第39話 鬼怨組と、レア素材争奪戦
鬼っぽい形相の魔物が、ツルハシを担ぎながら魔物たちに指示を飛ばしている。
「レア素材を、ニンゲンどもなんかに渡すなよ! 鬼怨組で独占するんだ! 俺らからでしか、取引できねえようにしてやる!」
やはり、鬼怨組のようだ?
引き連れている魔物たちも、ダンジョンの野良モンスターより多くて強そうだ。
「ニンゲンだ! ヤツらの持っている素材も、まとめて奪ってやるぜぇっ!」
こちらを見て、鬼がニヤリと笑う。
「ピオニ。あの鬼と魔物は、あたしたちに任せてもらっていい?」
勇者連合高校が戦っている間、あたしらはずっと素材を掘る作業だったからなー。
妨害するなら、やっちまいたい。
「いいぜ、モモ。素材の警備は任せろ、アスカ先輩もいいだろ?」
「どうぞどうぞ。お二人の力を見てみたいし」
ピオニたちの賛同ももらって、はるたんと二人だけで魔物退治をする。
「なあ!? こいつら、強え!」
大量にいた魔物たちを、はるたんが一瞬で消し炭にした。
「ニンゲンの店は、部下に潰させたはずなのに!?」
「てめえかっ! 魔物に、店を襲わせたのはぁ! ウゥインドゥ・カァタ!」
【ウインドカッター】を込めた回し蹴りで、鬼のアゴを砕く。
「あー硬い!」
アゴにクリーンヒットだと思ったのに、ピンピンしてやがる。
「ムダだ! 俺様の肉体は、ニンゲンの攻撃なんぞ跳ね返す。
「そうかいそうかい。でも、起きていてくれてありがとう」
「ああん?」
「もう一発叩き込めるドン!」
二発目のウインドカッター回し蹴りを、今度は金的に叩き込む。
「があああ!」
「ウインドカッターキック、四連発!」
金的、みぞおち、ノド、人中と、正中線へ四連続の回し蹴りを浴びせた。
「トドメだ!」
最後は【ドラゴンキラー】を足に装備して、足刀キックを顔面に打ち込む。
ドラゴンキラーの刃が、魔力の塊となって鬼の顔に突き刺さる。
「ちくしょう! 鬼が、ニンゲンごときにぃ!」
鬼が消滅した。といっても、自分たちのアジトにリスポーンするだけだが。
ダンジョンでは、剣や銃弾などの武器は、インパクトの際に魔力の結晶となるのだ。
よって、人間は撃たれたり切られたりしても、ダメージは小さい。
だが、魔物には最大の効果をもたらす。
「よっしゃ。えっと、ところでさ」
あたしは、鬼たちが掘り出していた素材を指差す。
「あれは、あたしたちがもらっていいのか?」
「いいんじゃないかな? 鬼たちだって、僕たちの素材を奪おうとしたんだし」
だったら、OKか。では、お持ち帰りといたしましょう。
「これで、いい感じの武具を作ってやるからな。リクエストはあるか?」
「動きやすいの。後、軽めので頼むよ。ウチらで重装備なんは、蓮川先輩だけだし」
女騎士の蓮川さんは、専門の仕立て屋さんがいるらしい。なので、あたしらの顧客リストに載せなくていいという。
「わかった。じゃあそういうわけで。あたしらは帰るよ」
あたしたちは、別行動となった。
ピオニたちは引き続き、警察が守るダンジョンの警備に当たるという。
一二時になって、昼食に。
「もう、なんなのよ、あいつら!」
さっそく、蓮川先輩がブチギレていた。
バイキングで、唐揚げを独占している。
「ホントだよなあ! ヤツら、あたいらの取り分まで横取りしようとしやがって!」
トロちゃんこと、ドワ女の三年トローゼ・フィングスも、怒り狂っていた。こちらは、ショートケーキをホールで食っている。
「どうしたどうした? なんかあったんか? 話、聞こか?」
おどけた風で、あたしは蓮川先輩とコンタクトを取ってみた。
「どうもこうもないわよ! 鬼怨組よ!」
話を聞いたところ、鬼怨組がドロケイルールを無視して襲撃してきたらしい。
「午前中は、トロちゃん率いる盗賊団も、警察側の勇者連合も、打ち合わせだけのはずだよな?」
ドロケイといっても、襲撃は午後からだ。
お昼になってからでないと、襲撃できないルールのはずである。
警察側は午前中、襲撃されそうな場所や警備の甘い箇所の確認などを行う。
盗賊団側は、その包囲網を予測して、襲撃の計画を立てる。
「あいつら、午前も午後もなく、突然攻撃してきたんだよ。魔物を引き連れてよお!」




