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異世界経験豊富なプロと行く!〜無能力者の学園生活〜  作者: 啓上秋
二章アマチュアは教えを説く。
24/29

アマチュアは高飛車と決闘する。

「わたくしのこれは……! キャラ……ではありません……!」


 霧香は机を叩き立ち上がる。


 フードコートの一角、唐突な修羅場に周りも反応し野次馬が集まってくる。


「あの仮面の男はなんだ……?」


「女の子が怒ってるわ……通報する……?」


「なるほどな」


 霧香が能力の霧で隠してくれた仮面が見えると言う事は……。

 

 明らかに能力が解除されているわけだ。


「お前……能力の制御ができないんだな」


「! 先生……行きましょう……!」


 霧香はたこ焼きとポテトを持ち帰り用なのかパックに素早く移した。


「あぁ……なんかすまない……」


「いえ……ですが……! 貴方には、少し失望しました……」


 対応をミスったように見えるが、俺はこれで正解だと思ってる……。


 結論、状況にもよるが人というのは自分が隠したいものを指摘されると、態度や言動に表れる。


 まさに今の霧香がそうだ。


 もし、高飛車なお嬢様だからキャラと言われてプライドが傷ついてこの態度なのだとしたらそれはおかしいのだ。


 何故ならまず髪を触っていた言い訳をするはずだ。


 だがそれをしていない上、本当にプライドが傷つき怒っているなら、たこ焼きやポテト等俺に丸投げして帰ればいい。


 確かに霧香自身の性格故の行動だろうが、怒りや失望、嫌悪に満ちているなら本来の性格等忘れて感情に走ってしまうのが人間というものだ。


 まさに、俺が七理の教室に突撃した時の様に、冷静さを失うだろう。


 そして霧香は、必ず次にこう言うだろう。


「先生……! わたくしと決闘をしなさい……!」


「……分かった」


 そうして……。



□ □ □



 俺達は学園の個室訓練室まで戻ってきていた。


「さて……始めようか……霧香」


「ずいぶん余裕ですわね……? まるでこの展開を予測していたかのよう……」


「そりゃ予想してたからな……」


「……! 根拠は? 根拠は何ですの? この展開になるという……」


「根拠? 決まってるだろ……? お前はキャラを作っている……それを俺に見破られた」


「それで?」


「キャラを作る奴ってのはな……いくつかの種類がいるが……お前のタイプは、自分の自信のなさを隠す為だろ?」


「……だから……! 何を根拠に……!」


「決まってるだろ? ……今までの人生の経験」


 言い終わると、俺は――。


「なっ!? くっ!」


 いきなり霧香に殴りかかり、それを霧香は二刀の刀で受け止める。


「いきなりとは……本当に失望しましたわよ先生……!」


「はっ! 続きを教えてやるよ……! 自信がないからキャラを作る奴ってのはな……!」


 続けて連撃殴打。


 権利行使で身体能力を強化しているから、かなりの威力なところを霧香は息を切らしながら何とかいなしている。


「それを暴かれると恐怖でいっぱいになるんだよ……! だからお前はその知られた恐怖を打ち消す為に、俺を倒して口封じをし、いつもの最強と自負する自分に戻ろうとしたんだよ……!」


「そんな事……! アッ……!」


 刀の間を縫って一撃。


「だから俺は……お前が必ず決闘をしかけてくると予知し、お前にキャラ作りを無理してないかと、お前がこの行動をすると読んだ上で話したんだ……!」


「そんな事できるはずがありませんわ……! どこまで私の事知って……!」


「知らねぇよ……! お前のことはな……!」


 そう霧香の事は何も知らない。


 だが"アイツ"だって元々はこんな奴だったのだからよく知ってるとも言える。


「そして……お前は今……! 能力が使えない……だからこれで終わりにしよう……権利行使……強化……! 筋力増加!」


 権利行使により増強された筋肉により攻撃が格段に重みを増す。


 そうして霧香の刀ごと、殴る――。


 ドゴォォォ……!



 霧香は軽いボールのように吹き飛ばされ……。


 地面に倒れ込み砂埃が舞った。


「そんな……! わたくしが……負けた……?」


「……霧香……これでよく分かったろ? 先生は頼りになると……! お前の悩み聞かせてくれ……」


「……! ほんっと……! 失望しましたわよこの、詐欺師……!」


 そんな霧香の顔は、泣きながらも……立ち上がりこちらに歩み寄ってきた。


「全く……わたくしの担任のくせに生徒の問題に踏み込み過ぎですのよ?」


「担任だからな……」


「……なら、教えて差し上げます……ただし解決しなかったら許しませんわ!」


 俺と霧香の間にあった、たこ焼きとポテトの湯気はパックによって昇らなくなっていた。


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