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#77 INsTRumEntAl

"法皇様、ご逝去"

そのニュースは、ローラス中にまたたく間に伝わった。

"私が駆けつけたときには、すでに亡くなっていた"

大司教は、そう告げた。

思惑に気が付く者はいない。

ある人は悲しみ、またある人は魂の安息を願った。

そして、葬式の日。

「彼の記憶が、私たちの中で祝福として生き続ける事でしょう。どうかこの偉大なる友を、この魂を、永遠の命の絆の中に迎え入れて下さい」

身体は、母なる大地に帰る。

信者に見守られながら、法皇の物語は終わりを告げた。


時間もたたぬ内に、法皇様の跡継ぎが問題になる。

今までは亡くなる前に、跡継ぎが誰か決めておく。

しかし、今回は誰にも決まっていない。

この混乱の中、名乗り上げたのも大司教だった。

法皇様を失った悲しみを一身に負いながらも、この国のために尽くす人。

端から見ればそのような印象を受けるだろう。

現に、国民のほとんどはそれを支持した。

初の皇族以外の法皇――とはならなかった。

「私は、あくまで臨時だ。真に法皇に相応しいのは…唯一の皇族、カノン様だ」

なんと、自ら辞退したのだ。

そして、強固な協力者(後ろ盾)を失った白石達はというと…

「今日も平和だねー」

いつも通りの日常を過ごしていた。

「法皇の跡継ぎ問題はこの国の問題だから介入しなくて良さそうだし…」

要するに、暇を持て余しているのだ。

「カノンの護衛もしなくていい事になったから…」

カノンは次期法皇と言う事で、護衛はプロでガチガチに固められている。

「でも、教団がこんな雰囲気だとどうにもならないでしょ」

スパイどころでは無くなった。

「…帰る?」

「確かに」

"社長"に聞いてみようと意見がまとまりかけた、そのタイミングで…

「白石様。失礼します」

部屋のドアが開いた。

入ってきたのはカノンだった。

「カノン!?どうして…」

なんだか少し萎縮というか…落ち着いた感じになった。

「白石様に、私の――戴冠式に出席いただけないかと思い、やって来ました」

えらく流暢な敬語を話して、成長したんだと思い知らさせる。

なんて感情に浸っている場合ではない。

「勿論行かしてもらうよ。わざわざありがとね」

「勿論です。お二人もどうぞ」

「いいの?やったー!」

「式は明日を予定しているので、その頃にお越しください」

そう言い、ドアを閉めた。

――あれ?確か部屋の鍵かけてたような…

変な汗が垂れる。

国家権力の恐ろしさを、身をもって知ったのだった。


――――――――――――――――――――――――


ここで場面は変わり、"社長"のいる部屋に。

「白石達が行っているローラス法皇国の法皇が死去なさったようですが…これからどうしますか?」

社長と話しているのは、秘書セレナ。

「どうするもないだろう。任務続行だ。あの教団まだ何か隠している」

「私が久しぶりに戻ったと言うのに、今度は子供のお守りですか」

「そう言うな、人手不足だ」

白石達にはもう少し頑張ってもらわなければ。

「――報酬でも用意しとくか?」

何が良いんだろうな…

「子供にただ働きとはいくらなんでも…」

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