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ミニ四駆に悔いを残していたら過去に飛ばされたの巻  作者: さかざき


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32/57

接戦

第3レースでユウは勝利し、決勝へと駒を進めていた。


決勝大会のピットを見渡すと、

スーパー1シャーシが全体の8割、FMシャーシは2割弱といったところだ。


本来なら、ほぼすべてがスーパー1で埋まっていてもおかしくない。

その流れを変えたのが、ユウのFMシャーシでの戦いぶりであることは、もはや疑いようがなかった。


コウスケはピットへ戻ってきてから、ほとんど口を開かなかった。

悔しさが言葉ではなく、表情の端々に滲んでいる。


(……わかる)


ユウは、その心情を痛いほど理解していた。

タイムスリップする前、子供の頃の自分も、何度となく同じ思いを味わってきたからだ。


今は、そっとしておくのが一番だろう。


そんなユウに、ユリが声をかける。


「ユウ、勝っても負けても恨みっこなしよ!」


「あぁ、その……うん……」


(その格好で近づかれると、緊張するんだけど……)


そう言い残すと、ユリはすぐに人だかりの対応へと戻っていった。


ユリ先輩は、やっぱりすごい。


実年齢43歳のユウは、中学生でありながら自然と人を惹きつけるユリの姿を見て、

自分はどうやっても、こうはなれない――そう素直に感じていた。


やがて、決勝レースの時間が訪れる。


第1レース勝者、ソニックセイバー(スーパー1シャーシ)

第2レース勝者、トムゴディスペシャル(スーパー1シャーシ)

第3レース勝者、スピンアックス(FMシャーシ)


これまでとは違い、会場には

「ユウの勝利は確実ではない」

そんな空気が確かに流れていた。


ユリのファンも増え、彼女の勝利を願う声が目立ち始めている。


「今年は、例年以上の参加人数!

そして、例年以上のハイレベル!

この大会のチャンピオンが、今ここで決まる!

Vジャパンカップ’95ファイナル! スタートしまーーす!!」


シグナルが赤く点灯する。


3台のマシンと、3人のレーサーが、

その光をじっと見つめていた。


――青。


「スターートォォ!!」


実況の声に、一気に熱がこもる。


「さあ、最初に飛び出したのはユリ選手のソニックセイバーだぁ!

コーナーもスムーズに抜けていくぞ!!」


ユリのソニックセイバーが先頭に立ち、レースを引っ張る。


ユリは前屈みになり、固唾を飲んでコースを見つめていた。


ユウは――


(ここまでは悪くない。

ユリ先輩は、コースアウトしない……となると、あとは……)


思考が、目まぐるしく巡る。


ソニックセイバーがコーナーを軽快に抜け、

直線でスピンアックスとトムゴディスペシャルが、じわじわと距離を詰めていく。


3台が一瞬も譲らない、ハイレベルな展開。


「誰が勝つのか、まったく予断を許さない!

この激闘、目に焼き付けろ!

来年の主役は君たちだーー!!」


実況が、会場全体のボルテージを一気に引き上げる。


「がんばれ! ユウ! FM神話を守ってくれーー!」

「お姉ちゃーん! がんばってー!」

「トムゴディ! 新しい時代を築けーー!!」


無数の声援が、コースに降り注ぐ。


それを、少し離れた場所から見つめるジョンとコウスケ。


「俺も……あの場所に立ちたかったな……」


「……立てるでござる。

コウスケ殿の実力は、すでにあのレベル。

今あそこにいないのは紙一重の差。

来年、あそこに立つのはコウスケ殿でござるよ」


「……そっか……っ」


コウスケは、目頭が熱くなるのを感じていた。


この悔しさを忘れない。

来年あの場所に立つのは自分だと、強く誓う。


レースは後半へ。


初速のアドバンテージは消え、

ユウとトムゴディスペシャルが、

ユリのソニックセイバーに追いつく距離まで迫っていた。


(……!!

そうよね。

こんなに簡単に勝てるほど、ユウは甘くない……それなら!!)


「ファイナルラップだぁぁぁ!!」


レースは、いよいよ終わりを迎える。

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