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#81 福音ノ書、第一楽章

「遅かったじゃない」

やって来たのはカノンだった。

「どういう事だ…法皇様が2人…?」

「どちらかが偽者って事…?」

ざわめきも、少しづつ大きくなる。

「落ち着いて。賊が1人増えただけです…」

なんとか取り繕うとする。

しかし…「賊はアナタよ。大司教…いや、大司教の偽者!」

それを言われても、レイズは姿勢を崩さない。

「アナタが法皇だと言い張れる証拠は何処にあるんですか?」

しかし、カノンはしっかりと否定。

「その証拠はこれよ!」

そういい、槍を掲げる。

白と黄色の…

希望ノ槍(エルピダ)!?何故お前が…」

レイズに、焦りが露わになる。

それもそのはず、「法皇しか触れられない、希望ノ槍(エルピダ)を持っているということは…」

「こっちが本当の、法皇様…?」

大衆の理解も手に入れた。

「そんな事…」

まだ諦めないレイズに、最期の追い討ちをかける。

「神の名において真実を映しなさい!希望ノ兆候(トゥルードライン)!」

――生活魔法"以外"のスキルの強制解除。

法皇にのみ許された、真実を見通す魔法。

もう、結果は明らかだった。

スキルはとけ、本当の姿――"レイズ"が出現する。

「やっぱり…ニセモノだったのか!」

「このペテン師!」

にしても、大衆の無責任さには、目を見張るものもあるな…

「処刑は中止です!」

法皇の一声で、状態が収まる。

――そんなわけはなかった。

「舐めるなよ。貴様らには絶望を食らわせてやる!」

あの槍を空高く掲げる。

「ねぇ!あの槍なんなの?」

「あれは、神聖具です。これと同じ」

また変な力のモノを持って…

降臨(フォールン)!」

―――いち早く危険を察知したカノンが退避を促す。

「皆さん!避難してください!」

その間にも、儀式は進む。

もう禁忌など、どうでもよいとでも言いたげに。

「我が神よ、その姿を現せ!」

か、神!?

光の粒が集まり、少しづつ具現化される。

姿に見覚えがあった。

――あのレリーフの中心、民に力を与えし者。

文字通りの"神"が出現した。

しかし、それはレリーフよりも禍々しい。

「まさか…信仰心の歪みによって、神そのものが変化しているの?」

なんてことしてくれた。

神相手なんて、どうにも…

その時、視線(目があるかは分からないが)変えた。

信徒の方、逃げ遅れが出ている。

「白石さん達、一般信徒を守ってください!」

「でも、カノン一人だとどうにも…」

少し心配だったが、その不安はすぐに消えうせた。

目に、決心が宿っていた。

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