プロは居なくなる。
俺が食媒の息の根を止めて、冷静さを取り戻した後……。
「今のは……今のは……! 亡……貴方……権利能力者だったの……?」
「なんっ……!」
不味い……我を忘れて、怒りに任せて、食媒を始末したから言い訳を考えてなかった……。
「貴方一体どこで……その力を手に入れたの……?」
「母さん……権利能力者なんて存在しないよ……あれは神話の出来事だし、なにより今のは悪夢って言ったでしょ?」
権利能力者……そんな事……今は誰も知る必要のない単語だ。
「悪夢って……なに言って……?」
「……ごめん母さん……対象者の一部の出来事に対する記憶力維持の権利を剥奪……」
「な、き」
母さんもその場に倒れる。
やってしまった……母に力を使ってしまった……。
だがこれで今回の出来事に対する記憶力維持が出来なくなったおかげで、今回の件はもう思い出さないだろう……。
「やれやれ、コイツらの死体を消さないとな、権利行使、火炎葬哀愁……! 火葬」
そうして……。
□ □ □
「亡……どうしてお母さんが倒れているのか説明してくれるかしら……?」
どうやら改変の対処が終わったらしい……。
もう少し時間がかかると思っていたが、そこは七理。
流石に速攻で幻影を倒し、居もしない男を助けて姉さんだけ戻って来たということは……。
その虚構の男を他の七理は保護してる最中なのだろう……。
まあどうせその男は七理達が離れるまでは消えないから気にしなくてもいいが……。
それよりも言い訳を考えなくては……。
「そうだな……まあ……床で寝ると気持ちいいって……そう言ったら急に実践し始めてさ……いや……困った母さんだな! ハハ……」
「はぁ……そんなわけないことくらいはお見通しよ……まあいいわ、母さんが変人なのは承知のうえだし、今回は騙されておくけどもちゃんと稽古はしてもらうから」
まあそうなりますよな……そりゃ……。
しかし、まあ姉さん……俺に厳しくも甘いな本当に……普通は聞くだろ何があったのか……。
まあ姉さんはあの時の光景が忘れられないんだろうな。
俺が力を使って姉さんの命を救った時のことが……。
だから……俺なんかに期待し続けるんだ。
あの時は今思うと、もっと正体を隠して力を使うべきだった。
幸い身体能力強化しかあの時は使ってないから、身体能力のポテンシャルがあるとしか姉さんには思われてないだろうが……。
「さ、行くわよ……亡……今回は徹底的にやるんだから!」
「はいはい……めんどーだな……」
□ □ □
そんなこんなで姉さんと稽古をし七理の皆と学園まで戻って来た。
「じゃあ亡……精々……精進なさい……ね……」
「じゃあねお兄ちゃん!」
「ハッ! 亡! 強くなれよ!」
「私も応援してますから……!」
「あーうん……まあ気が向いたら強くなるよ……」
こうして七理と別れ自室に向かう。
部屋に戻ると誰も居なかった。
だが出かける前に心廻が七理の実力を調べると言っていたのを思い出し、特に気にせずに、今日は疲れたので早めの就寝をした。
そうして……朝起きると心廻はまだ居なかった。
俺は何故か少し寂しさを感じながら、すぐ戻ってくると高を括り、普通に登校準備をして学園に向かう。
□ □ □
学園に登校すると、何やら教室がざわついて居た。
「おい……知ってるか? 学園長のスカウトで七理に八人目の枠が出来たらしいぜ……」
「何だよ……それ……それじゃ七理じゃなく八理じゃねぇか……」
「それがな……七理とは厳密には違う、学園長直属の護衛としての採用らしいぜ……」
八人目の七理……そして学園長直属の護衛……はっきり言ってこれは異例だろう。
なにせ、この学園は王国直轄の学園であるが故に七理は国王の親衛隊も務める集団なのだ……。
それが、国王ではなく学園長の護衛……何やらきな臭いが俺には関係ないだろう……。
そう思っていたが……。
「皆さんおはようございます……さてもう知ってる人も居ると思いますが、この度七理にもう一人の新メンバーが入りました、正体不明の転校生と学園長からは報告を受けております、ですから皆さんには一応どんな人物かを今から映す動画でご確認下さい」
そう言い黒板にプロジェクターで投影された動画が再生される。
「はーい! 私がこの度新しく七理に入った! 我音だよ! よろしく!」
「……全く……クソが……そういう事かよ……!」
動画に映っていた生徒は仮面を被り名を我音と名乗っていたが、俺には分かる……。
このテンションの高さ、そして昨日の七理の実力を測るとの発言。
コイツは……心廻だ……。




