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#80 逆進行

祝、80話!って言ってもEp単位だと84なんですけどね。

「クシュン!」

突如咳をするフェイタル。

「なんでいきなり咳なんか…」

「意外に可愛らしい咳なんですね」

「うるさい」

「咳をするのは誰かが噂しているらしいですけど」

「誰か…って、白石達(あいつら)しかいないな」

「確か遠出してましたよね」

「そうだな。無事だといいが…」

何故か、心がざわついた。

他人(ひと)の心配なんて、珍しいですね」

「うるさい」

少し恥ずかしそうだった。

「はいはい」


――――――――――――――――――――――――


ガァン!

鉄同士を叩く音が響く。

「これより、異端者の処刑を開始する!」

歓声が上がる。

「処刑者には最後の慈悲という事でだ、磔刑か火炙りか、どちらかを選ぶ自由がある!」

選べるの?って、どっちも嫌だ…

「じゃあ私火炙りがいい」

ルナ!?

「なんでよ。そういう作戦でしょ」

従順なフリしてドカーン!

しかし、ルナには"狙い"があった。

神格者って死なないのだ。

だが、刺されて生きてるのは不自然なので、長くいられる火炙りを選んだのだ。

「私も…火炙りかな?

手が動かしやすく、スキルを使いやすい。

「なら、最期は磔刑で決まりだ!」

え、勝手に決まるの?

僕もまだ火炙りの方が…

「さっそく持って来い!」

このナレーターはどうしてこんなにノリノリなんだ。

今から処刑するんだぞ。

TPO…

もちろん、これも大司教…もといレイズが仕組んだ。

そして、藁と十字架が用意される。

「金具で固定し、(はりつけ)にして終わりだ」

ちょ、ちょっと!手が動かせないんだけど。

先輩達を信じるしか…

「さて、今回の死刑執行人はなんと!この方だ――」

出てきたのは…カノン!?

紅い槍を背負っている。

しかし、その表情は何とも…

――可憐だ。

「やっぱりこのままにしちゃおうかな?」

ちょっとした感情の波動を感じる。

ホントにやめて下さい。

今頼れるのはルナ達だけなんです。

というか、だいぶ間抜けな絵面では?

死刑に間抜けもないか…

いや、それよりもだ。

「カノン!なんでこんな事…」

「許して下さい…これもローラスのためなんです!」

「ローラスのためって…僕が知っているカノンはもっと優しかった」

しかし、歩くのをやめない。

それもそのはず…カノン本人ではないからだ。

レイズである。

何かしら諭されて仲間になっても困るので、自ら動いた。

この手で、憎き白石を殺れるというのも理由の一つ。

「白石君!逃げて!」

どうやって…

「さようなら。異端者には…"見せしめ"になってもらいます」

槍を向けた。

「白石君!」

防御結界(ディフェンス)発動。

「この期に及んで…罪を受け入れなさい」

特別性の槍には、一瞬しか敵わなかった。

パリン――

無常な音が響き、槍が到達する――

「待って下さい!」

謎の声、いや…聞き馴染みのある…

「遅かったじゃない。もう少しで死んじゃう所だったよ」

先輩が勝ち誇ったように言った。

「"真"法皇、カノン」

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