アマチュアは関係を説明される。
「それで……心廻……お前、俺の部屋には戻ってくるのか?」
俺は少し不安気になりながらもそう心廻に問いかけた。
「あー……それはね亡……うん……! 取り敢えず、今日は亡の部屋に帰ろ! 夜桜! 早退でよろしく!」
早退って……幾ら学園長だからってそんな事したら問題だろ……。
「あ、オッケーです」
あ……オッケーなんだ……。
「何かもう、今日は色々あって疲れたし、まあ、夜桜早退にしてくれその……ありがとうな……それと……正直お前のこと疑いまくってた……ごめん」
「いいんですよ……何せ私は貴方を愛してますから!」
「それは……その……あはは……」
ちょっと夜桜の俺への謎の愛情には困惑しかないが、まあ、何か悪くないな……人と仲良くやるのも……。
そういえば……あいつらと居た時はこんな感じだったな……。
「じゃね夜桜! さ、亡行くよ!」
「はいはい、行きますよ」
きっと心廻が居なかったら、俺はあのまま世界の終わりまでこうだっただろう。
正直、心廻と関わったのなんて一日しかないのに、人間長く張り詰めて生きていると案外簡単な事で崩れることもあるのだろう。
それに今振り返ると心廻の明るいところはアイツに似てるし、膝枕とか撫でてくる包容力はアイツに似てる……。
結局あの2人の影響がどれだけ俺にとって強かったか身に染みて思い知る。
それにこれはきっと偶然じゃない、心廻はプロだし、俺の事を知っているみたいだったから、わざとあの2人の面影を感じる性格を演じているのだろうと思う。
よく思い返せば最初に会ったときは男みたいな喋り口調だったからな。
全部心廻の計算通りってわけか……。
まあなんにせよ、今なら姉と妹、そして幼馴染姉妹も彼女らなりに俺と関わろうとしてくれた事に深く感謝をしようと思った。
□ □ □
「さて……部屋に戻ってきたし……落ち着こう! と言いたいけど……今回はせっかく早退して時間作ったし、学園長と私の関係を整理しよっか!」
「それはいいが考えること多いな……お前の力もよく分かってないし……七理の事や贄の食卓、食媒については知ってても、多くて少し整理したい気持ちだ……」
「そうだね、でも私の力の事以外の七理や敵の事、学園の事、王国の事は、近々振り返って知れると思うから、今は単語だけ覚えればいいよ意味がわからなくても」
「近々ね……まあいいや」
ならと、まず疑問に思ってた学園長との関係を問い詰める。
「じゃあ、夜桜とは、どんな関係でどういう経緯で七理に入る事になったんだ?」
「それはだね……実は私、前にあの子に会った事あるからなんだ、君と初めて会ったとき扉から来たじゃん? その扉私が用意したものじゃないんだ」
「ああ、あれか、確かに何であんなものが学園にあったのか考えてなかったな」
「じゃああれが何なのかって言うと、彼女は学園長でありながら、能力の研究者をしてて」
「なるほど、だから白衣だったのか」
「そして何より君と同じで、元々この世界の人間ではない」
「まあ、それは同じ学校に通ってた時点でな……それで?」
そう俺はこの世界の人間じゃない、そして夜桜もあの2人も、だからこの世界の能力者とは違うのだ。
「彼女は、君と同じ世界から来た訳だ、だけど彼女はあの世界がどうなったのか知らなかった、だから確認したいと異世界に行ける扉を能力を研究する知識を活かして作り出したみたいなんだ」
確かにそれなら学園に扉があった理由も頷けるが……。
「じゃあ何でそこから心廻が出てきたんだ?」
「それは、贄の食卓と戦ってたんだけど、逃げられて追いかけた先がこの世界だったんだ」
「お前も贄の食卓と戦ってたんだな」
「そうだね、そしてあの扉から出てきた理由は、あの扉は、私のワールドエディタの世界間移動のシステムに近くてさ、だからあの扉と混線して座標があそこに変わったみたいなんだよね」
「なるほど……逃げられたわりに、最初に会った時から、俺の事優先してたよな? 何故だ?」
「それは……君が贄の食卓を解体するのに適任だと思ったから」
「……まあ、深く今は話せない……か、なら、何故逃げられた? お前強いだろ?」
「それは……私、一応、全次元を管理し均衡を守る……組織の人間だから、その時はこの世界みたく力の解放が許可されてなかったから、そして今回も特例だから正直いつまで力を使えるか……」
なるほど、ようやく心廻の事が少し分かって来た。
「ちなみにその組織って、どんな組織なのか聞いていいか?」
「情報開示は確かにできるよ、でも亡にはそのレベルのプロになってほしいわけじゃないから、めっ! です!」
「分かったよ、聞かないでおくよ、だって何でもかんでも聞くのはプロじゃない! だろ?」
「うーん……私としては違う価値観なんだけども……」
あれ……間違った……。
「そして私は君が実家に帰ってる間に七理の実力を確かめに行ったんだ、そこで夜桜と会ったの」
「なるほどな」
「あ、ちなみに龍波ボコして仇は取ったから! 後で褒めてもいいよ!」
仇討ちなんてしてたのか……だから龍波と喧嘩をしてたと知れて、また少し安堵した。
「まあ……その……ありがとな、俺のために」
「うん、相手の実力を見るついでに……ね?」
……ついでか……。
「そして夜桜は真理の眼という昔、私が与えてあげたその眼を持ってた、だから夜桜は私の正体も見破れたんだね」
「与えてあげた? 真理の眼? お前の正体?」
「てっきりこの世界のルールに介入できるからだと思ってたけどあれも別の世界産だからだったなんてね……しかも自分の蒔いた種だし……」
「いや、そこはいいから、疑問に答えてくれ!」
「まあ、落ち着いてよ、一個ずつ説明してあげるから、ただ、正体に関しては教えない方が面白いから言わないよ? それと与えてあげたも正体に関わるから秘密!」
心廻の正体が分かると思ったが……コイツ面白いからって……。
「で、真理の眼が何なのかというと、本当の名称は、偽りの眼、物事の真実を見抜く能力の眼だね、だから私の真の姿もわかるし改変にも気づけた」
説明されているはずなのに心廻の謎が増えていくのは一体なんなんだ……?
