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ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。  作者: 椎名 富比路
第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

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第37話 ピオニ遅刻の真相

「おお、あんた、野呂(のろ)さんとこのお孫さんかい?」


「祖父をご存知で?」


「あたしゃ、あんたのおじいさんのオシメも変えてやったことがあるよ」


「ああ、それは、どうも。恐縮です」


 野呂先輩が、頭をかく。


「野呂さんとこのお孫さんと、バイクのお嬢ちゃんがお友だちだったとはねえ。運命だねえ」


 店主のおばーちゃんが、しみじみと語った。

 

「ピオニったら、照れ屋さんなのです。おっしゃってくれたら、ちゃんと副部長にもわかってくれましたのに」


「ホントだよ。蓮川(はすかわ)さんだって、鬼じゃない」


 仲間ふたりが、ピオニの肩を持つ。

 

「いいって。それくらいのことで褒められたくないんだよ。コンビニに寄ったついでで、このばーちゃん見つけただけだし」


「でも勇者ってのは、ダンジョンを攻略したり、強い魔物を討伐するだけじゃない。人助けこそ、立派な勇者の仕事だと思うよ」


「だから、そういうのは報告するもんじゃないんだって。オレに対する評価なんて、どうでもいいんだよ」


 ピオニは人助けによる称賛を、特に気にしていない様子だ。ただ人が助かればよい、ってスタンスみたい。


「でもサービスくらいはさせな。ほら」


 弾丸となる花火を、あたしはピオニに数発おまけする。


「いいのか、洲桃(すもも)?」


「どうってことないって。世話になってる店主を、助けてもらったんだ。これくらいはさせろよ。なあ、はるたん?」


 あたしが聞くと、はるたんもサムズ・アップした。


「ありがとよ。あんたらのことを、フォローしてやる」


「それは心強いな」


 市民役の人は、味方してくれる冒険者からフォローを受けることができる。

 あたしたちはこのドロケイ合宿では、警察側のアイテムショップだ。なので、警察の助けも借りられる。

 


「わたしもです。ラムネを数本くださいな。それと、治療の魔導書を」

 

 ピオニの相棒である睡蓮(すいれん) ティナは、ラムネを買う。彼女は白衣を着ていて、ドロケイでは「科捜研の魔女」を担当するらしい。どんな仕事をするのか、想像もつかない。


「はい。睡蓮さん」


「ティナで結構ですよー。ピオニも下の名前で呼ぶなら、わたしもみなさんとお友だちです」


「じゃあ、ティナ。どうぞー」


「ありがとうございます」


 ラムネを受け取ったティナは、魔導書のある店頭へ。


「そうだ、僕も買い物だった」

 

 野呂(のろ) アスカ氏は、攻撃系の魔導書がほしいという。この人もはるたんと一緒で、装備が純魔なんだよな。


 男子の買い物は早いと言うが、なんかアスカ氏の場合は焦っている感じ。


「急いでるの?」


「いや。午前中は、ダンジョンの見張りと周辺の警備だけ。本格的に忙しくなるのは午後からだけど」


 ダンジョン部合同合宿「ドロケイ」の泥棒側には、【ミッション】がある。「警察の警備をかいくぐって、お宝を盗む」「警察署を襲う」「要人を誘拐する」といったものだ。


「だとしたらモモ、あれだ。ここが女の園になっちゃってるから、照れてるんだよ」


 ああー、思春期特有の意識し過ぎ系か。


「ようこそ、野呂先輩。女の園へ」


 なるべく色っぽい声を、ジョークで出してみる。


「やめろモモ。朝から吐く」


「だな。朝から気分が悪くなってきた」


 えーっ。


「あ、あのー、ちょっといいかい?」


 話題を変えたいのか、野呂先輩が店頭の本棚を指差す。


「おっ。意識しちゃったんじゃない? 野呂先輩は」


「するか。で、先輩、どうなさった?」


 はるたんが、冷たい。

  

「陳列が、グチャグチャだね」


「ホントですねー」


 ティナも、本棚の有り様に驚愕した。

 

「すいませんね、ティナ。野呂(のろ)先輩。本棚は今朝、魔物にぶっ壊されまして」

 

「おやおや。また【鬼怨(おにおん)組】の仕業かねえ?」


 本棚の近くまで出てきて、おばーちゃんが語りだす。

 

「鬼怨組?」


「かつてこの地を荒らしていた、鬼の一族だねぇ。いわゆる、桃太郎伝説の鬼の子孫だよ」


 つまり、ここはいわゆる「鬼ヶ島」なんだそうだ。

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