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#87 現実味

「…なんて事があったんだよ」

事の経緯を説明すると、ポカンとした――想像通りの反応が帰って来た。

「この科学文明にそんな非現実的なこと、あるわけないでしょ」

だよな…

「やっぱり疲れてるんじゃない?早く寝なよ」

そうなのかな…?

「でも、ワタクシも経験していますのよ。ワタクシは神格者故、その可能性は低いと思いますわ」

「そうだよね。神格者が体調不良ってのはあんまり聞かないし――」

うーん分からん。

「あの学園に、まだ何か別の脅威がいるとか…?」

「いやー怖い!どうにかしてよ白石君!」

「僕にも無理です。なんか心当たりないんですか?」

「心当たりって…恨まれるようなことしてないし…」

レイズは勝手に恨んでるだけだから…

「待ってくれ、今"恨み"って言ったか?」

「そうだけど…何かあるの?」

「いや、クロードの話を思い出した。恨みが霊を作るとか…」

「それって、怨霊とか?」

怨霊ね…そんな訳…

なんて思ったが、異世界に来ている時点で現実味0。

「あっても、おかしくないかもな」

ボソリと呟いたつもりだったが、想像以上の反響を呼んでしまった。

「白石君は認めるの?そんなよく分からない存在を――」

先輩を遮ったのは、リゼリアだった。

「もしかして――アルクのような感じのではなくて?」

アルクって確か…

「この機械に意識を宿した状態で、ワタクシからは常に見えますが…貴方達には見えないですものね」

少し悲しみを帯びていた。

「つまり、なんかそういう感じのって事?」

ルナが結局あやふやな事をいう。

「益々怖いんだけど。普段から幽霊もどきと一緒にいたってことだよね!?」

――カチン

先輩が放った"幽霊もどき"と言う言葉にリゼリアが反応した。

「幽霊もどきとはなんですか!失礼極まりないですわ」

先輩は慌てて訂正する。

「ごめんごめん。幽霊にびっくりしたのよ」

「謝罪になってないですわ!」

先輩とリゼリアが言い合う。

「うるさいな…」

そして、ガルドはちゃんとした眠りに着くことができなかったのだった…



翌日。

「ホラー要素は苦手だから、私はパスで」

「俺は行かないでいいよな?」

ガルドは関係ないし…苦手なら仕方がない。

「言っとくが、苦手なわけじゃないからな!」

あ…やっぱり苦手なんだな。

「じゃあ言ってくる」

そう言い、部屋を後にした。

――「やっと終わったー!」

ガルドの最大の歓び。

「まだ私いるんだけど?」

勿論眼中に無い。

「片付けしてとっとと…」

その時、呼び鈴がなった。

「なんですか――」

「やっほー遊びに来たよ!」

ガルドの苦労は絶えない。



「この辺りなんだよ。確か…」

ゼルティアの歴史が置いてあって、机が近くにある…

「ワタクシもそうだと思いますわ」

「時間の問題とか?」

…確かに。

「本でも読んで…日が暮れるまで待つ?」


なんかいい本ないかな…

「ゼルティアの歴史」

「魔法と人類進化」

「災害資料集」

…難しそうな物ばっかり。

どうせならラノベを…

「あら、高校生らしい趣味ですわね」

…嫌味か?

「リゼリアは何読んで…」

「勿論、歴史ですわ。知識を深める事は令嬢としての嗜みではなくて?」

「そんなもんかな…」

「ルナ様も読んでみては?」

話題はルナへ。

「いやー私は良いかな。私自身歴史の生き証人みたいなものだし…」

「あら、そうでしたわね」


「…もうすぐ…日が暮れるね」

「何も起きないな」

かれこれ7時間ぐらい経っただろうか。

そろそろ退屈が限界を迎えてきた。

「まさか…曜日指定とか?」

「そんな事言わないでよ」

ありえない話ではない…普通にありそうなのがまた恐ろしい。

もうすぐ閉館時間になってしまう――

《ゴーン、ゴーン――》

鐘の音!

「多分もうそろそろ…来る?」

その言葉に、リゼリアも反応する。

本を置いた。

「なら、足下に水が――」

その言葉も、現実となった。

「来る!」

――前に人影が現れた。

おどろおどろしい気配を持っていた。

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