第36話 葛藤、そしてアリスの手がかり
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作者
「君は薄々気づいているはずだ。帝国はたしかに強大で魔導士の育成と戦闘力・魔法力・技術力、あらゆる点で世界一の力を持っている。だが、内部では貧富の格差が回復不能なレベルに達し、それを帝国貴族とそれが独占する魔導士によって事実上押さえつけている状態だ」
「……」
「おまけに帝国貴族はとにかく傲慢だ。実力のある魔導士を平気で左遷したり、都合の悪いのは集団でいじめて退役に追い込んでいるとも聞いている。特に帝国貴族がほとんどを独占する兵学校出身魔導士の独裁的権力は皇帝すらもはやお飾りだと知れ渡っているからね」
「共和国のプロパガンダを聞く気はない!」
「我が国には君の国から逃れてきた亡命者が結構いるんだ。なるほど確かに我々の言っていることはプロパガンダも含まれているさ。けれど君のところみたいに露骨な個人の蹂躙をしたりはしていないよ」
「黙れ!」
「では話を変えよう。君、アポログラスに何をしに行ったんだい?」
「知らない。何のこと?」
「手荒なマネはしたくないんだよ。君を我が国に必要な人材として迎え入れたい」
「いきなり宿敵からそんな提案をされたら混乱するのは当たり前だ」
「でも今回の我々の提案は本気だ。その証として君が今、恐らく一番知りたがっている情報をお教えしよう。それをどう活用してもそれは君の自由だ」
「何!?どういうこと!?」
エリカの表情が動揺の色を見せた。
「君はアポログラスで理由は不明だが3日ほど防空傭兵としてアルバイトしていた。その時に我が共和国の魔導士と交戦した」
「だが、突然、本来中立国であるアポログラスにいないはずの帝国軍魔導士の部隊が突然アポログラスの首都上空に現れた。我が共和国魔導士がまだ首都上空に迫る前にいきなり」
「‥‥‥」
「その時、君は魔導士官養成課程の同期生と会った」
「なぜそれを知っている!!」
私は口を滑らせてしまった!
「君の知り合いのアリス君に。今回君に教えるのは彼女に関する情報だ」
「えっ……!?」
白き魔女の言葉にエリカはさらに動揺した。
「アリス・デーレンフェルト。我が軍のデータベースにもある優秀な魔導士だ。」
「多分君は彼女の様子が以前と変わっていて、おかしかったと思っていたんじゃないか?」
「……」
「我が偵察からの情報によると、アリス君からは依然我が軍が交戦した際に観測した魔法周波数と微妙な違いがあることが分かった。解析してみたが、案の定彼女は何らかの洗脳を受けた疑いがある」
「どういうこと!?」
「これは私の推理も含まれるが、我が軍の収集したデータから分析するに、彼女をこのようにしているのは帝国貴族マックス・ヴァ・レンゲンカンプの仕業だ」
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