第29話 使い捨ての魔女たちと、銃の閃光
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敵の数が見えてきた。
数は約100。
こちらは数は多いが寄せ集めの連中だらけで統制が取れていない。
しかも、アポログラス共和国軍の魔導士の姿が見えない!?
これまでの戦いから見てカーツの魔導士の戦いは恐らく!?
私は魔力の残量を気にしながら味方全員に通信魔法で呼びかけた。
無論、ヴァーンズハイト魔導帝国所属であったことを絶対気づかれないよう慎重に意識してだ。
「みんな、たぶん敵は一人につき集団で襲ってくる!しかも一撃離脱をモットーにしているわ!絶対に追撃しないで!」
だが、エリカの忠告に各員からの返事は……。
「うっせーぞ新入り!わたしゃ誰の指図も受けずに生き残ってきたんだガタガタうるせえだまってろ!!!!」
「何か中途半端に物知りな言い方生意気だよ!軍事オタクちゃんってか?」
通信魔法から聞こえてくる嘲笑の声の数々。
魔法使い傭兵が使い捨て要員として扱われる理由が理解できた。
距離はどんどん詰められて生き、すれ違った直後。
「へっ、ド正面から突っ込んできてぶっころって?!!!!!!」
「ギャー!!!!!!!!」
私たちとは別のグループは少人数で編隊を組んだ共和国魔導士たちに撃破されていく。
「やはり高速による一撃離脱か?」
帝国魔導士に力量で劣るカーツ共和国は一つ撃墜するのに最低3~4のチームで襲うこと、および高速魔法を瞬間的に唱えた一撃離脱をモットーにしている。
今回は共和国でも実戦慣れした部隊。
せいぜい斥候がちょっかいを出してきたと思っていた“魔女”たちはほぼ最初の一撃で墜落していった。
逆にエリカの言葉を受け止めた在野たちはまだ飛び続けている。
彼女たちは瞬間的に共和国魔導士の少人数グループの突撃を全力で回避していた。
“共和国の戦術は瞬間的に速度と対魔法防御力を増す魔法をコンタクト直前に同時に掛けて3~4人で一人に攻撃魔法を集中させて一撃離脱するやり方。私たちの味方もこれでかなりやられた!”
私はウージーのボルトを手前に引き、矢を“ちゅんばー”におくる。
エリカのもとにも5人一組の共和国魔導士編隊が突っ込んでくる。
いずれの手にも小型の魔法陣から攻撃魔法がすれ違いざまに放たれようとしていた。
エリカは逆に瞬間的にそれらの編隊へと加速して突っ込む。
すれ違いざま、柄についている“ぐりっぷせいふてぃ”と呼ばれる安全装置を握りこんで解除し、“せれくたー”とよばれるレバーを連続射撃できるという位置にセットし、手前のレバーを引いた。
ドドドドドドドドドッッッ!!!!!
勢いよく放たれた矢がすれ違いざまに敵魔導士の群れに吸い込まれた。
5人全員、箒を投げ出して墜落していく。
ウージーと呼ばれたこの銃は重いが、反動は連続で矢をはなってもあまり苦にならなかった。
前に使ったモーゼルというながいやつは肩に付けないととても反動がきつくて撃てなかったが、今回のはすとっくという肩当は折り畳み式であり、それをしなくても発射の制御ができた。
改めて異世界の武器のすごさに我を忘れてそれを見つめるエリカ。
「ハアハアハア……!?何とかやったか!対魔法はある程度できても物理防御魔法は貫けたからこいつらは第二級魔導士か?」
こいつらはカーツでも第二級クラスの連中のよう。
魔法防御はそこそこでも防御魔法自体は稚拙でそれほど強くない。
共和国魔導士でも手練れの第一級魔導士なら帝国の第一級魔導士ですら戦死した例が多くあるから用心に越したことはないが。
空中戦は苛烈化を極めた。
全体としてアポログラス共和国の傭兵の方が圧倒的に多く撃墜されていく。
最初から使い捨て前提の“魔女”をみて一応味方と言ってもエリカには同情する気には正直なれなかった。
その光景を2キロ先から監視している何者かがいた。
「カーツの奴らが我が方へ迫りつつある。懲罰部隊・クリーミの戦隊をだせ!アポログラスの上層部へはゲンナマを握らせて黙らせろ」
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