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#92 罰と断罪のアフロディーテ

煙が晴れると、そこには尻尾を持った女性が立っていた。

9本の尻尾、キツネ――

思考が回る。

まさか、九尾!?

「余を撫でるとは…覚悟は出来ているんじゃろうな!」

敵意…?

いや、これは…

欲求!?

あわや、襲いかかられる――

バチィ!

大きな音と共に、電流らしきものが流れた。

そして、ツツモタセは思わず手を引っ込めた。

「お主…厄介なものをしておるな」

指さしたのは、僕の左腕。

あのときの、カノンから貰った刻印が残っていた。

「まさか、これが…?」

正直、気休め程度のものだと思っていた。

本当に効果があるなんて…

「この反応じゃと…ローラスか。繋がりがあるとは思わなかったのじゃ」

しかし、まだ懲りていない。

「それに気をつければいいだけの事!余…七不思議2番を舐めるな――」

またもや襲いかかろうとしている。

すると、遂にファントが動いた。

「やめなさい。客人だぞ」

「…了解じゃ」

やっと、大人しくなった。

「あのーこれがまさか…」

先輩がおずおずと言う。

「すみませんね。どうも血の気――というか衝動が多いヤツでして」

危なかった…

あのままだと絶対変なことされてた。

「改めまして、彼女が――ゼルティア学園七不思議2番、ツツモタセ…もとい、ココノです」

ココノ!?

見た目と行動に反して、可愛らしい――

「なんじゃ。お主は喧嘩を売っているのか?」

「いいや、そんなつもりじゃないですよ」

否定。

どうなるかなんて想像はついている。

ルナが怒り狂ってとんでもない事になる――

これ一択だろう。

「ホントに!」

あ、覗いてたんだ。

「パートナーをたぶらかそうとしないでよね!」

たぶん、結構本気で言っている。

「もちろんじゃ。彼女持ちには興味はないからな」

すんなり認めた。

彼女持ちを知らなかったって事は…情報共有すらしていないのか。

ファントを睨む。

顔は、「会えないんだよ」とでも言いたげだ。

「しかし…何故神格者がただの一般人と共に居るのじゃ。長い寿命からすれば、この事など一瞬の時間なのだが」

すると、ルナは黙り込んでしまった。

――重い!

「それは、君が一番分かってるじゃないのか?」

見かねたファントが言う。

「いつもの君なら、見境なく一般人を襲う事は滅多にないはずだ。()()()()()()()()()()普段はしないだろう。出会った直後に襲ったのは、君の中でも何か"特別なモノ"があったからじゃないのか?…小生の主観ですけど」

ファントは、きまり悪そうに言っていた。

そして、納得したような表情でココノは話す。

「…そうかもしれんな。最近小者ばかりだったのもあるんじゃが…」

「もしかして…迷惑してますか?」

返事はすぐに返ってきた。

「もちろんじゃ。あることないこと語られて、その上面倒臭いヤツばかり。アヤツにはもう少し配慮して欲しいものじゃ」

なんと、予想外の迷惑者がいたものだ。

「一応、言っときますね…」

苦笑いしか出なかった。

「なら早く帰るのじゃ」

ココノが言った瞬間から、視界が変わる。

「ちょ、ちょっと!まだ聞きたいことが…」


ドンッ!

気が付くと、そこはさっきまでいた生活管理館だった。

「ココノめ…さては無理矢理追い出したな」

「そんな事できるの?」

「廻廊の持ち主が望めばなんとでもなります。そこではまさに神そのものですから」

そんなもんなのか。

「ところで"聞きたい事"とは…?小生でよろしければお答えしますよ」

「あ、いいの!?」

「ここまで来たのも何かの縁です。答えれる範囲ならなんでも」

ならお言葉に甘えて。

「――なんで、君達は七不思議になったの?」

それを聞いたら、ファントの顔がこわばった。

「それは、お答えできないと言いましたが…」

「ガーディアンもファントもココノも、成り行きで七不思議になった感じはしない。なにがあったのか教えてほしいんだ」

僕は、知りたくなっていた。

七不思議の事。

ゼルティアの事について…

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