#94 真実との会合
『皆さんは、"水"の大切さ。ご存じですよね。それでも、もしかしたら…普段から"蛇口ひねりっぱなし"や"拭き取らずそのまま油を流す"などなど、もったいない使い方をしている人もいるかもしれませんね』
――なんか今回のは教訓じみてる感じがするな。
ユリアから渡された台本には、こんな事が書かれていた。
"ミツハノメノカミ"と…
「ホラーで合ってるんだよね?」
「よっぽど怖いと、批判が来てしまいますからね〜」
ホラーと言うより、そういう放送として聞いたほうが良いかもしれないな。
「一応、七不思議ですのでご安心下さいね」
なんだ一応って。
「まあいいや。流すのはもう少し後だから…今日は終わろうか」
話をきり上げる。
もう少しで完全下校の時間だからだ。
「そうですね〜私が鍵を閉めるので、お先どうぞ」
「そう?なら後はよろしく」
重い扉が閉まる。
そして、ユリア一人となった。
そのユリアは周りに誰もいないことを確認し――
「アハハハハ!扱いやすくて助かりますよ。クロードさん」
高笑い。
「もっとも、私…いや、僕の扱いが上手いだけでしょうけどね!」
気配も、声音も、話し方も全て変わる。
これがユリアの本性。
しかし、勝ち誇ったようなその声は放送室の壁に阻まれ、誰の耳に届くこともなかった。
そして、高笑いしているのはもう一人――
「ハッハッハッ!ワタシ自ら来てやったぞガーディアン!」
もうすぐ6時になろうとしている頃、こちらでも響いていた。
そして、ガーディアンが一蹴する。
「静かにしてください。なんでこんな愚龍」を連れてきたのですか
愚龍…
服の目も、ミヅハを睨んでいるのが殆ど。
「すまない。白石が"真実が知りたい"と言ったので連れてきたのだ」
「"真実"ですか…私から教えれる事はありませんよ」
厳しく突っぱねられた。
「そこをなんとかお願いできないものか…」
「…」
「お願い!」
一緒に頭を下げる。
「…分かりましたよ。少しだけですからね」
すると、何処からから本が飛んでくる。
丁度、ガーディアンの目の前まで。
彼女はページをめくり、言葉を紡いだ。
まるで、古傷に触れるように、ゆっくりと。
「――今から400年前。ゼルティアは無かった。いや…国として存在しなかった」
そして、ガーディアンから地図を渡される。
「ゼルティアの周りは――今もそうだけど、ほとんどかラグナの土地」
ラグナ魔法国家として描かれている地図にポツンと、海に面した点がある。
「ここが、ゼルティア。昔はここもラグナの領土だったの。正確にはその前身、ソル=ラグナ帝国のね」
帝国…
「ここを支配したのも、帝国主義の一環でしょうね」
先輩が整理するように言った。
「だけど、目指す未来が違ったの。ラグナが目指したのは魔法中心の国。ゼルティアは機械中心の国。この違いが、後に戦争へと結びついた」
戦争!?
「今も都市の下に眠っている武装のほとんどは、その時にできた物を改修しているモノ。そして、その最中に生まれた民兵組織のトップ。それが今の七不思議になっているのよ」
彼女は視線を戻す。
「これが、白石様が知りたがっていた"真実"。私達の存在は、自らの負の歴史の上に成り立っているの」
「ちょっと待ってよ!今は独立出来てるってことは勝ったんでしょ。なんで七不思議になったのよ」
先輩が言った。
「そこなのよ。私たちが機械技術で戦っている間、ラグナは魔法技術――つまり、強い能力について研究していたの。そして、あの忌まわしき災害、地獄の氷河が発生した」
声のトーンが一つ下がる。
「その瞬間に、戦闘は終わったの。ソル=ラグナ帝国が、滅亡したのよ。私たちと一緒にね」
そして、彼女は本を閉じた。
「これ以上は言えないわ。後は自分たちで調べることね」
「えーもうちょっと…」
ルナが惜しそうに言う。
「教えてくれてありがとう。ここから先は自分で調べるよ」
そして、僕は感謝を伝えた。
「地獄の氷河の事も、ゼルティアの事も」
考えたら、ほんの少ししか知らない。
リゼリアが歴史書を読むのも、もしかしたら――
「なら、小生としては…ここに行ってほしいですね」
そして、ファントは地図を指した。
ローラス法皇国のさらに南、忘れられた地…?
「ここなら、君達の望む答えが見つかるはずだ」
その時、後ろでミヅハがドキッとしていた。
「ここ、ワタシの…」
「そのために、小生が連れてきたのだ」
「忘れられた地は、竜族の生息地。愚龍のルーツも、ここにあるのよ」
ガーディアンが繋げる。
「ここに行くのが、最適かもね」
そういう事になり、ゼルティアでの話は一旦、幕を閉じた。
次は、フロンティアへ…
「ちょっと!?何終わらそうとしてるのよ。後始末が残ってるじゃない」
先輩に言われたが、後始末なんて――
「挨拶よ。勝手に離れたらどんな事を言われるか!」
ああ…




