#86 最適と情報
「まずは情報部部室よ。一番大事と言っても過言では無いわ」
「許可は取れてるんですか?ほかの部室に上がる時は…」
「勿論。快く承諾してくれたわ」
…何かしたな。
「そう言えば、あのあと情報部ってどうなったの?」
僕達が戦争終わらせた後、レイズは学校にいないし…
「それなら、この人にやってもらっているわ。丁度着いたようね」
そして出てきたのは、あの総統ラセルフ=ケーセだった。
「なんであの総統が…」
「おっと、その名は言わないで下さいね。今は情報部部長ラセルフ=ケーセですから」
「君達にやられた後で改心したようでね。席が余っていた部長役についてもらったのよ」
なら良いか…?
「…裏切ったり、不意討ちしないよね」
「流石にしませんよ。今の私の最適解はあなた達に協力する事ですから。権限は全て空けています。早く入りましょう」
タッチパネルを操作しながら言う。
「ここが我々の叡智の結晶。ゼルティア情報特務室です」
所狭しとサーバーらしき物が並び、圧巻の景色を生み出していた。
「センターベースより凄いんじゃないですかね。これ…」
ガルドからしたら漏れた本心だったが、戦略部と情報部をヴェルナの前で比べるのは禁句に等しい。
「電源を落とせばこんなの消えるじゃないの。第一…」
少し悔しみが紛れた声で言っている。
しかし、ラセルフはそんな事はどこ吹く風。
「すでに情報は集めています。彼女の手によって…」
言い終わる前に、その彼女が走ってきた。
「葵ちゃーん!会いたかったよー!」
ドーンと音が響く。
二人揃って後ろにあったデータサーバーにぶつかったのだ。
「もっと優しくしてよ。もう疲れてるんだから…」
「ごめんごめん〜」
「彼女のスキル:情報収集があったおかげで関連情報から名前まで全て簡単に探せました。今一度感謝を――」
「いいよいいよ。葵ちゃんの役に立てるならなんでもするからねー」
そして渡されたのはメモリーカード。
軽い。
「ついでに…あそこにも行きましょうか」
「あそこって、どこよ」
「ゼルティア国立図書館ですよ。論文やら何かが眠っているかもしれません」
外は、もうすぐ夕方になろうとしていた。
中心部からだいたい15分。
大きな宮殿のような建物が見えてきた。
「ここが、世界の本や我々の歴史まで全てを網羅している国立図書館です」
す、すごい…
こんなに大きい図書館初めて見た…
ついつい、感嘆の声が漏れてしまう。
「別れて作業しましょうか。効率はそっちの方がいいでしょうし」
「OK。また後で会おうね」
そうして、分担作戦を展開したのだが――
「この図書館…広すぎる!」
心の叫びが漏れるぐらいに大きい。
誰とも会わなくなったし、こんなの見つけられるわけ…
「そこの貴方。図書館では静かにするのがマナーでしてよ」
「すみません…て、リゼリア!?」
再び叫ぶ。
「白石様、静かにしてくださらない?」
そして、また注意されてしまった。
――「そういうことでしたか。ならここには存在しないですよ」
「え…!?」
「ここは論文等ではなく歴史の所蔵場所ですわ」
だったら、ここにいるのは無駄だったって事…?
「それと、この図書館は間もなく――」
どこからともなく、ゴーンと鐘が響いた。
「このように、閉館を告げる合図が鳴るのですが…まだ早いですわね。何故今…?」
イレギュラーな事が起きているのだろうか?
「まあいいや。帰ろう――」
一歩進んだ時に、違和感を覚えた。
――パシャ
水?
足元を見ると、薄く水が張っていた。
「リゼリア。これって…」
普段なら、あり得ない事。
「雨が降っていたとしても、ここまで水が入ることはありえませんですわ…」
やっぱり、何かおかしい!
「やっぱり早く出ないと…」
すると、後ろからリゼリア以外の気配を感じた。
「…誰!?」
一瞬だけ、姿が見えたが――
すぐに、気配が消えた。
水も、全部元通り。
「…なんだったんだ。今の…」




