アマチュアは整理する。
「じゃあ、授業を始めるか、まず、お前らの集団と王国そしてこの学園について改めて復習するぞ?」
部屋割りを決めて翌日になった。
そうして今日は改めてこれから教師として活動する上で俺にとって必要な三つについて生徒に教えながらの復習から始める。
「先生……今更復習する必要はあるのでしょうか?」
雫がそう質問をする。
「いい質問だ雫、答えは必要ある、だ……」
「何故ですか?」
「お前達は七理であり生徒会も務めている、つまりこの学園でも……そして、この国でも代表として模範となる必要がある、だからこそ、どこまで自分達のことと自分達の居場所を知っているかをテストする必要がある!」
「なるほど……では、今からは授業というよりテストをするんですね?」
そう、これはもちろん体裁のいい嘘である。
心廻が前に言っていた近々情報を整理する、場所があるとはこの教師の仕事の事だ。
敵の事についてはあの時の夜桜との会話の事だろうしな……。
そしてこのテストは俺が整理する為に心廻と夜桜が用意してくれた時間だ。
「じゃあこれから俺がそれぞれに質問していくから答えて貰うぞ」
そうしてまずは……。
「龍波! 七理とはどういう集団だ?」
「ちっ……なんでいきなり俺なんだよ……!」
「答えろ龍波……もしかして分からないのか?」
俺に煽られた龍波は、立ち上がり……。
「あぁ? 分かるわ!? 七理はこの学園のトップにして、国王の護衛で生徒会もやってる集団だ……」
怒りながらも答える龍波を見て少し教え子として可愛さを感じつつも補足をする。
「概ね正解だが、足りない……七理は卒業生全員が行方不明になっている……」
俺がそう言うと雫が前のめりに立ち上がる。
「どっ……!? どっ、どういう事ですか先生……! 私はそんな事聞いたことありません……!」
珍しく雫が取り乱し焦りを滲ませる。
「そうだよ! 先生! どういう事なの?」
藍も続けて焦り出す。
周りの七理も、それぞれ驚き、見極め、怯え、焦り等色々な感情が出ているのが見える。
「皆、落ち着け、俺もこの件はよく知らないんだ、何故これがお前達七理や学園や国民に伏せられているのか、それも分からないのだが……俺が教師になったからにはそんな事はさせない……信じてくれ……」
俺がそう言うと……少し押し黙ったあと……。
「全く……そんな事で怯える必要が何処にありますか……私達は最強の七理! 故にどのような危機でも乗り越えて見せましょう!」
霧香が見栄を切りそれに乗じ皆も冷静さを取り戻す。
「そうだぜ……それにそこの教師は信用ならねぇから嘘かも知れねぇしな……!」
龍波がそう言うと今度は俺に視線が向き雫が……。
「先生……その情報は何処からの物なんですか?」
「これは夜桜と元七理の海月先生からの情報だ、ただしこの二人もよく知らないらしいがな」
「待ってください……元七理なら行方不明になっていないじゃないですか???」
「そうだな……海月先生だけは確かに行方不明になっていない……だが、お前達は他の七理についてそもそも知っていたのか? 歴代は誰だとか」
俺がそう言うと雫は目を伏せ……。
「いえ……私が七理になった頃にいた人達しか知りません……」
「そうだろう? 故に誰も知らないんだ、この行方不明について……」
そう誰も知らないのだ七理であるこいつらも……。
俺に言われて初めて事の異常さに気付いたみたいだ。
「お姉様が……七理……?」
霧香に至っては自分の姉が七理である事も知らなかったみたいだな……。
これが姉妹の確執を生まなきゃいいが……。
しかし……これを話す事は心廻達に共有しておいたが……これを見ると少し失敗な気もするが……。
まあ、いざという時自分の身が守れる警戒心を作ったのはいい事か……。
「じゃあこの話は今はこれでおしまいだ、次、信! この学園について答えてみろ」
「分かった……この学園は王国直属の学園で数々の優秀な人材を輩出してきたが、その実完全な実力主義で結果が全てであるが為、生徒も教師もかなりルーズで自由なのが現状だ」
「その通りだな、だが、これは学園長の方針ではなく王国による、直接介入によるものだと学園長の名誉の為に補足しておく」
夜桜も夜桜なりに改めて苦労していると理解出来た。
「さて……じゃあ最後に雫、この王国について答えろ」
「はい、この王国は輪廻王国という名で全ての領地をこの国が治めています、そしてこの国は神話の神、権利能力者によって作られた国だそうです」
神話……ね……。
「……ありがとう、これで授業は終わりだ、生徒会の仕事に移るか……」
こうして行方不明の情報の為、不穏な空気を完全に払拭できないまま、初めての生徒会の顧問の仕事が始まる。




