちの働きを評価してお前に気になることを教えてやる。2週間ほど前、お前のところと同じように生娘を確保する仕事をしているうちの世界のフリーランスが1匹行方不明になっている」
「それが私にどういう関係が?場所は?」
「さあな、フリーランスで賞金稼ぎやってる奴の個別行動なんかいちいち把握してねえよ。だが、アポログラス方面にまで遠征していったと複数の賞金稼ぎ仲間の奴らが言ってたな」
ルナ・クロムシュタットは神妙な表情になった。
“エリカの逃走経路は全く分かっていない……。けれどまだ調べていないのはもうアポログラスの国境地帯くらいしかない……。けれどアポログラスはレンゲンカンプ様のビジネスにとって重要な地域。中立国で首を突っ込むとレンゲンカンプ様に迷惑がかかる危険性が……。モンスターや魔界の者はあまり行かない地域。それに国境地帯はたしかブルーメントリット侯爵の私領が多く存在する。うかつに近づくとまずいなあ……。けど確かにあそこは盲点だった……”
仕事のやり取りの後、ルナは市役所から部下を引き連れて出ていった。
洞窟から出て部下がルナに質問する。
「クロムシュタット中尉殿。反逆者エリカ・ヴァールハイトはアポログラス付近に潜伏している可能性が高いということですか?」
「ああ、これより民間人の立場で我々はアポログラスへ潜入して聞き込みを開始する」
「しかし、アポログラスは中立国。民間人の立場になると言っても侵入するとまずいのでは?」
「そのことはお前が心配することではない!」
「申し訳ございません」
冷静なルナの表情に一筋の汗が流れた。
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