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ミニ四駆に悔いを残していたら過去に飛ばされたの巻  作者: さかざき


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51/53

解禁

マシンを置いただけで視線が集まった。


誰かが意識したわけじゃない。

ただ、自然と目に入ってしまう。


「……あれ?」


低く構えたボディ。

鋭く絞られたフロント。


「スピンアックス……じゃないよな」

「新しいやつだ」


名前が出るまで、少し間があった。


「スピンコブラだ」


その一言で、周囲がざわつく。

発売されたばかりの新型ボディ。

知っている者ほど視線を離さなくなる。


だが本当に目を引いたのは、その下だった。


「シャーシ……何だ?」

「FM……いや、違うな」


誰かが首をかしげる。


「スーパーFMだ」


新型。

ユウが新型を実装してきたことで、周囲にどよめきが走る。


ユウは何も語らず、準備を進める。

周囲の気配を背中に感じながら、呼び出しを待った。


――予選第1レース。


スタート直前。

ユウはマシンのスイッチを入れる。


走り出した瞬間、感覚が伝わってくる。


速い。

直線の伸びが今までとは違う!

コーナーでも減速せずに加速を続ける。


気づけば先頭。


ゴール。

あっさりと通過。


拍子抜けするほど静かな決着だった。


――予選第2レース。


周囲の視線が少し変わる。

さっきよりも探るような目。


再び、スタート。


今度は混戦だった。

前に出ては詰められ、抜かれては追う。


それでも、マシンは乱れない。


最後のストレートで前に出る。


ゴール。




――予選決勝。


ここまで来ると、偶然とは思われない。

ユウのマシンを誰もが意識している。


スタート。


他のマシンが跳ね、弾かれ、減速する中、

スピンコブラだけが、淡々と走る。


速さと安定を兼ね備えたマシン。


その違いが、最後には差になる。


ゴール。


係員が顔を上げ、短く告げた。


「おめでとう、予選通過です」


ユウはスイッチを切り、マシンを手に取る。


その瞬間ふと記憶がよぎる。


初めて、この時代で大会に出た日。

同じように周囲が遠く感じて、

それでも走らせるしかなかったあの日。


状況は、よく似ている。


違うのは――

今は、この大会に掛ける覚悟と集中力だ。


ユウは静かに、次の日を見据えた。

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