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異世界経験豊富なプロと行く!〜無能力者の学園生活〜  作者: 啓上秋
一章アマチュアはプロと出会う。
8/29

アマチュアはプロと……再会し……。

 休み時間が終わり、俺は教室に戻って隣が空いてしまった自分の席に座る。


 特に隣の席があるのに誰も居ないのが騒がれてないのは改変の影響だろう。


 そうして教師が教室に入って来ると俺の方を少し見てから俺に近づいてきた。


「草羽君、学園長がお呼びです、何をやらかしたのか知りませんが、くれぐれも失礼のないように……」


「……学園長ですか……分かりました」


 学園長から呼び出される理由なんて一つしかない……。


 確実に七理の階に入った件についてだろう……さて……どう言い訳するか……。



□ □ □



「失礼します……」


 学園長室まで移動し、扉をノックし入室する。


「やあ、君が草羽亡君だね……いや……色十目いろとめ亡……これが君の本当の名前だろ?」


「……なるほど……心廻を誑かしたのはお前か……」


 色十目亡……俺の本当の名前を知っているのは厄介だが……。

 心廻がこいつについている可能性が高い以上、下手な事は出来ない……。


「誑かす? とんでもない……私は君を誑かしたいのさ……亡くん……いや私の愛しの亡……」


「……は?」


 愛しのって何だよ……。


「おっと……すまないね、少々私の感情が前に出過ぎた……とにかく心廻の事は心配しなくていい、何もしてないよ」


 とにかく分かったのは、この学園長も大分ヤバイ奴だと言うことだ……。


「そういえば……自己紹介がまだだったね……私は白夜咲夜桜びゃくやさきよざくらだ……よろしくね亡」

 

「さて……私が君をここに呼び出したのは贄の食卓の件だ……」


「……なるほど……あんたは贄の食卓の関係者か?」


 贄の食卓……それは食媒と、とある存在を信仰している宗教組織……。


「滅相もない……むしろ私は敵対しているつもりだ……取り敢えず話を進めよう……心廻、入っていいよ」


「あ? もう亡と対面? 早くない?」


 そう言いながらいつもの様子で部屋に入ってきた心廻に俺は……。


「やっぱり……お前なんじゃないか……我音は……」


「うん! そうだよー? え? どうしたの亡? そんなに怒って……」


 俺は……俺は……。


「俺は……心配したんだぞ……! お前が何か良からぬことに巻き込まれてるんじゃないかって……お前が強いのも考えがあるのもわかってたさ……でも……俺に相談してから決めて欲しかった……」


 情けないセリフを言う自分に驚きつつも言葉を止められなかった。


「あれー? もしかして……私が取られちゃう!? って思ったのー? ふふっ……全く可愛い奴め!」


「それの何が悪いんだよ……」


「もう! 言ったでしょ? プロはアマを見捨てないって! もっと信じて欲しいんだけどな……?」


 そう言われて、ようやく張り詰めていた糸が切れ何かが頬を伝うのを感じる……。


「え!? 亡!? ちょ!? そんなに私の事大切だったの!? あの……その……えっと……よしよし怖かったね……」


 心廻に何かを拭き取られ頭を撫でられる。


「……そこまでにしといて貰えるかな……」


「あ……ごめん……夜桜……」


「分かればいい……なにせ、今の私は心廻に嫉妬しているからね……亡が取られちゃう……って……」 


「ふーん……でも亡は渡さないけどね?」


「おい……心廻……それって……どういう意味だよ……」


 急に直球で好意を伝えられると、どうしたらいいのか戸惑ってしまう……。


「え? 何って……そのままの意味だよ? 私が亡をプロにするまで離さないって!」


「あ……そっち……か……」


 俺の考えとは別の意味だったことに、安堵と同時に複雑な感情が湧いたが、その感情が何か言語化出来なかった。


「そっち……? あ……もしかして私が亡の事好きだと思ったってこと???」


「は!? そんな訳……ないだ……ろ……多分……でも……実際どうなんだよ……」


「ふふっ……どうなんだろうね?」


 あの時の妖艶で色気のある笑みだったが今度は恐怖心ではなく湧き上がったのはただ、ただ心の底からの安堵だった。


「それで話を進めるけどね……亡……私の事は夜桜って呼び捨てにしなさい? これは学園長命令です……さもなくば強制七理入りです」


「さっきから思ってたが……どうして俺の事を知ってて、そんなに俺と仲良くしたいんだ……?」


 心廻がいつもの心廻だったので、安堵はしたが、まだ学園長の事は疑っている……。


 何を考えているのやら……。


「どうして……? 強いて言うなら同じ学校に通ってたから……でしょうか? そして好きだから……としか」


 同じ学校……?


「……!? お前……まさか!?」


「そうですよ……そのまさかです……」


 その事実に気付いた時、一気に疑いよりも夜桜への心配と疑問が浮かぶが……。


 取り敢えず少しずつ確認していく。


「まず……お前……どうやって生きていた?」


「決まってるでしょう……亡と同じ人に助けられた、それが事実です」


 同じ人……か……。


「分かった、なら何故"ここ"に?」


「それも貴方と同じように」


 それも同じなら聞かなきゃいけない事がある……。


「あの人は……今何処に居るんだ?」


「……それはあえての黙秘です」


「何故だ?」


「それは……言いたいけど……本人希望だからです」


 本人希望か……ある意味あの人なら言いそうだな……。

 やはり同じ人に会ったのも間違いないだろう。


「それはいいんです……とにかくここに集まって貰ったのはこの三人で贄の食卓……いや……最早この輪廻王国に入り込んだ奴らを解体し、亡にとって大事である、あの二人を取り戻すためです」


「なるほど……直ぐにとはいえないが……心廻がいるのなら前向きに検討する」



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