「まあ、それで向こうは私の正体に気づいて、私はあの子の事、覚えてたけど、彼女、姿が昔と違うから最初は分からなかったよ」
姿が違うから、同じ学校に通ってたはずなのに俺も夜桜の顔を知らないわけだ。
「それにしても彼女、真理の眼なんて大層な名前つけちゃってさ……」
「その真理の眼ってのは、詳しく説明してくれないのか?」
「まあ、そこは、本人に聞くのがいいんじゃないかな?」
「なるほど、今度聞くことにする」
「それで、即座に夜桜が態度を急変させて、昔のあの子みたいになったから、そこで気付いたわけ」
「そんなに特徴的だったのか?」
「うーん……? まあ、あんな性格じゃないことは確かだね、でも、普通に本人が自白したからね、私の知り合いだって」
「じゃあ、自力で気付いたわけではないじゃないか……」
「ま、そういう事になるかもね……」
おいおい、こいつ、今自分が気付いたって自分の凄さを盛ったな……。
「まあ、それで、学園長室まで移動して、色々話しをしたんだ、ちなみに扉の混線の事とかは全部夜桜の見解なんだけどもね」
「それで話をして協力することになったわけか……」
「そうだね、そこで夜桜も贄の食卓と敵対してる事が分かった、まあこの辺は亡がどうするか決めたら夜桜自身に語ってもらうとして」
「何にせよ夜桜と話をしなきゃいけないみたいだな」
「うん、そこで夜桜は、この国自体に贄の食卓の息がかかってるのを突き止めて、それを何とかするために信頼できる味方を必要としていたんだ」
「だから協力する気になったってことか?」
「うん、贄の食卓を倒す目的自体は一致してるし、亡にも後で言おうと思ったけども、あそこで知り合いだとバレたら面倒だし、亡も嫌がると思ったから、初対面って言ったんだ……ごめんね?」
「いいよ……別に俺のためだったのに、俺が勝手にショック受けてただけだしな……」
あの時の発言の真相も分かった上に、俺を思っての行動だと分かり、あの時の記憶が灰色から色づく。
「ちなみに私が考えてた元々プランとはズレてるけども亡を変えるのには使えると思ったのもあるね」
「それはやっぱり、俺の弱点を作り出した事か?」
「弱点?」
「俺が心廻を失うのが怖いと、誰かと親密になって失う恐怖を作り出したんじゃないのか?」
「ああ、そんなふうに思ったんだ、今回の私の七理入り、確かに似たような事はやろうと思ったけど、流石に可哀想かなって思ってやらなかったけど、結果的にそうなっちゃったか……ごめんね?」
「いや、いいよ、なら性格をあの二人に寄せてるってのも勘違いか?」
「そこは合ってるよ、確かに寄せてる」
「そうか……大変じゃないのか?」
「大丈夫、演じることには慣れてるし!」
「そうか……一応キツかったら、俺の前では素でいいんだぞ?」
「大丈夫だって! それに私結構この演技向いてるというか合ってるみたいでさ、楽しいから!」
「なら、いい……」
「まあ、取り敢えずこんな感じかな、後は亡がどうするか決めてくれたら話すよ」
そう言われ少しも悩まなかった、心廻がどういう経緯で七理に入ったのかも分かった。
なら返事は決まっていた、夜桜への不信感も大分取れた。
なにせ同郷だしな、それに心廻と一緒に居たいから返事は決まっていた。
「分かった、夜桜に協力しよう」
説明不足と読みやすさを調整しました。




