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異世界経験豊富なプロと行く!〜無能力者の学園生活〜  作者: 啓上秋
二章アマチュアは教えを説く。
28/29

アマチュアは姉妹喧嘩を手伝う。


 目の前で霧香が倒れている事態に俺は……。


「どういう事だ……? おい! 霧香大丈夫か……?」


「え、えぇ……その……食われましたわ……」


 食われた……?


「霧香、何が起こったのか説明できるか?」


「はい、これはわたくしの能力が持つ弱点によるもの……月食ですわ……!」


 月食……その名の通り月が食われる……。


「つまり、能力が食われたってことか?」


「えぇ……月食が起こり、月が食われてしまう事で、真実が外に出れずに内側に跳ね返り、わたくしに、ダメージが入るという仕組みですわ……」


「なるほどな……」


 つまり……霧香の月食は、合わせ鏡という事だろう……本来鏡は真実を映すもの、だが……そこに鏡をもう一枚合わせると、無限に反射しあい出口がなくなる。

 その行き場のないエネルギーが暴発して、霧香に入ると言ったところだろう。


「それが何故起こるか分かるか……?」


「いいえ……分かりませんわ……能力の代償だと、わたくしは思っていますが……」


 能力の代償……果たして本当にそうだろうか……?


「俺は他に原因があると思ってる……」


「そんな!? つまり、これは改善できると……?」


「そうだ……だが……まずは原因を探らないとな……!」


 だが……俺にはもう、大方の見当はついてる……行き場のないエネルギー……。


 それはまさしく霧香そのものだからだ。


「どうやって探るんですの……?」


「まず、月食が起きる時、お前はいつもどんな状態だった?」


「それは……」


 霧香は少し考えた後……。


「勝ちを確信した時……」


「それで?」


「勝ちを確信して、いえ……厳密には……油断している時ですわ……」


「なるほどな……分かったぞ原因が……」


「もう!?」


「ああ……簡単な事だ……お前はキャラを作って素の自分が抑圧されている状態で能力を使っている……だからだ」


「どういう事ですの?」


「説明すると、人は油断している時には素が出てくる……だが……お前は能力使用時には、キャラで素を抑圧しながら使っている……そして油断した時に出る素のせいでエネルギーが漏れ出て来てしまうんだ」


「つまり……抑圧されている、エネルギーがせり上がって来てしまうけども……キャラで抑圧されているから出口がない……だから暴発してわたくし自身にダメージが……?」


「そう言う事だ……」


  恐らく霧香の能力の出力の不安定さは月、霧という曖昧で満ち欠けをする能力独自によるもの、だが……月食だけは霧香の精神によって引き起こされるバグに近いものだろう……。


「霧香、ナンパされた時も月食が起こったのか……?」


「えぇ……あの時は貴方とのデートで油断しきっていましたからね……ですが月食が起こるとあの時は気づきました……」


「それは何故だ……?」


「何故なら遠くの生我先生の仮面が見えているのを遠目からでも確認できましたから……」


 という事は……俺は仮面をつけた事がバレたままたこ焼きとかを買ったわけか……。


 よく指摘されなかったと思うが店員も変な奴にむやみに関わろうとはしないか……。


「だから直ぐさま能力を解除して、素の実力で倒しましたが……相手も複数の能力者……故に少し怖気づいてしまいましたの……」


「これで後、霧香に必要な事は……」


「早急なキャラの統合……」


「そうだな……だが、今日はここまでだ、帰ってゆっくり休め」


「でも……」


「焦りは余計に精神の摩擦を生むぞ……」


「はい……!」


 こうして今日は解散した。


 

□ □ □



「お帰り! 亡!」


「お帰りなさい愛しの亡……!」


「お帰りなさい……」


 仕事が終わり夜になったので帰ってくると皆が揃っていた。


「ああ……ただいま」


「亡……霧香は……大丈夫でしたか……?」


 海月が耳打ちしてくる。


「ああ、その件で話があるから、後で俺の部屋に来てくれ」


「分かりました……」


 海月はいつもよりも少しソワソワしていた。


 まあ、妹の事が心配なのだろう。


 そうして……。


 

 □ □ □



 コンコン!


「入っていいぞ」


「失礼します……」


 海月が俺の部屋に入ってきた。


「それで……霧香はどうでしたか……?」


「色々聞けたよ、霧香の事はな……アイツ昔はあんなお嬢様キャラじゃなかったんだな……」


「えぇ……昔の霧香は明るくて良い子でした……」


「今も癖はあるが良い子だ……」


「そうですね……」


「それで、色々あってな……霧香に打倒海月を目標にさせた……悪いな……」


「いえ……それで霧香の気が済むなら……それで……」


「何言ってる……? 別に霧香には勝たせようと思ってはいない……」


「え……?」


「俺は霧香に姉を超えようとする自分からの卒業式として最後にお前と本気で戦わせるだけだ」


 そう、霧香が海月に負けようが勝とうがそこは大事ではない。


 大事なのは霧香自身が海月と対峙した時にどう決断を下し、成長するか……その手伝いを俺はしているだけだ……。


「そうですね……霧香には、私に囚われるのをこれでやめてもらいましょう……! その為に私も本気で行かせてもらいます……!」


「その意気だ海月、思いっきり姉妹喧嘩して来い!」


「はい!」


 こうして、翌日から姉妹喧嘩の為の霧香のキャラ統合特訓が始まった。


 

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