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#93 龍と不思議とテティス

「知りたいんだ。教えてください!」

頭を下げる。

それほど、僕は気になっていた。

ゼルティアの事。七不思議の事。

「…教えてあげたら?」

ルナが言った。

「私にはよく分かんないけど…パートナーがここまでしてるって事は、本当に知りたいんだと思うよ」

「…」

沈黙が続いた。

すると、ファントは半ば諦めたような表情になる。

「…分かりましたよ。話します。でも、その前に3番に会ってもらいます」

3番?

「君が知りたいことは、きっと3番と7番が知っているでしょう」

そのまま、歩き出してしまった。

「…白石君。これでいいの?」

先輩が言った。

「"過去を教えてもらう"って、相手を傷つけちゃう事もあるんだよ」

先輩の声には、重みがあった。

「あんなに渋ったって事は、それぐらい酷い事があったってことだよ。それを――」

言葉を遮ったのはルナだった。

「ファントはそんなのじゃないよ。嫌なヤツだけど、一応頼りにはなるし」

ルナが明るめに言う。

「信頼関係…?」

心の声が漏れた。

「違う!」

すぐに否定する姿を見ると、つい口が緩んでしまった。

「あ、笑ったな!」

「ごめん。ついつい…」

「そんなことより、早く追いかけないと!」

本当だ!

もうあんな所に…

「ちょっと待って!」

すると、ファントは立ち止まった。

「意外といいところあるじゃん」

ルナが見直したように言う。

しかし…その気持ちをぶち壊すような発言をした。

「小生は止まったわけではありません。ここが目的地ですよ」

ルナの顔が曇った。

「見直した私がバカだった…」

そんなのもファントは気にせず、儀式を進める。

「今回のは…指定の手順で踊る必要があるんですよね。という事で…お願いします」

視線が向く。

「なんで僕が!?ファントがやって…」

「小生はあくまで霊体だということをお忘れですか。生身の人間がやらないといけないのです。ご理解を」

えーー

顔で感情を表現。

「先輩は…」

見ると、結構後ろの方に離れていた。

「お願い!」

お願い!じゃないよ!

「勝手に舞われるので、立っているだけで大丈夫ですから」

魔法陣の形成。

「…本当に、教えてくれるんだよね」

「勿論です。約束は守りますよ」

「…分かった」

魔法陣の中心へと進む。

外から見たときは分からなかったが、中心付近には"あるモノ"が描かれていた。

「ねえ。これって…」

言い終わる前に、舞が始まる。

ああ、恥ずかしい。

しかも、終わるまで指一本自分の意思で動かせないとは思ってもいなかった。

そのため、外からは見えていないのだが…

心の内では赤面まっしぐらである。

さらに、とんでもなく長い!

客観的にはそうではないだろうが…

早く終われ…

願いながら、結局一分ぐらい舞うことになったのだった。


――やっと終わった。

「お疲れさまです。もうそろそろ降臨すると思いますよ」

ファントの声も、届かない。

今は終わった事だけ――

「いやーいいもの見れたよ。ありがとね」

先輩が意気揚々と言ってくる。

「先輩がやってくださいよ」

「見るのが楽しいのよ!」

言い合っていたその時、光が出現。

「来たのか――」

言い終わる前に、結果は出てしまった。

「ハァッハッハッ!このワタシに何か用かニンゲン!」

高笑いが響く。

それは、龍そのものの見た目。

…なんとなく、想像はついていた。

「ニンゲンよわばりとは大層なご挨拶ね」

先輩が切り出す。

「その通りではないか。ワタシを呼び出した…おっと、この姿だとダメだな」

そう言い、形を変えた。

「この姿の方が話しやすいだろう。どうだ?」

――なんというか、頭に角は残ってるし、羽もカンゼンに龍のもの。尻尾もある。

「ハハハ。ひれ伏せ!」

しかし…人型になるとちっこいんだよな。

最初の時のルナの大きさと同じぐらいだ。

「ところで…キミは真実をお望みなのかな?いいだろう!上位種族であるワタシ直々に教えようではないか」

このドラゴン、話が速すぎる。

「ならば7番のところへ行くぞ!運命がキミを導くだろうな。ハァーッハッハッ!」

ああ、龍族ってこんなのばっかりなのか?

上位種族なら、もう少しマトモでいてほしい。

「これも…七不思議?」

ファントに尋ねる。

「勿論。小生も滅多に会わないですが、3番"水龍"もとい…ミヅハですよ」

ああ…だからか。

全体的に水色が多いのは。

「七不思議も、変わったやつばっかりなんだね」

本当にな…と、思ってしまった。

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