第37話 マックス・ヴァ・レンゲンカンプについて
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「マックス・ヴァ・レンゲンカンプ!?あの皇帝を陰で支える裏の実力者と言われる……」
「そのとおり。君の国の政治を取り仕切っている最有力者の一人だから知らないわけないけど、その実態は帝国臣民も実はあまり知っていないだろう」
「・・・たしかにあの人物は私にとってもいろいろ思うことがある。でも私も詳しいことは知らない……」
マックス・ヴァ・レンゲンカンプ侯爵。
ヴァーンズハイト魔導帝国を実質的に取り仕切るとされる円卓会議にて他の有力貴族をも差し置いて議長の座に長年座る謎の多い人物。
表向きは全国各地に病院や孤児院、ホテルなどを多角的に経営する実業家としての側面を持つというが、私が魔導士だった時から黒いうわさは何度か聞いたことがある。
けれどなぜかその情報は帝国軍内でも詳しく知る人を見たことがなかった。
「結論から言おう。君の知り合いのアリス君は間違いなくレンゲンカンプ侯爵の私設魔導士部隊・ワルキューレXのメンバーになっている可能性が高い」
「そう断言できる根拠は?」
ウィラード大尉はエリカに答える代わりに腰の皮ポーチから何かを取り出した。
立ち上がって黙ったままエリカにそれを渡す。
それは魔導映写機技術で撮影された写真だった。
訓練を受けた魔導士ができる魔法の一種で、熟練すればかなり長距離でも対象を撮影できるとされる。
その写真に写っていたのは間違いなくアリスだった。
他にも同期生が数人、先輩や知り合いもいる。
「ワルキューレXは表向きは帝国軍の統制下にあるとされるが、実態はレンゲンカンプ侯爵が秘匿性の高い私的な作戦を遂行させるために創設した部隊であると我が軍では分析している」
「……アリスがなんでそんな曰くのある所に?」
「優秀な子を選別して帝国軍から半ば強制的に編入させていると言われている。おまけに何らかの催眠術的な手法まで使っていると我が軍は彼女らの実戦における魔力周波数の揺らぎから分析している」
「こんなことを私に教えてどうするつもりなんだ?」
「言っただろ、帝国は君が忠誠を誓うような価値がある国じゃない。我が国なら君の実力と気高き意志にふさわしい地位を与えることができる。今回の情報はまず我々がウソを言っていない証として君に提供したい」
私はしばし沈黙した後、思い切って我々の宿敵であるウィラードの方を正面から向いた。
「レンゲンカンプに関するあなたの知る情報を教えろ」
エリカの言葉にウィラードはニヤリと笑みを浮かべた。
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ヴァーンズハイト魔導帝国最高意思決定機関円卓会議場。
朝8時から首都近郊の一般から隔離された別荘地の宮殿にてそれは開かれていた。
「皆様、今日はお忙しい中お集まりいただき感謝申し上げる。何せここにいる者はみなそれぞれ忙しくて一堂に会するのも一苦労ですからなあ」
「挨拶はこれくらいにして、レンゲンカンプ侯爵。早速本題と参りましょう」
「うむ、ビッテン伯爵の言う通りだ。それでは皆様ここで本題に入りましょう」
レンゲンカンプはさっそく部下に魔導映写機で魔法にて撮影した映像を壁に貼った巨大なスクリーンに投影した。
「これは!?」
一同がその映像に映し出されたカーツ共和国魔導士と、それと交戦する傭兵部隊の映像をみてどよめいた。
だが何人かの貴族は全く黙って見ているのみ。
「先日、中立国アポログラスにて大事件が起こったことは皆様既にご存じと思う。こともあろうに我らが宿敵カーツ共和国の魔導士(小娘)どもが領空侵犯をしたとのことだ」
出席しているのはいずれも帝国の中でもトップの地位に君臨するごく一部の大貴族だけ。
ここには皇帝も臨席していない。
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